治療例 −褥瘡−


褥瘡は治療しても意味がないという方がいますが,大きな間違いです。誰でも,自分自身の体に傷があって楽しいはずがありません。傷があれば,当然皮膚の機能障害を起こします。褥瘡は治らないというのは勘違いです。常に圧迫とズレに注意し,適切に「傷のケア」をしていけば,治る可能性は十分あります。

車いす利用者の方の仙骨部褥瘡





(1)車いす利用者の方の褥瘡。骨付近に達する深い仙骨部(骨盤の後ろ側,腰の下の部分)褥瘡,初診時。創の全面に黒色壊死組織を認め,非常に汚染された褥瘡であった。左が頭側,右が下肢側。
皮膚に縫ったような傷あとが見えるのは,以前ほぼ同部位に発生した褥瘡に対して,別の医療施設で手術を受けているため。
(2)外来通院で,壊死組織切除を繰り返した。約2週間後。 (3)約1ヵ月後。肉芽組織がやや改善してきた。
この方は,在宅での処置のし易さやその他ご希望を聞いて,外用剤の使用を続けた。
ご本人ご家族とも,治療に積極的に取り組まれていた。

(4)完全に治癒した。
ご家族が,「指示の通りに,高機能タイプのエアマットレスを途中から使った。高機能型のエアマットレスを使い始めてから,どんどん治っていった。」と言われていたのが印象的であった。











治療のポイント
(1)壊死組織除去

(2)洗浄(褥瘡によっては水道水で可)

(3)高機能タイプのエアマットレスの利用

(4)患者様とご家族の取り組み方