(雷鳴。)













 (洞窟。徐々に寄る。)







 (WPC秘密基地の中へ。)







 (受付を過ぎ、しばらく進むと・・・。)







 (ドア。)







 (ブレながら急激に近づき。)









 (真ん中の席に平等一郎。)













 平:どうも皆さん、こんばんわ。平 等一郎です。
 






 一同:こんばんわ。
 平:今回の会議は経費削減のため、懐中電灯一本で行いたい。それでは今日の議題だが、この現状の通り
    我々WPCは慢性的な資金不足に陥っている。





 平:今まで活動資金は寄付や募金・・・







 平:私の預金を切り崩して当ててきたが・・・







 平:新たな資金源を手にする必要に迫られている。どうだろう何か良いアイデアがあるなら、
    遠慮せずに発言してもらいたい。








 平:・・・ゴホン。えー、無いようなので私から提案させてもらいたい。WPCは地球環境の保全、世界平和、人類の幸福、
   そうした崇高な理念の下に集まっている集団だ。そこで人に必要とされ、感謝され、さらに人材の発掘、資金の調達まで
   可能とする方法を考え付いた。それは・・・。





 平:それは病院の経営だぁー!!
 (机を両手ではたいて立ち上がる。)






 緑黄魔人:あの・・・。
 平:なんだね。
 緑黄魔人:わっ!まぶしい!
 平:あ、ごめん。




 緑黄魔人:確かに素晴らしい案ですが、一体誰に病院の運営を託すおつもりですか。
 平:それならもう決めている。病田君、君に頼みたいと思う。






 病田:えっ!?僕ですか。
 平:君は優秀な科学者でもあり、医学にも造詣が深い。何より我々の中では一番人当たりがいいからね。
 病田:・・・・・わかりました。僕で出来ることなら全力で頑張ります。
 平:君ならきっと出来ると信じている。地域に愛される医療を目指してくれたまえ。




 平:病田君の決断に拍手。







 草刈族:それではWPC親睦ボーリング大会を行いますので、参加される方は・・・。
 平:待ちたまえ、まだ話さねばならないことがあるのだ。非常に悲しい報告だが・・・森内氏がお亡くなりになった。
 ゴキブラー元将軍:えっ!?





 ゴキブラー:何か事故にでも巻き込まれて・・・。
 平:いや、殺されたのだ。
 ゴキブラー:まさか山根に!!
 平:山根ではない。君達も聞いたことがあるはずだ。




 平:仮面ライダーWP。この男の名を。







 ゴキブラー:か、仮面ライダー・・・。
 草刈族:奴は我等の活動を阻止しようとしているのですか。
 平:それは分からん。だが、これ以上立ちはだかるようなことがあれば消さねばなるまい。しかし、今やらねば成らないことは、  森内氏の志を無にしないためにも、人類の絶対幸福というこの困難な理想に向かって全力で取り組むことだ。
   では森内氏の冥福を祈り、黙祷・・・。
   


 (全員黙祷する中、病田が写真を掴み取る。)







 病田:・・・・・。
 






 (喫茶ポエム。)









 マスター:最近元気ないなぁ朋ちゃん。
 虚仮太:親代わりだった人が亡くなったんだから仕方ないですよ。
 マスター:そういやお前、ずいぶん長いこと帰ってこなかったじゃねえか。どうだった仕事は?
 虚仮太:それが働いて数日で解雇させられちゃったんですよ。で、職場で知り合った人達に
      色々とお世話になってました。







 マスター:なんだか楽しそうじゃねえか。 
 虚仮太:ええ、最高でしたとも。






 虚仮太:ま、給料は全部使っちゃいましたけど。
 マスター:やっぱお前馬鹿だな。
 朋子:すいません、マスター。
 マスター:ん?どうした朋ちゃん。




 朋子:実は今日、早引きしたいんです。
 マスター:いいよ。
 朋子:それで虚仮太さんに付き合ってもらいたい所があるんです。大丈夫ですか。
 虚仮太:おう。




 朋子:今すぐ用意しますから。待っててくださいね。
 マスター:こりゃデートの誘いだぜ。
 虚仮太:どんなガサツな女でも、寂しさを癒したい夜ってもんがあるんですよ。
 マスター:へえ〜。
 虚仮太:抱いてやる。今夜抱いてやるとも!



 (虚仮太と朋子。)







 朋子:虚仮太さん、しっかり探して来てくださいね。







 虚仮太:職安かぁー。









 虚仮太:すいません。探している職業が見つからないんですが。
 職員:はい。どのような職種でしょう。
 虚仮太:ドライバーです。
 職員:運送業、もしくはタクシーでしたら・・・。
 虚仮太:いえ。



 虚仮太:F1ドライバーです。







 職員:えっ!F1!そういうのは・・・。
 虚仮太:ええ!ないんですか。
 職員:ほ、他には何か・・・。





 虚仮太:サッカー選手になりたいです!
 職員:・・・・・。
 





 (自転車に二人乗りする虚仮太と朋子。)







 朋子:残念でしたね。
 虚仮太:あー、でも頑張って下さいって言われたよ。
 朋子:良かったじゃないですか。
 虚仮太:うん!
 朋子:あ、そうだ・・・・・。じゃーん。
 虚仮太:何それ。
 朋子:マフラーです。虚仮太さん、寒くなってきても半袖らしいんでプレゼントです。

 虚仮太:こいつあいいや。
 朋子:・・・・・あれ?






 (数人の男に学生が取り囲まれている。)







 不良:オラァ!
 浮島 和樹:ガハァ。






 朋子:虚仮太さん!集団で暴行を受けてるわ。助けに行きましょ!
 虚仮太:いいよいいよ。面倒臭えよ。






 朋子:行くの!
 (朋子、マフラーを締める)
 虚仮太:キュウ〜〜〜。





 (自転車、土手を下る。)
 虚仮太:ヒエーーー!
 朋子:キャーーー!
 




 川辺:浮島ぁー。たったこれっぽっち金で土生さんが満足されると思ってんのかよ。
 土生:グヘへへ。
 川辺:あん?





 虚仮太:助けてー!!
 朋子:イヤー!!






 不良共:ウワーー!!









 土生:グヘェェェェ・・・・。









 土生:・・・・・。







 川辺:・・・・・。







 浮島:・・・・・。







 土生:グゥヘヘェェェェ・・・。







 (虚仮太、朋子空中を回転。)









 川辺:は、土生さぁん・・・。手前等何者だー!!
 






 虚仮太:金は欲しいが楽したい。楽して儲かるはずもない。
       怠け心が悪いのか、格差社会が悪いのか・・・。






 虚仮太:二十七歳、童貞無職。荒羅虚仮太!!







 朋子:袖触れ合うのも多生の縁と出会いはいつもダメ男。
     善意は押し付け、鞭も愛。腐った性根は容赦せぬ・・・。






 朋子:愛と折檻の美少女戦士。前田朋子!!







 川辺:ケッケッケッ。土生さんにあんな真似して生きて帰れると思うなよ。







 川辺:チーム汚頭に関わっちまったことを、あの世でゆっくり後悔しな・・・。







 川辺:手前等やっちまえー!!







 手下:ウオオオオォォォォォー!!







 虚仮太:助けねえぞ。
 朋子:大丈夫です。
 虚仮太:じゃ、やるか。
 朋子:はい。




 







 手下:ヒャヒャヒャヒャー。







 虚仮太:ヒョオオオオォォ・・・。















 浮島:・・・・・。







 浮島:かっ・・・・・。







 浮島:かっこいい・・・。







 浮島:かっ・・・・・。







 浮島:かわいい・・・。







 浮島:かわいいな〜。
 






 川辺:怪我しねえうちにトンズラしなきゃ・・・。
 土生:・・・・・グヘへ。






 川辺:ヒィッ!
 土生:グヘェグヘェ。
 川辺:すっすみません!





 川辺:あうううぅぅぅ・・・。







 川辺:イィヤァーーーッ!!







 (川辺の攻撃をよける中、倒れていた手下に足を取られてよろける。)









 朋子:・・・・・・?







 朋子:虚仮太さん!







 川辺:ぶべらっ。







 朋子:虚仮太さん、ありがとうございます。
 虚仮太:礼は奴を倒してからだ。






 土生:グヘへへへへへ。
 






 土生:スウオオオオォォォォ・・・。







 虚仮太:離れろ!!
 朋子:キャッ!






 (口から怪光線。)











 朋子:キャ〜〜〜ッ!!













 浮島:あぁ!!
 朋子:虚仮太さーん!!
 





 虚仮太:ヨッ!







 朋子:虚仮太さん!?
 虚仮太:くぅ〜、きく〜。
 (虚仮太、マフラーに手をかける。)





 虚仮太:オーレッ!!







 土生:モオ〜〜!!











 虚仮太:オブルアッ!!







 土生:グヘ、グヘ。









 土生:グヘ?
 川辺:は・・・土生さは〜ん。






 土生:グヘッ!?







 虚仮太:ふぅ〜。
 






 朋子:大丈夫ですか?
 虚仮太:ああ。
 浮島:あの〜・・・。
 虚仮太:あん?




 浮島:弟子にして頂けないでしょうか・・・。
 虚仮太:はぁ?
 浮島:あの、よろしければ稽古をつけて欲しいんです・・・。
 虚仮太:俺は面倒なことが・・・。




 虚仮太:弟子にしてやんねえ事もねえなあ。
 浮島:あ、ありがとうございます。
 虚仮太:君、いくら持ってんの?うひひ。
 浮島:えっ。
 虚仮太:生半可な気持ちじゃ困んのよ。お互い納得の上での契約って大切だと思わない?うふふ。
 浮島:・・・はぁ、五万円ぐらいならすぐに。
 虚仮太:少ない!!・・・でもまあ学生さんに大金は酷だよね。いいよ、つけてあげるよ稽古。

 浮島:はい!頑張ります。
 朋子:ちょっと!(朋子、虚仮太を突き飛ばす。)
 虚仮太:キャッ。
 朋子:君、名前は?
 浮島:う、浮島です。



 朋子:間違ってるわよ、浮島君。
 浮島:え・・・。
 朋子:学生が勝手に如何こう出来る金額じゃないし、もしそのお金が出せなかったら諦めるの。
     強くなりたいんだったら、まずは気持ちでぶつかりなさい!




 朋子:じゃなきゃ、どんなに鍛えたって本当の強さなんて一生手に入らないわ!!
 浮島:は、はい!






 浮島:浮嶋和樹といいます。僕にぜひ稽古をつけて下さい。よろしくお願いします。
 虚仮太:俺はよー、ボランティアじゃねえんだぜ。
 朋子:そうねー・・・・・一時間百円でどうかしら。
 虚仮太:うっ・・・。




 虚仮太:んじゃ、明日五時に河川敷の鉄橋の下でいいか?
 浮島:はい!
 虚仮太:じゃあ、俺等帰るわ。
 浮島:あ、あのお名前を・・・。
 虚仮太:俺は荒羅虚仮太。じゃあな。
 浮島:そちらの方は!!


 朋子:前田朋子よ、よろしくね。バイバイ。







 (浮島、土手に駆け上がる。)
 浮島:さよ〜なら〜。今日はありがとうございました。・・・・・・よし!!
 





 (河川敷。鉄橋の上を電車が走る。鉄橋の下に小さく虚仮太と浮島。))







 浮島:よろしくお願いしまーす!
 虚仮太:じゃあ早速始めるか。・・・・・ほれ。
 浮島:何ですかこれは?
 虚仮太:そいつでお前の実力と課題を見極めてやるよ。
 浮島:はぁ・・・。



 (布と棒。)
 浮島:これをどうするんです。
 虚仮太:目隠ししろ。
 浮島:はぁ・・・。




 虚仮太:見えるかー。
 浮島:見えませーん。
 虚仮太:よし、今から俺が攻撃するからな。その棒切れで反撃しろ。
 浮島:はい!!




 (暫らく石を手のひらでもてあそぶ。頭上で電車が移動。通過音が響く。石を空中で握る。)







 浮島:アイテッ!







 浮島:・・・さすが虚仮太さん。手加減なしですね。







 浮島:ヒィーー!!







 浮島:イヤァーーッ!!
 (やたらめったら棒を振りまくる。虚仮太、さらに一投。)






 浮島:ギャッ。







 浮島:ひどい・・・。一体どんな手を・・・。







 虚仮太:あ・・・。







 虚仮太:・・・・・イテ!
 浮島:・・・・・。
 





 浮島:卑怯じゃないですか!目隠しされた人間に石を投げるなんて。
 虚仮太:まあまあ。でも石を投げねえなんて一言も言ってねえぞ。
 浮島:そんなあ!





 虚仮太:確かに避けられねえかも知れないが・・・気付かなかったか。
 浮島:え?
 虚仮太:俺はずっと同じ場所からぶつけてたんだぞ。
 浮島:それが何だって言うんですか!




 虚仮太:お前は見えない恐怖とぶつけられた痛みから、やたらめったら動き回って方向感覚を失ってたんだ。
       しかも、足元に転がってる石ころが増えてんのにも気付いてねえ。
 浮島:あっ!





 虚仮太:闘いってのはな、どんなに追い込まれても、自分の置かれた状況を冷静に判断できなきゃ勝てねえんだよ。
       ・・・・・よし。
 (タバコを捨てて立ち上がる。)





 虚仮太:俺が見本を見せてやる。







 虚仮太:いいぞ。どっからでも来い。







 (石を同時に二個投げる。)









 浮島:・・・・・。













 浮島:まっまさか・・・。
 (浮島、矢印の方向にはける。)
 浮島:畜生!





 (草むらを探す。)
 浮島:何かないか、何かないか。・・・・・あっ!!






 浮島:ドラ〇ンキラーだ。
 








 浮島:もらったー!!









 浮島:真剣白刃取り!!







 浮島:はっ。







 浮島:わぁー。







 虚仮太:馬鹿野郎!死んじまうだろうが!!
 浮島:・・・・・ど、どうして僕の攻撃が。






 虚仮太:ああ、このマフラーここんとこが薄くなってんだよねー。







 虚仮太:なっ。
 浮島:ギャフン・・・。
 





 (川べりのコンクリに腰掛ける、虚仮太と浮島。西日が差している。)







 浮島:虚仮太さんって、やることがせこいですよね。
 虚仮太:違うな。俺がやったのは勝つための手段だ。一発逆転ってのは相手が勝てると油断した一瞬に訪れるんだよ。
 浮島:はぁ。
 虚仮太:で、強くなってどうする。銀行強盗でもするか?
 浮島:そんなわけないでしょ。僕はただ・・・。



 浮島:大切な人や、困っている人達の力になりたいだけです。
 虚仮太:ふ〜ん。
 浮島:虚仮太さんは人の為に何かしたいと思いませんか。
 虚仮太:ないね。飯おごってくれんなら別だけど。・・・・・まあ、社会正義だとか人助けなんていっても、人間は案外
       利己的なもんだ。理屈に足元すくわれねえようにしねえとな。



 浮島:・・・・・・。(不服そう。)
 虚仮太:別に悪く言ったんじゃねえぞ。
 浮島:・・・・・。
 虚仮太:まあ、気をつけろってことだよ。




 虚仮太:ほれ。(ジュース差し出す。)
 浮島:え?
 虚仮太:ノド渇いたろ。飲めよ。
 浮島:有難うございます。でも、今日の稽古が一時間で百円。それだと240円で140円の出費ですよ。
 虚仮太:うっ・・・・。



 浮島:・・・・あの〜、一つ聞きたいことがあるんですけど。
 虚仮太:ん?ゴクゴクゴク・・・・。
 浮島:・・・・・もしかして・・・虚仮太さんと・・・とっとっとっ朋子さんは、付き合ってるんですか!!
 虚仮太:ブハアッ!!




 虚仮太:馬鹿野郎!!冗談も休み休み言えってんだこの野郎!!そんな筈ねえだろうがぁ!!
 浮島:あ、そうなんですか。
 虚仮太:俺はアイツのせいで何度殺されかけたか。殴るは蹴るは罵るは、俺はアイツに一生消えねえ
       傷を付けられちまったよ。




 虚仮太:いつか朋子の暴力女を、叩きのめしてやるのが今の俺の生きがいだな。ヒイヒイ言わせてやる、ヒイヒイ。
 浮島:あわわ・・・。
 虚仮太:はっ!





 朋子:誰を叩きのめすだってぇ。







 虚仮太:アハハハハ。嫌だな〜。朋子さんは親切で思いやりに溢れていて、誰よりも気高く美しいって
       ”たたえほめて”いたんですよ・・・。
 (暗転。打撃音。ドガ!ドギャ!ドス!)





 朋子:浮島君、行きましょ!
 浮島:はい。それじゃ虚仮太さん、さようなら。
 虚仮太:・・・・・お疲れ様でした。明日は休日なので、三時集合でお願いします。お気をつけてお帰りください。
      さようなら〜。ゲフッ!!・・・・・・。
 



 (朋子と浮島。)
 浮島:虚仮太さん、大丈夫ですかね。
 朋子:大丈夫。半日寝てればすぐ元気になるから。
 浮島:はぁ。・・・・あのぅ。
 朋子:浮島君。
 浮島:は、はい。
 朋子:今日の稽古はどうだった。

 浮島:ああ、ええ、とても勉強になりました。
 朋子:虚仮太さんって普段いい加減だけど、他人に優しかったり親身になってくれたりするのよね。
 浮島:・・・・・。





 朋子:頑張ってね。浮島君のこと応援してるから。
 浮島:はい!!あ、あの!!
 朋子:え?





 浮島:明日のことなんですが。良かったらですけど稽古を見に来ませんか。そ、それで僕と一緒に行ってくれたりとか、
     もちろん良かったらですけど。お願いします!!
 朋子:うん、いいわよ。どんなことやってるか気になるし。
 浮島:本当ですか!有難うございます!!
 朋子:じゃあ、明日の二時半に公園で会いましょ。私、こっちだから。じゃあね。



 浮島:朋子さんさようならー!!そして、有難う。絶対待ってますからー!!
     ・・・・・アハハハハ。
 (小躍りする浮島。背後の電柱に人影。)





 川辺:ケケケケケケケ・・・。
 






 (闇夜に浮かぶ不気味な建物。)









 川辺:と、言うわけです。







 土生:グヘへへへへ。
 川辺:ケケケケケケ。






 (ドアの向こうから土生と川辺の笑い声が漏れている。)
 手下:ふぁ〜。ん?何だ手前等。
 山本:土生さんに呼ばれて来たんだが、通してもらえるかな。
 手下:あー!?うっせー、とっとと失せろ。




 手下:ギャ〜〜〜!!
 川辺:・・・なんだぁ?
 山本:手下はちゃんと教育しとけって言わなかったかい?川辺君。
 川辺:俺のこと気安く呼びやがって、誰だコラー!
 山本:おやおや・・・。



 山本:ぶっ殺されたいのかな?
 川辺:山本さん!!大橋さん!!
 山本:土生さん、お久しぶりです。





 土生:グヘへ。
 川辺:マジだ・・・。土生さん、マジに奴等を殺す気だ。






 土生:グヘへへへへへ〜!!
 (笑い声と共にカメラを月に向かって上げ、一旦停止後、カメラ降下。)
 





 (民家。二階の窓から明かりが漏れている。)







 (机に向かっている後姿。徐々にカメラが寄る。)







 浮島:うふふ。
 (手に女性のフィギュア。棚にも多数の人形。)






 浮島:あー、明日は緊張するなー。・・・・・・・・・・・・。







 浮島:ウワー!!どうしよう、どうしよう。







 浮島:アハッアハハハ・・・・。
 (次第に日が差し、小鳥のさえずり。)






 浮島:アウ〜・・・・・。
 






 汚頭A:・・・おい。
 汚頭B:ん?
 A・B:うひゃひゃひゃひゃ。





 (浮島がフラフラと歩いている。塀の間の路地裏から手が出て、引きずり込まれる。)







 浮島:うっ。







 A:俺達ラッキー。
 B:でもまあ、このまま連れてくのも面白くねえかんなー・・・。






 B:遊ばせてもらうぜー!!









 B:ああん?







 登田:・・・・・!!







 B:ぎゃっ。
 A:野郎ー!!何しやが・・・。(A、登田に向かって行く。)






 A:るるん。
 浮島:つ・・・・・。






 浮島:強い!!
 






 浮島:僕を弟子にしてください!ぜひお願いします。
 登田:・・・・・!?
 東海林:馬鹿野郎!登田さんは弟子をとらねえ主義なんだよ。困ってらっしゃるじゃねえか。
 天毛:そうよ!登田さんは私達の登田さんなのよ。気安く土下座なんてしないで。




 浮島:そこをぜひ!!
 天毛:キーーッ。しつこいわよ!
 東海林:手前いい加減にしろ!
 (登田が何かに気付き、東海林を制す。)




 浮島:弟子にしてくれるんですか!!
 登田:・・・・・。
 浮島:え?







 浮島:・・・ワールドピースクリニック。・・・内科、小児科、肉体改造?







 浮島:ここに行ってみればってことですか?
 登田:・・・・・。






 天毛:登田さんのそういうさりげないとこが、ス・テ・キ♪
 東海林:そこに痺れる憧れるー。
 浮島:有難うございました。早速行ってみまーす。
 




 (自動ドアの開く音がして、浮島は病院のカウンターへ。)
 浮島:おはようございます。
 受付:おはようございます。
 浮島:あの、ここの病院では肉体改造してくれるんですか?
 受付:はい。そちらでお待ちください。



 真ん中のお婆さん:・・・そういえばアサさん。右手に力が入らないって言ってたけど、塩梅はどうかね。
 アサ:ここの院長さんに見てもらったら、すぐ良くなったよ。
 (鞄から林檎を取り出す。)





 アサ:ふん!!
 浮島:ワー!!
 受付:浮島さん、どうぞ。
 浮島:はい!!




 浮島:失礼しまーす。
 病田:はーい。






 病田:どうなさいました。
 浮島:ここでは肉体改造をしてくれるんですよね。
 病田:・・・ええ、そうですが。
 浮島:僕に肉体改造をして強くしてください!
 病田:お断りします。
 浮島:えっ?


 病田:医療上の必要性がなければ施術いたしません。
 浮島:で、でもお婆さんが林檎を握りつぶしてましたよ。
 病田:握力を回復させたんです。
 浮島:そんな!高齢の女性にシュトロハイム少佐みたいな握力なんて要らないじゃないですか。
 病田:・・・・・。



 病田:こだわりますねー。何故です?
 (回転椅子を左右に反転しつつ。)
 浮島:たくさんの人達の力になりたいだけです。
 病田:嘘でしょう。




 病田:本当は自分を認めない世間や、馬鹿にする奴等に復讐したいだけなんじゃないんですか。
 浮島:・・・・・。
 病田:・・・まあ、本当に善意から考えているとしても、他者への救済、援助が目的ならば、今の貴方でも
     十分可能です。他の患者さんがお待ちです。お引取りください。
 浮島:・・・・はい。



 浮島:どうもすいませんでした。失礼します。
 病田:お大事にー。
 





 病田:・・・ちょっと待ちなさい。
 






 病田:この手術で君は、人類を超越した能力を手に入れる。しかし、その能力の発現時、恐るべき本能の呼び声、
     獣性の叫びに襲われるだろう。それを抑圧し、コントロール出来ないようなら、君の目的も人間としての生活も
     失うことになる・・・。





 病田:それでもまだ手術を受ける勇気があるか!!







 浮島:スーピー、スーピー・・・。(寝ている。)
 病田:・・・・・。






 浮島:ギャアッ!!
 (病田、注射をして背後の写真をつかむ。)






 病田:・・・・・。







 浮島:・・・・・・。
 病田:・・・手術は成功した。気分は悪くないかい?
 浮島:・・・え。





 浮島:・・・手術?え、もう終わったんですか。
 病田:気分は悪くないかい。
 浮島:何ともないですけど。
 病田:じゃあ、今すぐ帰ってもらっても大丈夫だよ。
 浮島:ああ、はい。有難うございました。あの手術代は・・・。
 病田:ああ、別にいいよ。


 浮島:え?いいんですか。
 病田:うん。
 浮島:有難うがとうございました。それじゃ失礼します。
 病田:・・・名前を聞いていなかったね。
 浮島:浮島といいます。
 病田:浮島君か・・・。そうだ・・・。


 病田:これを渡しておこう。
 (浮島、紙片を受け取る。)
 浮島:W・P・C?ワールドピースクラブ・・・。
 病田:ここに連絡してみなさい。きっと君の力になってくれるよ。




 (病院の玄関前。腕時計を見て浮島駆け出す。)









 







 (浮島、腕時計を気にしながら駆け抜ける。その後トラックが現れる。)







 (子供がボールを蹴飛ばす。)









 トラック運転手:わあっ!!







 浮島:わあっ!!







 子供:わあっ!!







 (トラック急ブレーキ。慌てて運転手飛び出し、おろおろしてからその場で頭を抱える。)







 (ボールが上から落ちてくる。)
 運転手:・・・・?








 浮島:・・・?
 






 (公園。)







 朋子:・・・・。
 川辺:お待たせー。
 (朋子、振り返る。)





 川辺:ケケケケケケ。
 朋子:あ、いつぞやの。またのされたいの。






 川辺:クソアマァ。あんなので勝った気になるなよ、コラァ。今日はと〜ても強い方に来てもらってるからよー。
     大橋さん、宜しくお願いします。








 朋子:なんだったら後ろのお友達も呼んだら?







 大橋:・・・・・必要ない。







 大橋:ウオオリィィィ。







 大橋:リィィヤァァァ!!
 






 川辺:出たぁ!攻防無敵壁ラッシュ!あの拳を潜り抜けての攻撃は絶対不可能だぜー!!











 大橋:・・・な、何だと!?









 朋子:クロスサンダー!!







 朋子:うっ!







 川辺:ケケケケケ。
 






 浮島:ハァハァハァ・・・。







 浮島:まずい!まずいよ。完全に遅刻だよ。・・・折檻されちゃうかも。だけど・・・それもいい!







 浮島:遅れてすみませーん!!・・・ん?







 浮島:これは朋子さんのゴム輪。







 浮島:がはっ!!
 川辺:おせーよ、マヌケ。








 川辺:あ、もしもし川辺です。今、浮島確保しました。







 川辺:女の方は大橋さんが連れて行ってます。







 土生:グヘへ。
 川辺:あ、そうなんすか。






 土生:グヘへへ。







 川辺:ケケケケ、わかりました。それじゃ失礼しま〜す。







 川辺:あれ?







 川辺:チッ、どこ行きやがった。ん・・・。
 怪人:シュ〜〜〜〜。






 怪人:シュゥ〜ハァ〜・・・。







 川辺:ギャーーーッ!!
 








 山本:虚仮太さんですね。
 虚仮太:あ〜、何だ手前は。






 山本:汚頭の山本といいます。今日は貴方をご招待しに来ました。
 虚仮太:へ〜、そいつは良いや。だが・・・。






 虚仮太:今から用事があるからよ。遠慮しとくわ。じゃあな。
 山本:フフフ・・・。






 山本:ご心配なく。浮島君も、えーと朋子さんでしたか。お二人ともお待ちですよ。







 虚仮太:そりゃまた手が早い・・・。







 虚仮太:なっ!!









 山本:フフフ・・・。死なない程度にいたぶって差し上げますよ。







 虚仮太:ずいぶん優しいじゃねえの。







 山本:よく・・・。







 山本:知ってる!!
 










 虚仮太:くっ。







 山本:実にいい判断です。このチタン製の杖、まともの食らえば腕の骨ぐらい簡単に砕ける品です。







 山本:しかし、次の一撃で終わりにして見せましょう。
 虚仮太:あのなー、そんな大振りの攻撃あたりゃしねえんだよ。手前が疲れきったところを・・・。
 (虚仮太の背後で物音。)





 虚仮太:うわ!
 (肩に矢。)
 山本:フフフ・・・。





 山本:フハハハハー。
 手下:フーッフーッ。








 山本:フハッ!!







 









 山本:フフフ・・・。ん?







 山本:ゲフッ!
 (虚仮太の蹴りが山本の顎を捉える。)






 山本:ギャフ。







 山本:な、なに・・・。







 虚仮太:ビリッと来たー!!
 山本:そんだけー!?






 虚仮太:くうーっ。
 山本:手前らー!!






 山本:さっさとやっちまわねえか!!
 手下:うおおおおおー!!






 虚仮太:あ・・・。







 虚仮太:ヒャアッ!
 






 (虚仮太、土手を駆け上がる。)







 虚仮太:とりゃ。







 手下:ウオオオオオ!!







 (電柱の影に。)







 (仮面ライダーWP)







 手下:ウオオオオオ!!







 (電柱にヒジ打ち。柱にヒビ。)







 虚仮太:どうせい!!









 (電線が切れる。)







 (町が停電。)







 (電灯が消える。)
 






 手下:ウオオオオオ!!







 虚仮太:オラー!!







 手下:ワーイ。







 山本:あれ?







 山本:わー!?







 山本:え?







 山本:ヒーッ!!







 山本:ギャー!!







 山本:・・・・・・あれ?







 虚仮太:ふー・・・。







 虚仮太:大丈夫か?
 山本:ハイッ!
 虚仮太:知ってること喋ってもらおうか。





 山本:ぜひっ!!
 (3秒後、次のコマ。)






 











 手下A:で、聞いたところによるとよー。
 手下B:それでそれで。
 手下A:なんだったけかなー。
 手下B:・・・ん。




 手下A:あー・・・。







 手下:大橋さん、窓のシャッター開けますか。
 大橋:・・・・・万一、悲鳴が漏れたら面倒だ。・・・・・ロウソクをともせ。
 手下:へい。







 手下A:ハ・・・ハァ。







 手下A:ハ・・・ブさ〜ん。ハ・・・。







 手下A:ブッ!!







 土生:グヘへ。
 大橋:・・・・・チッ。






 大橋:・・・・・死ね!
 






 (ロウソクの炎がゆらぎ、影が動く。浮島の姿が一瞬掻き消える。)







 (変身。)











 大橋:・・・・・アアアァァァ。







 浮島:シュ〜・・・。







 (手下、後退り。)







 浮島:ハァ〜〜!







 手下:ひえー。
 手下:助けてー。
 手下:化け物ー。





 手下:手前何やってんだ!早く開けろ。
 手下:うるせー!あかねえんだよ。
 手下:あっ。





 浮島:シュ〜。







 手下:ギャー!!









 









 土生:グヘ?









 土生:グヘーー!!







 土生:グヘー!グヘグヘグヘ!







 土生:グッへ。









 土生:グググググ。グッ。







 浮島:シュ〜ハァ〜。







 土生:・・・グヘへへへへ。







 







 浮島:シュ〜・・・。







 浮島:ハァ〜・・・。







 虚仮太:ふ〜。俺の出番は・・・。







 (浮島、朋子に手を伸ばして一度止め、再び差し出す。)







 (朋子の目隠し、口元のテープをはずす。気絶している)







 浮島:シュ〜・・・ハァ〜・・・。









 虚仮太:おおっ!







 浮島:シュ〜ハァ〜。
 虚仮太:オイッ。






 虚仮太:パンツ見るぐらいならガタガタ言わねえが・・・。







 虚仮太:そいつはちょっと見過ごせねえな。







 浮島:・・・か、仮面ライダー。
 病田:仮面ライダーは・・・。






 病田:仮面ライダーはお前の敵だ!!







 浮島:シュ〜ハァ〜。







 浮島:ハアッ!
 






 (浮島の攻撃は不発。)















 虚仮太:え?あれ?どこ行った?







 虚仮太:う〜ん。







 虚仮太:お〜い、ほったらかしんすんなよ〜。







 虚仮太:・・・まっいか。帰るか。









 虚仮太:んん?







 虚仮太:ワーッ!!
 






 虚仮太:ワーッ!!







 虚仮太:ワーッ!!









 虚仮太:ギャ〜〜ッ!!







 虚仮太:ギャ〜〜ッ!!







 虚仮太:イテッ。







 虚仮太:こいつは・・・。
 






 浮島:シュ〜ハァ〜。













 虚仮太:くっ。







 (ジャンプで土嚢の陰へ。)







 虚仮太:畜生・・・。







 虚仮太:!!









 虚仮太:へへへ・・・。









 虚仮太:ギャフッ。







 虚仮太:ハァハァ・・・。







 虚仮太:ハァハァ・・・。







 虚仮太:・・・はっ。









 虚仮太:ハァハァハァ・・・。







 虚仮太:・・・・・。
 






 浮島:ゲフッ!











 浮島:ガハッ・・・。









 (電灯がつく。)







 浮島:ハッ!







 虚仮太:ふぅ〜、やっと電気が復旧したか。
 浮島:・・・何故だ。どうして後ろにいるのが分かった。
 虚仮太:ああ・・・。





 虚仮太:ほれ。明るいから分かりにくいかもしんねえが、手に蛍光塗料を塗ってんだよ。
 浮島:えっ。
 虚仮太:手前の尻尾見てみな。





 浮島:これは・・・。
 虚仮太:どうよ。
 浮島:く、くそぉ・・・。
 虚仮太:残念だったな。




 浮島:クッソたれがー!!
 








 虚仮太:あん?









 虚仮太:イヤ〜〜ッ!!







 虚仮太:キャ〜〜ッ!!







 虚仮太:キャ〜〜ッ!!







 虚仮太:・・・・・。









 (土生達がやられた部屋。開け放たれた窓へ駆け出す。)







 (窓から身を乗り出す。)









 浮島:シュ〜。
 虚仮太:野郎・・・。






 (屋上。)
 浮島:・・・シュ?






 虚仮太:追いかけっこは終わりだろ、なあ。
 浮島:ああ・・・・・。






 浮島:当然!!
 








 朋子:・・・・・ん。







 朋子:仮面・・・ライダー?







 (朋子、再び失神。)







 浮島:シュ〜ハァ〜〜ッ。







 虚仮太:くぅ〜。







 虚仮太:オラァ!







 浮島:ギャッ!











 







 (浮島、必死に腰のナイフを探すが見当たらない。)
 虚仮太:・・・このあたりで手打ちにしねえか。お前の気がすまねえんだったら、パンツぐらい持って帰ってもいいぞ。






 虚仮太:ただ女には手を出すな。じゃないと俺の夢見が悪いからよ。
 浮島:お、お、お・・・。






 浮島:お、お、お・・・。







 浮島:俺をナメるなー!!







 虚仮太:うわっぷ!









 浮島:動くなー!!動くとこの女・・・。







 浮島:あ・・・。
 虚仮太:ライダー!






 虚仮太:キィーーク!!









 浮島:!!







 浮島:!!
 






 朋子:・・・・・ん。・・・ここは?
 虚仮太:お、気付いたか。
 朋子:虚仮太さん、私一体・・・。





 虚仮太:ああ、汚頭の奴らに捕まっててな。
 朋子:あ!そうかあの時。・・・虚仮太さんが助けてくれたんですか?
 虚仮太:おお。・・・まあな。
 朋子:・・・ありがとうございます。
 虚仮太:ん?いや・・・。
 朋子:・・・あの、虚仮太さん。・・・何でもないです。


 虚仮太:・・・ああ。
 朋子:・・・・・・あっ!?
 (朋子、自らの異変に気付く。)





 朋子:てめえ・・・・・・。
 虚仮太:うん?お礼ならビール券がいいなー。






 朋子:このド変態野郎がぁ!!
 虚仮太:ぶっ!?






 朋子:死ね!クソ馬鹿!!
 虚仮太:ど、どぼじで〜。






 (土生リーランド。パトカーと警察。)







 公洋:こりゃひでえや・・・。







 公洋:たく、どこの馬鹿野郎だ、こんなに殺りやがったのは。







 (朋子の下着。)
 公洋:・・・・・・・。








 岡崎:前公さーん!
 公洋:な、なんじゃい!!
 岡崎:転落死した学生がこんなものを持ってました。





 公洋:あー・・・。







 公洋:ワールドピースクラブ〜?







 (夕方。西日が差している。手前は通過する電車。中央に、座って石を投げている虚仮太。)







 虚仮太:・・・・・。







 仮面ライダーWP 第三話 完