現 実
先日、病院で書いてもらった診断書の「予後」の欄に書かれているひと言、
「視力の回復は困難」
そう書かれたのは、今回がはじめてのことではないけれど、やはりそのひと言は心に痛い気がする
自分が一番よくわかってることだし、視力の回復どころか、一生今の視機能が残っているという保障さへ
どこにもないってことも…
それでも、「現実」に目を向けるとき、やりきれない想いになることもある。
今の視機能が残っているだけでも奇跡、感謝しないといけないことも、十分わかってるつもりだけど
言葉って残酷だなぁと想う。「視力の回復は困難」、そんな10文字にも満たない言葉で、未来が決定づけ
られるのだから…
特に、その言葉を気にして落ち込むようなことは、今更あり得ないことだけど…
「視力の回復は困難」だからこそ、今を精一杯で走り続けることしか、私にはできないのかもしれない。
落ち込んだり、悲しんだりしてるより、今できること、今だからできることをすることが、大事なんだと想う。
夜空の月が見えていた時もあった。
青い空の入道雲が見えていた時もあった。
太陽の下で、バレーボールを追いかけていた時もあった。
さっそうと自転車で、海岸線の道を風をきって走っていた時もあった。
そして、太陽の光を眩しいと感じる時もあった。
挙げればきりがない。昔は、何でもなかったことが、今は、もう遠い昔のなつかしい想い出として甦ってくるだけ…
あの頃は、あの頃で、その時を精一杯全力疾走していたから、今ここにある現実と向き合うとき、悲しいとか、
辛いとか、そんなことは思わないけど、正直なところ、「もしも、戻れるものなら…」そう想うことはある。
それは、仕方のないことかもしれない。もっともっとやりたかったことはあるのだから…
きっと、これからも、同じように、「あれもやりたかったのに…」「あの時、あれをしておけば…」そう思うときは
いっぱいあると思う。だって、私は、欲張りだから…。
視機能には、限界があっても、自分が諦めない限り、可能性に限界はない。そう思っているから・・・