嬉しい言葉

 私には、どんな誉め言葉より、ねぎらいの言葉より嬉しい言葉があります。それは、
 「全然、普通だね」とか「障害があるなんてわからないね」とかそんな何気ない言葉の一つ一つだったりします。
 右眼が、まったく見えていないことは否定しようのない現実、左眼も、視野の大部分が無くなっていることも事実、だから、人や物とぶつかったりぶつかりそうになったり、時に、肝心な物が見えていなかったりすることもあります。
 でも、極力障害者としての自分ではなく、一人の人間としての自分でいたいと思っているから、できるだけ、障害を前面に出すことはしないようにしています。それは、障害を隠そうとしているというのではなく、障害を私の中の一部分として周囲には見てもらいたいからです。
 だから、「全然、普通だね」とか「障害があるなんてわからないね」とか言われることが何よりも嬉しかったりするんです。
 時に、それは、私自身を苦境に追いやることもありますが、それでも、障害者としての私だけでなく、どこにでもいる平凡な人間としての私を見ていてくれる人がいることに感謝せずにはいられないんです。
 朝起きて眠るまで、自分の障害を感じずに過ごすことなんて無理なことです。でも、時々、自分の障害を忘れそうになっている時はあります。そうさせてくれるのは、他でもない周囲の人たちのおかげだと思っています。そういう環境のなかで生きて来れたこと、生きていられる今に、心からの「ありがとう」を言いたいと思います