兄妹


 オトコとオンナの友情は成り立つか?なんてよく言われる。
 いや、それがテーマなんじゃない。
恋愛抜きでオトコとオンナはつきあえるものなのか?ってのがテーマ。
 この場合、つきあうというのは体のおつきあいではないよ。いわゆる「セフレ」ってやつね。あれはまた別問題。


 「キミと、
恋愛感情ぬきでつきあいたい」
 とムチャクチャなこと言われたことがある。
 
なに、それ?と思った。でも、好きだったからOKした。ただし、その「好き」というのはとても不確かな感情だった。だから彼が恋愛抜きを望むなら、それはそれでいいと思ったの。
 私は社会人1年生だった。働き始めて、いろんなことに戸惑って。泣きそうな日もあって。
 彼はそんな日々を支えてくれた。彼もまた、「
僕をわかってくれるのはキミだけ」と言ってた。でも、恋愛抜きカラダ抜き。そう、まるで兄と妹のような関係。
 彼は「私」についてアドバイスをたくさんくれた。自分が気づいてない自分の一面を知ることができたと思う。

 理解しようとしてくれる、わかってくれている。
 この感覚は不安がいっぱいの私には居心地いいものだったな。
 でも繰り返すけど、
恋愛抜きなの。


 
そのうち苦しくなってきた。しかもお互いが。必然かも。


 だったら、恋愛感情を導入すればいいものを、そこに踏み切ることはできなかったんだ。
 なぜかはわからない。多分、私のせい。あまりにも、「兄」としてのあたたかな目が居心地よくて。
 
恋人になったら関係変わるでしょ。
 そして自然消滅した。

 いったいあのつきあいって何だったんだろう。って今でも思う。
 友情じゃない。恋愛でもない。
 でもあの時期、お互いがお互いの存在を必要としていたのは確か。
傷をなめあう動物?