人は去り行く朝日を浴びて

  ある日全国の少年少女が
  突然ひきつけのような発作を起こして
  死んでしまうという現象が起きた

  ある少年は家族との食卓で死に
  ある少女は塾の勉強中に死んだ
  そんな子供達が物凄い数で現れたのだ

  知識人や行政に解決策はなく
  死体を一ヶ所に集めて処分するしか出来なかった
  各々近所の公園に子供の屍骸が集められ
  公園は子供の屍骸で溢れんばかり
  そういった光景は日本全国、各市町村のありふれた日常になった
  そうして集められた死体は
  役所が焼却処分した

  誘蛾灯に舞う羽虫のごとく
  いつしか公園のかがり火に人々が集うようになった
  彼らは子供を亡くした親達だ
  そして、親御さんは炎の周りで
  フォークダンスを踊るのだった

  「あら、奥さん宅のケイタ君も死んじゃったの」

  「ええ、ゲーム中に突然引っくり返って。
  あれほど宿題した後にしなさいって注意したのにねぇ、オホホ」

  「マミ子ちゃんのお父さん顔が赤いですよ。
  お酒飲んでるんですか」

  「ハハハ、うちの子も死んじゃって。
  マミ子は可愛くて動物好きの優しい子だったんですよ。
  学級委員もやってたのにねえ。
  ああ、あそこで燻ぶっているのがマミ子です」

  彼らは狂ったように踊り続ける
  悲しみが深ければ深いほど
  そうして本当に狂うのだ
  太陽が東から顔を出す頃、無言で彼らは去っていく