何故かは、わからないけれど、無性に夕暮れの空が見たくなった
 デジタルカメラで撮影した
 そこには、私の瞳では直接見ることのできない優しい色合いの夕方の空と雲があった
 思わず、泣きたくなった
 遠い昔、私は、この空を見上げながら何を考えていたのだろう
 そういえば、こんな夕暮れの空の下、自転車に乗って学校から帰っていた時期もあった
 妹とバトミントンをしていた時期もあった
 何もかも、遠い昔の思い出…
 変わらないのは、今も昔も私を包み込んでくれるこの優しい夕暮れの空
 
 夕暮れの空を見てみたいなんて、少し色んなことに疲れているのかもしれない

 何を思って夕方の空が見たいなんて衝動にかられたのか、定かではないけれど
 人間は、いつもないものねだりで、手に届くところにあるものに対しては、なぜか無頓着だけど
手が届かなくなってはじめて、そのものの大切さに気がつくものだから、見上げれば、いつでも
見たい空があった時には、夕暮れの空なんて何とも思いもしなかったのかもしれない
 それが、今私の瞳に直接には思うように映らなくなってはじめて、とても、懐かしく、そして、心から
見たいと想うようになったのかもしれない


 デジタルカメラで撮影したパソコンの中の夕暮れの空だけど、今の私にとっては、
これが、私の大切な風景

 優しい夕暮れの空と頬を撫でていく風に包まれながら、私は、今日も生きている
 

夕暮れの空