花時(かとき)終わりて
緑時(りょくじ)となりき

花は散り去り
葉が精一杯伸びゆかんとする時

ただなんと言うこともなく
花も咲かず
緑鮮やかになることもなし

ただ空に焦がれているとは
同じように流れる時の中
後ろを振り返ることはなけれども
さりとて前を向くこともなし

嗚呼
どうしたらよいのだ

ただ上を向いて空に焦がれているなど
青さに吸い込まれたいと
たなびく白き流れでありたいと
時に激しく降る雨になりたいと
世界を揺らす雷になりたいと

全てを明るく照らし
影を生み出す日の元になりたいと
照らした光の内なる影でありたいと

花時終わりて
緑時となりき
まもなく暑時が来たる也

ただ空に焦がれるのは
変わることなき
ただ其れだけ


      −花鳥風月 花の歌−