*会話のみの話です*
彼らの日常 −子世代の話・3−
「劉禅様、どちらへ?」
「やあ星彩!今日は誰もいないからね、愛馬の調子を見に行くんだよ。星彩も行く?」
「お供いたします。・・周りを見る目、必要かと・・・。」
「ありがとう。」
「さて・・・今日君の父君は?」
「父上は視察の一団に加わっているはずです。」
「じゃあ今城にいるのは一部の武官連中と文官だけか・・・。」
「はい。」
「子龍のおじうえは?」
「警備で残っております。」
「じゃあ警邏時間に気を付けないとなぁ・・・。」
「・・・・子龍殿。」
「えっ?厩に?」
「はい。」
「・・・気づいてる?」
「まだ、間合い外です。」
「・・・ね、星彩。暗愚なふりをした私が見たい?」
「・・・・・。」
「星彩・・・?」
「できれば、見たくはない。でも、必要とあらば。」
「・・・。」
「御身、守るため故。」
「そうだね。」
「しりゅーのおじうえー!!」
「これは阿斗様、馬の調子を?」
「うん!だって、馬に乗るのは大好きだし、僕の大切な友達だもの!!」
「ご立派な心がけです、阿斗様。」
「えへへ〜。」
「ところで阿斗様、」
「なぁに〜?」
「・・・・・聞きましたよ。また、諸葛殿にお咎めを受けたと。」
「・・・だぁって孔明の言うこと難しいんだ。」
「鍛錬の方も、お父君が心配されておいででした。」
「父上がご覧になっていると緊張しちゃうんだよ、子龍。」
「・・・・・。」
「ん・・・?」
「如何なさいました?」
「何か・・・・変だ・・・。」
「厩の方でございますか・・?いいえ、何もありませんが・・・。」
「・・・なにか、何だろう・・・気のせいかなぁ。」
「・・・(馬の様子がおかしい)」
「・・・・・(来る!)」
「星彩っ!!」
「参ります・・・・・!!」
「・・・逃がしたか?」
「向こうも、手練れゆえ。」
「馬ねらいか?」
「おそらく。」
「馬をやられては支障がある、と言いたいところだが陣には馬に明るい馬一族がおる。
後ほど異常の有無を確認してもらおう。」
「手配いたします。」
「うん、頼んだ。」
「阿斗様?」
「・・・・・・。」
「星彩、これはいったい。」
「馬の異常ですか?」
「いや、君たちは・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
−ブンッ!!
ギィンッ!!!!−
「趙将軍・・・公子に刃を向けるなら・・・・私がお相手いたします!!」
「うわぁんっ!!!しりゅーが怖いよー!!!」
「・・・・・・・・失礼いたしました、どうか、お許しください。」
「ぅわぁーん!!」
「将軍、ここは私にお任せください。どうか、お引き取りを。」
「・・・後ほど改めて非礼を詫びに参る故、そうお伝えしてくれ。」
「しかと。」
「・・・・・・・・行ったか。まったくいつまで星彩にあやされなければいかんのだ。」
「ねばられましたね。」
「ああ、危なくばれるところだったが・・・どこの阿呆だ、まったく忍び込みおって。
それに意外と疑り深いのだなぁ、子龍は。まあいい、部屋へ戻ろう。星彩、来るか?美しい髪飾りをいくつか行商人が置いていったのだ。」
「お供いたしましょう。」
「きっと似合う。関平にでも書簡を書いてみるか。」
「はい。」
−了−