広く 広く


 修学旅行で行った薬師寺で、いいお話を聞いた。
 薬師寺は昔からお坊さんがおもしろい話しをしてくれるので有名。自分が中学生の時もそうだった。
 未だに覚えている一言がある。「美人は3日たったら飽きるが、ブスは3日たったら慣れる」ての。

 今回は、最後に「一緒について言ってください」と生徒たちに唱和させた言葉がよかった。
「かたよらない心 こだわらない心 とらわれない心」
 そのあとがうろ覚えなんだけど「広く 広く これが般若心経の心」と続いたと思う。

 3つの心に感動した。
 この3つは楽に生きるために必要なことだなと思ったから。
 何かに執着して自分で自分を縛ってしまうこと、多いような気がする。
 それが「生きる」ということでもあるし、ほんとにそういうもの捨てたらそれこそ出家なんだけれど、
 自分は今、不安定な心でいるのだと知るだけでも違うよね。

 偶然か仏のご縁があったのか、翌日利用したタクシーの運転士が薬師寺に詳しくて、道々レクチャーしてくれた。
 薬師寺の本尊である薬師三尊は如来様とその両脇の日光菩薩、月光菩薩からなる。3体で1つの仏なのだそう。
 如来は人間の体
 日光(「じっこう」と読むのが正しい、と運転士さんは言っていた)は人間の感情
 月光(がっこう、と読みます)は人間の理性なんだって。
 日光と月光はどちらが強くてもいけない。だから薬師三尊は左右対称に作られている。
 先の3つの心とあわせて、バランスを尊ぶお寺さんなのかなあと思ったりした。
 バランス。人の心のバランス。バランスを崩したとき、人はおかしくなってしまう。病気にもなる。
 
 たとえばね、「かたよらず、こだわらず、とらわれず」人を愛するなんて絶対ありえないと思うのね。
 けど、その中でバランス保って、自分を保っていくしかないじゃない。人生はタイトロープ。
 
 3つの心の次に「広く 広く」という言葉。
 空や海、自然の広大さに触れた時、気持ちがスーっと軽くなる。
 自分の苦しさが客観視できたり、自分だけじゃないと思えたりしたら、それだけで軽くなる。
 いつもいつもそれでは、単なる鈍感だけど(笑)。やっぱりバランスだよね。

 sarangなりに考えた、薬師寺の教えです。
 今、自分はこだわっている。とらわれている。苦しいからこそ、出会えた言葉かもしれない。