愛媛の名桜 F
                 大本神社の「伊達桜」
                               〈種名・エドヒガン〉
                       宇和島藩主伊達秀宗献納の桜
  鬼北町の盆地のほぼ中央部、県道57号脇に大本神社は位置する。境内には数十本の桜があり、古くから「伊達桜」として、地元の人に親しまれている。伊達桜は展開テンカイ一般イッパンのエドヒガンよりスコハヤく、淡紅色の清楚な花と同時に、淡い緑の葉が芽吹きハジめるメズラしい形質ケイシツをもっている。
  本殿前の二本の桜は、伊達秀宗が初代宇和島藩主として仙台から入国した際に献納したものと伝えられている。「花は大本、南国一よ、殿のお手植え、伊達桜」と詠われ、この木の下で、宇和島、吉田両藩の観桜の宴が開かれたと言う。毎年4月5日に開催される春の祭り「清明祭」の頃満開になると伝えられているが、温暖化の影響か近年少し早いようだ。
  境内にはエドヒガン(別名ウバザクラ)の他に、シダレザクラ(別名イトザクラ)も数本ある。この二種の群生保護の為、昭和24年愛媛県天然記念物に指定された。400年の時を経て桜樹同士の自然交雑が進み、原種の伊達桜が減少しつつある。雑種強勢は桜の世界でも見られる現象である。
                                                                    (樹木医 森本政敏)
   
【メモ】
 1.場所 北宇和郡鬼北町内深田218 大本神社    
 2.平成ヘイセイ18年の満開時期 4月2日〜4日
 3.写真の撮影日 平成23年4月2日