FIAT500〜学園長V世号のがれーじ(2004/11/11)

  

ルパンCARとは

 学園長がチンクェチェント(FIAT500)に初めて出合ったのは、小学生の頃に水曜ロードショー(当時はまだ金曜ロードショーではなかったと思う)で観た、宮崎駿監督の『ルパン三世〜カリオストロの城』といういう映画です。たぶんほとんどの方は見たことがあると思います。その映画でルパン達が愛用している黄色い丸っこい車がFIAT500(通称:ちんく)です。映画に登場するチンクはウイリーして発進するは、壁はのぼるはで、仮面ライダー1号のサイクロンばりに、はちゃめちゃに走りまわります。ただ、映画だけでなく本編にもFIAT500が出ていることはあまり知られていません。TV版では真黄色なメルセデスベンツのSSKの方が有名かも。

 映画の中でFIAT500が激走するシーンは多々あれど、オープニング直後の場面が一番印象に残っています。チンクがパンクしてて路肩に止めてルパンが修理をしてると、すごい勢いで2台の車が通り過ぎます。(クラリスの乗るシトロエン2CVと伯爵の追手が乗るハンバースーパースナイプ)、それを見たルパンがFIAT500に飛び乗ってダッシュボードの下からレバーをグイッと引くと同時に、チンクのエンジンフードがドカッと開いてターボエンジンが飛び出し、そして猛ダッシュッでおっかけます。残念ながら、このレバーはルパン専用のオプション装備で、通常のエンジンフードは下ヒンジで上が開くタイプです。アバルト仕様では上ヒンジのタイプもあるらしい。

FIAT500(データはFIAT500L)

全長×全幅×全高
エンジン
総排気量
最高出力
最大トルク
最高時速
トランスミッション
ギアレシオ
フロントサスペンション
リアサスペンション
ステアリング形式
ホイールベース
トレッド
タイヤ
ブレーキ
:2970×1320×1325mm
:空冷直列2気筒OHV
:499.5cc(ボア/ストローク 67.4/70mm)
:18ps/4600rpm
:3.6kg-m/3500rpm
:95km/h
:前進4段・後退1段のオールインダイレクト(シンクロなし)
:1速から順に3.272−2.066−1.300−0.875
:ウィッシュボーン/横置リーフ
:スイング・アクセル/コイル
:ウォーム&ローラー
:1840mm
:前/後 1121/1135mm
:3.5J−12/125
:フロントリア共にドラム、サーボ無し

FIAT500の歴史(カーグラフィックのイメージで古谷徹の声で)

 FIAT500が生まれたのは1957年。当時『新500(ヌォーヴァ・チンクェチェント)』という名前でデビュー。1959年に排気量をアップしたチューニングバージョン『スポルト』が追加され、1961年にこのスポルトのエンジンをデチューンしたエンジンを積み、ドアが前開き(通称自殺ドア)の『500D』が生産されはじめ、スポルトは姿を消す。そして1965年から ドアが前ヒンジに変わり、テールランプやルーフのつなぎ目、キャンバストップのフックなどの細部が改良され『500F』というモデルが誕生。さらに、内装が豪華でバンパーにパイプガードなどが付くデラックスバージョンの『500L』というモデルも追加さた。1972年、一旦は生産中止が決まり、126にその座を譲ったチンクエチェントであったが、根強いファンの声にフィアット社は、500R(Revised=改訂版の意)としてしばらく生産することにした。そしてこれがFIAT500の最終型となる。ベースはFタイプを基本としていたが、エンジンはFIAT126のエンジン(650cc)をデチューンして搭載し、足回りも126から流用された。その500Rも1975年で製造中止になり、現在街中で見かけるチンクチェントはどんなに新しくても今から30年前の車ということになる。

生産台数F&L(1965〜1972うちLは1968年から生産開始):2,272,092台

学園長のちんく(学園長V世号)

 学園長のちんくは1970年式の『500L』。色は当然ルパンカラーのクリームイエロー。Lはイタリア語の『LUSSO』の頭文字で、豪華・贅沢などを意味する。エンジン、駆動系は基本的にFタイプと同じで(細かな変更は多少あるが)、大きな違いは内外装で、ワンピースのフロアカーペット、リクライニングが可能になったイミテーションレザーのドライビングシート、プラスティックのダッシュボードに大型のメーターパネル、センターコンソール、前後バンパーに付けられたパイプガード等、より現代車っぽい仕様となっている。ちなみにエアコンは当然ついていない。Fと比べると『FIAT850』から流用の扇形メーターパネル、しかも燃料計つき、ドアの前後ウィンドウウェザーストリップにもメッキモールがつき、ルーフサイドにもメタルモール、内装もフロアカーペットがあったりと、より豪華仕様になっている。しかし、エンジンは相変わらず500ccの18馬力である。フロントマスクのエンブレムに新しいデザインが採用され、今までより小さなものになっているが、学園長のは大きなひげつきのエンブレムに変更してある。バンパーにつくパイクガードも取り外し、外観はFとまったく同じ。リアのエンブレムも『NUOVA500』と変更されている。


学園長のちんく日記

7月6日 弟と北九州の門司にあるアルファをおもに扱っているイデオートに、FIAT500を見せにもらいに行く。運がいいことに運転もさせてもらいました。2気筒エンジンでとことこ走る様子はなんとも愛嬌があってかわいらしい。色は当然ルパンカラーのクリームイエロー。これがまたなんともいい味を出してます。物欲を刺激されます。

7月23日 納車の打ち合わせにイデオートまで行ってきました。スパイダーで高速に乗って行ったんじゃけど、やっぱ上をあけて走ると気分爽快です。で話は何かというと、車庫証明の取り方や希望ナンバーのやり方などなど。で肝心の納車はお盆前になりそうです。学園長のチンクはちょうどメンテに入っちょって、馬とジャッキで4輪が宙に浮いちょったけど、浮かんでる姿もなんともかわいらしい。つまりはどっから見てもかわいらしいということ。

8月1日 弟に山口陸運局に行ってもらい、希望ナンバーの申請をする。¥3,860也。自分は警察署へ出向き、車庫証明の申請をする。¥2,500也。

8月9日 納車までの手続きとして、委任状と印鑑証明が必要ということで、委任状の方はすぐにFAXしてもらってコピーして市役所まで印鑑証明(¥200)を取りに行き、早速郵送しました。

8月13日 うちにちんくがやって来ました。見てみてこのかわいらしいデザイン。ということで、早速任意保険に入るために保健屋さんまで行ってきました。坂道になるとさすがにキツイもんがあるけど、ドコドコ元気よく走る姿はなんとも愛嬌があります。帰りがけに、ガス欠みたいな症状になって、ガソリン残量警告灯も点灯しだしたのでスタンドに寄ったんじゃけど、14リットルぐらいしか入らんかったんよね(ガソリンタンクは当然ボンネットの中)。実際燃費がどれぐらいになるんか分からんけど、あんまり環境にいい車ではないようです。やっぱりパワーがない分吹かすんよね。でも、楽しいぜェ〜!

月29日 助手席のドアを閉めようとしてドアオープナー用の鍵を突っ込んでまわしたら、鍵がポキっと折れてしまいました。イタリア車は鍵がいっぱいあって、エンジン用・ドア用・エンジンフード用・燃料タンク用などなどあります。スパイダーは2本で、チンクの場合は3本です。もうどれがどれやら???幸いなことに折れた先っぽはちゃんと回収できたので、今度車検のときにスペアのキーをもらいます。

10月13日 初の雨の中の運転となりました。ワイパーを始めて使用したんじゃけど、全然拭けてねぇ〜。はやり雨の中乗る車ではないようです。さて、そんな小さなことはおいといて大きなトラブル発生です。なんとエンジンが止まりました。ガス欠のような症状で止まったので、JAFを呼んで10リットルほど注いでもらったのですが、まったくエンジンがかかる兆しがありません。いろいろ調べてみたところ、プラグがぬれていないことから、ガソリンが来てないことが考えられます。そしてプラグがスパークしないことから、1次コイルが怪しいことが推測されます。何はともあれ走行不能状態であることに変わりはなし。レッカー移動となりました。レッカーされてる姿がこれまたかわいいんだよな。JAFに勤務する弟の知り合いの方がロードサービスでかなりの距離をただでレッカーしてもらいました。感謝です。イデオートさんに症状を電話して引取りにきてもらうことになりました。ついでに車検もお願いします。

ガソリン10リットル   ¥1,200

11月16日 ホントは先週取りに行く予定じゃったんじゃけど、車検証を車に載せてなくて車検が間に合わず今日になりました。徳山駅9時52分発の臨時快速(なんとキハ181の全席指定)に乗って下関駅まで、乗り換えて関門トンネルをくぐって門司で降りて、西鉄バスで恒美営業所で降りるとすぐそこにイデオートさんがあります。相変わらずマニアックな車ばっかりで、店員さんやお客さんと話し込んで最近のトラブルの愚痴話や故障の原因とか、ショップを出たのが1時40分。門司で高速に乗って始めての高速走行。スペック値では最高速95kmのところ、下り坂で頑張って100kmをマーク。そのかわり登りでは常に登坂車線のお世話に。山口南インターで降りて、2号線をちんたら実家へと帰りました。この長距離ドライブではじめてちんくの燃費が判明。なんと19km弱も走ります。素晴らしい燃費です。実家に帰り着いてエンジンフードを開けてみると、エアフィルターからキャブにつながるエアインテークパイプに大きな穴が!さっそく耐熱アルミテープで巻いて応急処置です。車検も受けてあと2年はバッチリじゃけど、いろいろトラブルが出てきそうです。

JR徳山→門司                   ¥1,920
西鉄バス門司→恒見営業所             ¥310
車検費用・修理費用・引き取り料など  社長の太っ腹!
                 ¥2,230

1月2日 古い車となるとボディーのさびとの戦いは避けられない宿命です。ちんくの場合バッテリーがフロントパネルのすぐ内側にあるため、よくこのフロントパネルにさびが発生します。それを防ぐために、ちょうどいい大きさのプラスチック製のコンテナをジュンテンドーの初売りで買ってきて、それに粘着シールつきのスポンジを内側に貼り、バッテリーの受け皿を作ってみました。深さが12cmしかないけど、なかなかいいデキになったと思います。早く初走りに行きたいところなんじゃけど、明日からちょっと天気が悪いみたいです。

プラスチックコンテナ      ¥320
粘着シールつきスポンジ   ¥450
                 ¥770

5月9日 セミナーパークでの初任研だったので、実家からちんくで参加しました。帰りにスクーデリアに寄って、個体のチェックをしてもらいました。低速時にステアリングを切るとゴリゴリと異音がする症状は、ワンサイズ大きなタイヤを履いちょるために、フェンダーとこすれるためと判明しました。他は致命的なサビ等もなく、大事に乗れば一生乗れるということでした。ジェネレーターをオルタネーター仕様にして、点火系を同時点火に変えると、見違えるほどの走りになるそうです。総額10万円だそうです。考え中です。

8月24日 ほぼ1年ぶりにちんくのオイル交換をしました。それでも走行距離はまだ3000kmいってないしね。以下に出動の機会がないかが分かります。オイルパンをノーマルよりの大きなものに変えてあるので、オイルは3リットルほどです。オイル交換をすませ快調に山道を飛ばして帰りよったんじゃけど、2速全快で坂を登りよる途中に、リアからバリバリバリっていうとんでもない爆発音がしました。何事かと思ってスピードを緩めたら音は収まったんじゃけど、また回転数を上げていくと爆音が響きました。これはいけんということで、さっそく路肩に寄せてエンジンルームを調べたんじゃけど、特に異常はありません。また走り出したんじゃけど、エンジンパワーが低下しちょるわけでもなく、ある程度回転数を超えると音がしだします。俺が考えるに、多分マフラーのどっかに穴が開いたと思われます。今度弟が休みの時に一緒に調べたいと思います。まぁ、耐熱テープを巻いて終わりじゃとは思うけどね。

走行距離31727km WAKO'Sエンジンオイル3リットル   ¥1,500×3
工賃                        サービス
¥4,500

9月8日 体育祭の振替休日で朝実家に帰ったら弟がおったので、さっそく先日の異音の正体を探りました。俺はマフラーとにらんじょったんじゃけど、実は大変なことになってました。チョークを引いてエンジンをかけ、しばらく暖気してアイドリングを安定させてから異音がするまで吹かしたんじゃけど、弟曰く『火花がとんじょる!』、俺『なんとぉ?!』。弟にアクセルを踏んでもらって確かめると、確かにジジェネレーターの付け根当たりから赤い火花が飛んでます。すぐにエンジンを止め、ジェネレーターの周りを調べてみると、エンジンカバーとの付け根のボルトが2本とも緩んでました。さっそく増し締めして再びエンジン始動。今度は火花は飛ばんようにはなったけど相変わらず異音が!でさらに調べてみると、ジェネレーターを固定する金属のタイラップが外れてて、ここがビビリ音を出しちょったようです。このタイラップを固定してエンジンをかけると、エンジンぶるぶる絶好調となりました。
 で、火花の原因なんじゃけど、ジェネレーターのタイラップが外れたことでジェネレーターがエンジンの震動とともに異常に震動し、エンジンカバーとの付け根のボルトが緩んで、ジェネレーターの内部のコイルとケースが時々接触して、ショートして火花を飛ばしたんではないかと推測されます。FIAT500のエンジンは、回転数を上げていくとかなり大きく震動するけぇね。いずれにしても、これで一件落着でした。弟さまさまです。ちなみに弟は自動車整備士です(でも日本車専門)。

 

11月17日 出張の帰りに信号待ちをしてると、後ろからでっかい鏡のようなメッキグリルをつけたダンプがやってきました。ぶつけられたらペシャンコじゃろうなと思いつつ、注意深く後ろを見てたら・・・???右後ろのブレーキランプがついてません。ライトをつけたときには点灯するので、単なるバルブ切れじゃと思います。日が暮れるのもずいぶん早くなったし、早めに修理しないと!

12月21日 切れたと思われるブレーキランプを左右で取り替えると、ちゃんと点くことが判明しました。よくよく眺めてみると、接点不良でした。なので接点復活剤を吹きかけて、もう一回組みつけて終了。なんちゅうことはなかったです。

3月14日 FIAT500でのおそらくラストランをしてきました。いつもお世話になっているスクーデリアの紹介で、新しいオーナーさんがほぼ決まりそうということで、現車を確認したいからってことで、スクーデリアまで乗って行きました。相変わらず走りません。平地では軽トラなみに走ってくれるんじゃけど、上り坂はどんどんシフトダウンしていかないと登ってくれません。室内に入ってくるエンジンルームのにおいや空冷2気筒の騒音と振動も懐かしさがこみ上げてきます。

7月3日 スパイダーの修理代の頭金(全額は一括では到底無理)を払いにスクーデリアによったら、ちんくをぜひ見たいというお客さんが来られてました。『それって僕の車ですよ』ってことから意気投合して、ちんく話が大盛り上がりです。俺より歳がちょっと上で、バリバリルパン世代です。スパイダーの整備の時に、ちんくを見に行ったんじゃけど、まずは外観を見て感動『わぁ〜小っちぇ〜』。さらにナンバーを見て『をぉぉ〜ルパンと一緒だぁ』と感動。その後スクーデリアの社長に頼んで試乗をさせてもらったようです。運命の出会いを感じました。

7月14日 1週間のうちに3回試乗されて、その間にもメールであれこれやりとりを重ね、ちんくの次のオーナーさんが決まりました。とってもちんくを愛してくださってる方じゃし、ずっと大事に乗ってくださるということで、安心しました。まぁ県内の方じゃし、スパイダーと同じくスクーデリアがメイン工場なので、これからも顔をあわせる機会もたくさんあると思います。名義変更の手続きはまだなんじゃけど、俺とは正式契約ってことで入金をしていただきました。ありがとうございました。
 ちんくの結納金100万円は、ほとんどそっくりそのままスパイダーの修理代へと消えていきました。まぁ2コ1作戦じゃから、大掛かりの修理になるししょうががないんじゃろうけどね。手元に残ったのは2桁もありませんでした。

7月18日 FIAT500嫁ぐ!新しい家族のもとへ、もらわれていきました。