「戦場の真ん中で愛を叫ぶ!」


   
第一話 直江と三成と幸村と半蔵と



 ある夜のこと。
 石田三成邸に一室を借りている直江兼続を訪ねて一人の忍びがやってきました。
 そして過去のことを沢山沢山喋って、リストラされた愚痴もこぼすだけ零して、さあ帰ろうとしていました。

 

  直江:「・・・・なるほど、そのようなことがあったのか・・。ご苦労だった。」
 
  くの:「はにゃ〜。こんなに話の分かる人がいてよかった〜♪」(てか凄い迫力の唇〜)
 
  直江:「本当に泊まらなくていいのか?」

  くの:「親切ですねぇん♪あたしなら上田まであっちゅーまよんvともあれ・・・幸村様お願いしますです。」

  直江:「うむ。大切な友人であり弟のような存在だ。しかと見ておこう。」

  くの:「では・・・また会う日までぇ〜ん♪にゃはん☆」(ボフン、と掻き消えた。)

  直江:「ふむ・・・。さすがは服部半蔵と公式にライバルだけあったくのいちだ。」
 

 そんな彼女を賞賛しながらも直江は脇息に寄りかかると今聞いたばかりの話を反すうします。


  直江:「しかし・・・・、それを考えると今回は異様だな・・。まるで
クローンを使っているくらいの他人っぷりだ。」


 やれさてどうしたもんか。
 直江は前髪を時々弄りながら過去半蔵と幸村が対峙したときのことを思い出しています。
 そこへ屋敷の主である石田三成が帰ってきました。
 当然ながら袴、小袖姿で(いや二人共だけど)角の付いたでこ当ては付けていません。

 
  三成:「・・・今戻った。変わりないか。」

  直江:「ああ、快適に過ごさせて貰っている。」


 三成は脇息にしなだれている直江と向かい合うように座り、柱へ寄りかかりました。
 ついでに言うと二人は縁側にいます。


  三成:「来客があったそうではないか、なんでも少女だったとか・・・。」

  直江:「ああ、俺とおまえを尋ねてきた。幸村をよろしく頼む、とな。」

  三成:「・・・何者だ?」

  直江:「くのいちだ。」

  三成:「ほう・・・前回公式に服部半蔵とライバルだったあの小娘か。」

  直江:「腕は立つし、技のキレも確かにいいだろう。・・・風魔やお前のとこのおねね様を彷彿とさせるがな。

  三成:「・・・・・で?」

  直江:「幸村には思い人がいるそうだ。」

  三成:「・・初耳だな。」(思い人ねぇ・・・)

  直江:「勿論俺も初めて聞いた。聞いて流石に驚いたぞ、まったく僻鱗を見たことがないから疑ったのだ。」

  三成:「・・・・・・・・・・・・・・・服部半蔵か?」(あ〜なんか聞いたことあるなぁ〜)

  直江:「知ってたのかっ?!」(馬鹿見てるの俺だけっ?!)

  三成:「いや、そう言われてふと思い出したことがあるのだ。」

  直江:「ほう?」(ちょっと安心)

  三成:「・・・・この前の小田原戦で一夜城を作っただろう?その時に逆にいる徳川からの使者が服部半蔵だったのだ。」




  三成:「解った。ではそちらに間に合わせるとしよう。どうせやるなら挟撃の方がより効果的だからな。・・徳川殿にそうお伝えしてくれ。」

  半蔵:「・・承知。」

  三成:「あとは・・・・ん?」

  半蔵:「・・・・・・・(早く帰りたい)。」(三成の向こうを見ている)

  三成:(俺の後ろ・・・?)

 振り返れば山道への入り口付近にはよく見知った赤揃えのシルエットがポツンとありまして。

  三成:「幸村、」(なんで突っ立ってるんだ?・・・・あ、こっちくる。)

  幸村:「・・・・・」(無言のままズンズン歩いてくる。三成は目に入っていないようだ)

  三成「?」

  幸村:「失礼します、三成殿。」(半蔵の前に立つ)

  半蔵:(・・・・滅)←もう嫌だと、と思っている。

  幸村:「息災で何よりだ。・・・闇色も良いが、明るい色だって似合うではないか。」(半蔵の頭巾の横、金色のヒラヒラを手に取る)←セクハラ。

  半蔵:「・・・・・炎闇の中にあれど存在は呑まれることなく煌々と灯る也。・・・・・・・・御免。」(・・・・・やむなし、と思ってる)




  直江:「それで?」

  三成:「半蔵が消えた後にいつの間にか残っていたのは青山虎之助とか言った、服部党の上忍だった。何でも呼び戻されたとかでな。」

  直江:「ふむ・・・・・・・“炎闇の中にあれど存在はかき消されず煌々と灯る也”・・か。・・・本当にそう言ったのか?」

  三成:「俺が聞き間違えるとでも言うのか?」(ちょっとムキになる←悪気はない)

  直江:「だとしたらくのいちが語ったことは本当だったのだな。」

  三成:「どういう事だ?」
 
  直江:「前回幸村は
服部半蔵のストーキングをやっていたそうだ。」

  三成:「・・・・・・・・・はぁ?」

  直江:「出会うたびに「半蔵!!」と叫んでしょうがなかったらしい。あの
覆面を何とか矧ごうとしていたとか・・・。」(確かにちょっと見てみたい)

  三成:「・・・男相手になにをやってたんだアイツは・・・。」(ホモか・・・)

  直江:「シカトしていたそうだ。」

  三成:「・・・・当然だろ。」

  直江:「行き過ぎればくのいちが
ぶちのめして回収もしていたそうだ。」

  三成:「・・・・・・・・・そういえばな、左近がその後こんな場面を見たそうだ。北方にある簡易陣幕でな・・・、」




  左近:「俺の軍略があればちょろいもんですってねぇ〜。
(得意げだけど周り誰もいない)・・・・・・・ん?あれは真田幸村殿・・・。」

  幸村:(馬でかけてきた)「これは左近殿。このあたりで徳川の忍びを見かけませんでしたか?」

  左近:「服部半蔵かい?いいやぁ、見てないがねぇ。」

  幸村:「そうですか・・・・
(見えない耳と尻尾が一気に垂れたのが見えて左近が目をこすった瞬間)。」

  左近:「・・・・・・・小田原城逆攻めなんだからいるわけないと思うんだけどなぁ・・・・。」

  幸村:「!!!」(陣幕の影に人影を見つけて小走りに駆け寄る。)

  左近:「ん〜?誰だぁ?・・・敵じゃないみてーだが・・・・陣幕の向こうで足と影しかわからん。・・・忍びか?」

  幸村:「・・・・こうしたかった!
もう他人行儀なんかやだっ!!

  左近:「うわっ!幸村殿抱きしめてるし!!!って」

  幸村:「へぶしっ!!!」

  左近:「ストレートアッパー華麗に決まりました。真田選手、弧を描いて地へ落ちてゆきます!失神間違い無しでこの試合は決まったも同然でしょう。
      いやぁ〜地上から3mは跳ね上がりましたねぇ、解説の佐藤さん。・・・・・・って佐藤って誰やっつのっ!!
      思わず突っ込みをいれてしまったが・・・・って、誰もいやしねぇ。」

 


  直江:「そんなところを目撃していたのか。確かにあの日幸村は異様に落ちるのが(撤退)早かった。」

  三成:「殴った相手は陣幕の影しか解らなかったそうだが・・・小柄なシルエットで闇色の靴を見たそうだ。」

  直江:「それが半蔵だと?」

  三成:「服を替えたのかもしれん、我らの知らない前回の衣装にな・・。今回の衣装は、確かに目立つ。」

  直江:「ふむ・・・。しかし服部半蔵の方もまんざらではないようだな。」

  三成:「残した言葉か?」

  直江:「うむ。炎闇の中にあれど存在はかき消されず煌々と灯る也、などと言うくらいだからな。」

  三成:「・・・・・闇は、己自信か。」(なかなか洒落たことを言う)

  直江:「炎は幸村。存在はおそらく半蔵の心の中のことだろう。煌々と灯っているのなら半蔵自身もまた・・・。」

  三成:「信じられんな。」(プイッとそっぽをむく)
  
  直江:「ほう、・・・試してみるか?」(楽しそう)

  三成:「・・手があるようだな。」(ちょっとおもしろくない)

  直江:「何かにつけて服部半蔵を呼んでみよう。それにはお前の献策が必要だ。」

  三成:「太閤殿下に徳川と同盟を、とでも言ってみるのか。・・・・確かにそんな話が今日出たばかりだ。」

  直江:「ふむ、丁度良いではないか、まーさーに義。」

  三成:「徳川と結んでいればいらぬ兵力を割くこともない。落ち着かねば、民が苦しむ。」

  直江:「うむ。本来戦とは義に悖るものだからな。」

  三成:「・・・・・いいだろう、明日にでも献策しよう。」

  直江:「では、」

  三成:「うむ。」

  直江:三成:「「義、貫かんがため!」」(小声で)




  


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