雨の贈り物
雨の日は苦手です。傘を叩く雨音が周りの音をかき消してしまうからです。
自動車の音、自転車の音、雨音がみんなかき消してしまいます。
そして、雨は、道に水溜りをつくります。私は、その水溜りをよけて歩くのも苦手です。
でも、私は、雨を嫌いにはなれません。
なぜなら、今まで雨は私の代わりに幾度となく泣いてくれました。手術の日も,そして、右眼の失明宣告を受けた日も窓の外は雨でした。
雨は、私と一緒に泣いてくれました。私の涙をかき消してくれました。
そして、ある日、雨が私にくれたプレゼント、それは、水溜りに映った七色の虹でした。空に架かる虹の橋が、見えなくなっていた私にも、水溜りに映った虹は、微かにでしたが見えたような気がしました。それは、きっと空の虹とは比べものにはならない小さな虹でしたが、私には、かけがえのないプレゼントでした。