「戦場の真ん中で愛を叫ぶ!」


   
第5話 結局、最後はこうなるんだよー・・・



  直江:「・・・最近三成、留守がちだよなぁ。」

  慶次:「気になる御人くらいいるだろうさぁ〜。」

  直江:「いや知らない!だったら真っ先に言ってくれるはずだっ!」

  慶次:「まぁまぁ、そう力みなさんなって。」(直江の眉間を指でグリグリする。)

  直江:「////・・・慶次っ!」

  慶次:「ん〜?」

  直江:「・・・・・む〜む〜・・・。」

  慶次:「む〜む〜いいなさんなって。」(おもしろい生き物だなぁと思ってる。)

  三成:「人ん家の前でいちゃこらしてるな、うっとうしい。」

  直江:「あ、三成!」

  慶次:「おかえりー。」

  三成:「・・・・・・。」(じろりと慶次をみやる)

  直江:「どこへいってたんだ?」

  三成:「大したところではない。兼続、晩飯はいらぬな?」

  直江:「え゛?」

  三成:「慶次が来ているんだから戻るまでは共にいるだろうが。」

  直江:「//////」

  慶次:「実は俺、今から越後までひとっ走りなんだよー。」

  三成:「そうか。・・道中、気をつけてな。」

  慶次:「悪ぃねぇ。・・・じゃな、兼続、またすぐ会えるぜ!」

  直江:「またな、慶次!」

  三成:「・・・・・・・・行ったか。変わらずでかいな。」

  直江:「それよりもほんと、どこいってたんだ?しばらく見なかったが・・・。」

  三成:「・・・服部屋敷だ。」(中へ入りながら)

  直江:「えっ?!わざわざ浜松まで?」(後に続く。・・おみやげあるのかなぁと思っている)

  三成:「兼続のことは家の者達がよくやっていただろ?」

  直江:「それはまぁそうだが・・・。」

  三成:「・・・・とりあえず旅の汗を流したい。」

  直江:「背中でも流しあいこするか?」

  三成:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」(ものすごーい白い目でみる)



閑話休題



  直江:「で、服部屋敷へ行っていたと言うことは・・やはりあれか?」(松のしゅわしゅわ水は果汁を入れるとメチャうま☆と言いたい)

  三成:「・・・・・ああ。」(表面と中身が違うな)

  直江:「てことは免許皆伝か?」

  三成:「ああ。」

  直江:「見るの楽しみにしているぞ。」

  三成:「・・・使うことになる状況が絶対に訪れるというのが嫌だなぁ・・・。」

 


三成よ、左近にいつもなにされてるのだ?

所変わって、服部邸。





  青山:「・・・頭領、」

  半蔵:「うん?」

  青山:「本多様がお見えでございます。」

  半蔵:「忠勝か?」

  青山:「はい。」

  半蔵:「通せ。」

  青山:「ではお待ちください。夕食は鰻でよろしいですか?」

  半蔵:「うむ。」

  忠勝:「・・・・半蔵、」

  半蔵:「抜き打ちでくるとは珍しい。」

  忠勝:「・・・・・・・・・・あまり若い者達で遊ぶな。」

  半蔵:「何のことだ。」

  忠勝:「・・・・このやろう。」

  半蔵:「向こうが勝手にウロウロしているだけのこと、拙者にはわからん。」

  忠勝:「煮え切らんではないか。」

  半蔵:「・・・・なぜ主が気にする。」

  忠勝:「我らが周りにあやつらがウロウロされるのは困る。」

  半蔵:「・・・・。」

  忠勝:「・・・・・・しかし、なかなかに可愛いではないか。」

  半蔵:「・・・。」(じろりと睨む)

  忠勝:「銀色のイカを被った唇の麗しいの、角をつけた赤っ毛のこれまたえらい美人、それに血気盛んだが邪気のない笑顔の赤揃え。
   
      う〜む・・・。若くて生きがいい・・・拙者ならば、」

  半蔵:「何だと申すのだ。」(ちょっと苛ついてる)

  忠勝:「拘りのありそうなイカはパス、美人だが口の悪そうなのもパス、やはり素直なのが可愛いであろうなぁ・・・。」(あごをなでながら)

  半蔵:「忠勝!!!」(解ってやってやがる!)

  忠勝:「ん〜?おまえが遊んでるなら拙者もまじろうかとなぁ、この前話もしたし。」

  半蔵:「!!!!!!」

  忠勝:「・・・・・・ふっふっふっふ。」(顔が真っ赤な半蔵をおもしろがっていた)

  半蔵:「・・・おまえが手をだすのか?」

  忠勝:「(そこか、着眼点は)・・・・・・そりゃぁ、まぁそうなるのならばなるべくしてなろうなぁ・・。」

  半蔵:「・・・・・・・・・・」(じとーっと胡散臭いまなざし)

  忠勝:「・・・あのなぁ半蔵、」

  半蔵:「・・・。」

  忠勝:「・・・みなが調子に乗る前に、なんとかいたせよ?」

  半蔵:「・・・言われるまでもない。」(ぷいっと拗ねる)
  
  忠勝:「その拳を封印せよと申しておるのだ。」

  半蔵:「!!!」

  忠勝:「石田三成に伝授したそうではないか。」

  半蔵:「ああ・・・まぁ・・・・。」

  忠勝:「ならば、技は継承されたわけだ、おまえは封じろ。そして・・・・。」

  半蔵:「・・・・・・滅。」



  再び石田邸。



  幸村:「三成殿〜幸村まいりましたぁ〜。」

  三成:「む、来たか。」(いそいそと玄関へ)

  幸村:「・・・・・遅くなりました。」

  三成:「かまわん。・・しかし、後ろのは許可してない。」

  左近:「そりゃないんじゃないですかい?殿〜。」

  三成:「ふん。おまえがいるときは戦中か執務中だ。・・・で、何のようだ。」

  左近:「いやぁ大した用事ではないんですけどね、最近会ってなかったじゃないですか〜。そしたら幸村殿が歩いていたので声をかけたってわけですよー。」

  三成:「・・・では用無しか。」

  左近:「い、いやぁちょっとまってくださいよ!!用事はあるんですってば!!あのですねー、」


    左近三成に顔を寄せる。

    内々の話かと顔を少し下げる三成。


  左近:「じつは・・・・・、」


  
ちゅっv←ほっぺた


  三成:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピシッ!」

  直幸:「あ、」




  
ドゴーン!!!




  幸村:「か、華麗に決まりました三成殿のストレートアッパー!!天井に頭ごとめり込んだ左近殿はぴくりとも動きません!!いかがですか兼続殿?」

  直江:「見事だ、称賛に値する!華麗な技は服部殿から三成へと受け継がれたのだな!!」

  幸村:「やりましたね!三成殿!!おめでとうございます!!」

  三成:「うむ。俺も実戦では初めて使ってみたが・・・これからも精進しよう。」




  半蔵:「・・・!」

  忠勝:「む、どうした半蔵。」(鰻丼をほおばりながら)

  半蔵:「・・・」(じっと庭の向こうを見ている)

  忠勝:「おい、」

  半蔵:「御免」(シュッとかき消えた)

  忠勝:「・・・・・・・・・半分しか食しておらんではないか。」(半蔵のどんぶりを自分の方へ寄せた)




  三成:「さて・・・兼続はまぁいいとして、幸村の部屋だが・・・。」(今日はお泊まり会らしい)

  幸村:「・・・あ、」(立ち止まって庭へ降りる)

  直江:「お、おい・・・、」

  三成:「む。」

  半蔵:「・・見事。」

  幸村:「はんぞー。」

  三成:「感謝している、半蔵殿。これからも精進することを約束しよう。」

  半蔵:「うむ、励め。」

  直江:「・・・・・これでいいのか。・・・ん?どうした幸村、なに泣きそうな顔をしているのだ?」

  幸村:「・・・・・・・・・・はんぞー、」(上目遣いで推し量るようにもじもじしている)
  
  半蔵:「・・・・・・・・・・・はぁ。」

  幸村:「・・・・・。」

  三成:(直江の方へ寄ってきて)「何があったんだろうな。」

  直江:「まるで親子の図だな。」

  三成:「ああ。」

  半蔵:「・・・・・おいで。」(手を差し出す)

  幸村:(ちょっと警戒している)

  半蔵:「・・・幸村、」(手招きする)

  直江:「犬かなんかか?幸村は。」

  三成:「しっ!だまっておけ。」

  幸村:「・・・はんぞー、」(実はアッパー恐怖症になった)

  半蔵:「拙者の拳は三成殿にしかと受け継がれた。よって、もうおまえが怖がる必要はない。さぁ、」

  幸村:「・・・・」(そっと半蔵の手を取る)

  半蔵:「大丈夫だ。恐くない、恐くない。」(ナウ○カ)

  幸村:「・・・・うん。」(むきゅっと抱きしめた)




  ちょっと辺りが気恥ずかしくなってきた頃、なでこなでこと頭をなでられてる幸村は半蔵をひょいと横抱きにすると

  幸村:「いつもの部屋でよろしいですか?」

  と背中越しに訪ねてきました。

  

 
  三成:「ああ、いつもの部屋だ。我らももう部屋へ引っ込む。」

  幸村:「では。」

  三成:「・・・・・円満に終わったではないか。」

  直江:「・・・・うむ。」

  三成:「なんだその不満そうな顔は。」

  直江:「・・・・落ちナシか。」

  三成:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピシッ!」




  スパーン!!←閉じた扇を持ってアッパーした。




  三成:「俺は寝る。おまえは一晩そうやっていろ、明朝起こしてやる。・・・俺もまだまだ甘いな。」

  直江:「・・・・。」




  こうしてガラにもなく半蔵が幸村に抱えられておとなしくしている頃。

 三成は自室で九州に里帰りしている立花のお嬢さんからの女性にしては少々ごつく、でも流麗な文字でしたためられたお手紙を読んでいます。

 玄関では天井に首が引っかかったままの左近氏をどうしようかと家人達が首をひねり、

 廊下の天井に頭をつっこんだままの直江は被ったままだった兜をはずしてドタッ!と落ちたところでした。

 戦国の世がまだちょっと混乱していなかった頃の夜の一コマでございます。

















 忠勝:「・・・・帰ってこんなぁ。拙者も遑をこうか。」

 青山:「本多様、」(お茶を持ってきた)

 忠勝:「おお虎之助。半蔵はやはり戻らぬか?」

 青山:「そうですなぁ、まだ戻る気配がありませんので、心配事は解決したかと。」

 忠勝:「まったく、素直でないなぁ。」

 青山:「まぁあまりこういう事が得意というわけではありませんからね。鰻を3匹、桶に入れておきましたのでお持ちください。上物です。」

 忠勝:「うむ、美味であった。稲と食そう。」




 土用丑の日を記念して(なんざそりゃ)

 終幕
















 幸村:「ところで半蔵、」

 半蔵:「・・なんだ。」

 幸村:「浜松城下の屋敷に帰っていたのではないのか?」

 半蔵:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 幸村:「・・半蔵?」

 半蔵:「世の中知らない方が良いこともあるが故。」

 幸村:「そっか。」←馬鹿が付くほど素直。

 半蔵:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フッ。」

 幸村:(今笑ったっ?鼻で笑ったよなっ?!!)





 本当に終幕。