詩のある花々・・初夏
紫陽花


  ひとつひとつの小花は
  思い思いの向きに咲いているのに
  みんなが集まると
  やさしい丸みが生まれます

  ひとりひとりの心が
  さびしさに耐えていても
  かけがえのない友の輪が
  花よりも温かい丸みを描くように
プチうんちく:万葉仮名は、味狭藍(あぢさゐ)。アジがほめ言葉、サイが青い花の意。その色合いと八重に咲く形から、めでたい花として万葉びとが愛好した。花言葉は、辛抱強い愛情、冷淡。
ガクアジサイ


  
ふたこと みこと 言いかけて

  そのまま黙ってしまったように

  わずかな花びらを開いている

  大切な想いを飲み込んだまま

  命を終わろうとする花を

  六月のやわらかな雨が

  いたわるように濡らしている
 
プチうんちく:『万葉集』には、〈味狭藍〉の他に〈集真藍〉の表記も。こちらは、真藍(あお)い花を集める、の意。一般に使われる〈紫陽花〉は、あじさいに似た中国の花で、当て字らしい。
あざみ



   詩は傷ついた人の言葉と
   ある詩人から教わりました

   心が純だからでなく
   心が清いからでなく

   心に傷を持っているから
   美しい言葉が生まれるのだと

   葉にとげを持つあざみが
   心にとげが刺さっているように
   花の色を深めています
プチうんちく:スコットランドの国花。あざみの棘(とげ)が侵略者を防いだという伝説がある。花言葉は、独立。葉に棘を持っていて人を寄せ付けないから・・?