□プロローグ 発端

 

 

 

 お願い。お願い。あの子たちを救けて。

 あたしはただ一心に祈り続ける。

 目の前で繰り広げられる激しい戦い。

 戦っているのはそれぞれ五色の鎧を纏った少年たち。

 皆、どこかしら傷つき、無傷でいる者などひとりもいない。鮮やかな鎧の輝きも既に失われ、薄汚

れてボロボロになっていた。

きっと、みんな、もう腕を振り上げる力さえ残っていないに違いない。けれど、それでも彼らは決

して膝を折ろうとはしなかった。そうすればすべてが闇に落ちてしまうと知っているから。

だから、何度、地に叩き付けられようとも彼らは起き上がり、気力を振り絞って強大な敵に立ち向

かっていく。

あたしはその様を黙って見ているしかできない。

ほんの偶然から彼らと共に戦いに巻き込まれてしまったけれど、彼らのように鎧の力も持たず、戦

う術すら知らぬあたしは、ここでも立派に足手纏いでしかなかったのだ。

今のあたしに出来ることは、ただ彼らの無事を願い、勝利を祈るだけ。

だからあたしは、ただひたすらに祈り続けた。

祈りが力となるように。

深く、強く。

お願い。あの子たちを救けて。あたしの生命と引き換えにしても良いから、

と。

 

 ―――真にそう思うか

 

 唐突に声が聞こえてきたのは、その日何度目かに彼らが吹き飛ばされてしまった時だった。

 

 ―――たとえ自らの生命と引き換えにしようとも、あれらを救いたいと願うか

 

 ただただ彼らの無事だけを祈っていたあたしは、声が重ねて問うのに、はい、と即座に答えていた。

 それが何者の声なのか疑問に思うよりも先に。

 

 ―――そなたの願い、叶えようぞ

 

その途端に胸のあたりが熱くなった。そして軽い浮遊感を憶えたと思うと、いきなり太陽が現れた

かのような激しい光が炸裂し、周囲の景色を呑み込んでいった。

そうしてすべてが白光に包まれた時、耐え切れずにあたしは意識を手放した。

 

 

 

それから後のことは何ひとつ憶えていない。

そう、自分の身に何が起こったのか、さえも―――――

 

          To Be Continued Next Stage.⇒

          Back To TOP ⇒