□眠り姫の憂鬱    第二幕

 

 

 

「いやいやいやいやいやっ。もう絶対にこれ以上耐えられないっ」

「そ、そんなこと言われてもね、ナスティ………」

「いやっ。いやったらいやっっ。外に連れていってくれなくちゃ、あたしもう死んぢゃうっ!」

両の手を握り締めて、あたしは思いっきり頭を左右に振った。

その様子は、端から見れば駄々を捏ねている小さな子供みたいで、とてもみっともないものだろ

うけど、そんなこと構っちゃいられない。

そうよ。この状況を打開するためなら、少しの恥がなんだって言うのよ。

あたしは兎に角外へ出たかったのだ。

それは確かに、この山荘は静養するには持って来いの場所で、みんながあれこれと構ってくれて

はいたけど、まだ刺激が強すぎるからってテレビもラジオも禁止。雑誌や新聞まで規制されているの

よ。そんな生活、このあたしが長く耐えられる訳ないじゃない。

あたしの欲求不満が爆発してしまっても、それはそれで仕方が無いことだと思うわ。うん。

だからあたしは色々と考え抜いた。

所謂「お勉強」が一段落着かない限り、外出なんて到底許されないだろう。正攻法ではダメなの。

かと言って、こっそり抜け出すなんてことも不可能。5人の監視体制はなかなかに強固だし、よく判

んないけど、何かしらの結界なんかも張ってある筈だもの。ただの無力な女の子であるあたしには、

抜け出す隙なんて見つけられないわ。

そうなると残るは5人のうちの誰かを篭絡するしかない訳よね。

そして再びあたしは考えた。

まず、当麻は真っ先に除外された。彼はどうしたって許してくれそうにない。反対にくどくどと

お説教されるのがオチだわ。

次いで伸もダメね。伸ならニッコリ笑って一通りの話は聞いてくれるだろうけど、その後でやっ

ぱりニッコリ笑いながら「それはダメだよ」と優しく、けれど毅然と断るに違いない。

ではお人良しな秀はどうだろう。意外とイケルかも知れないと一時は考えたあたしだったけれど

も、彼も今では巨大な商業一族のトップを務める漢なのだ。情に流されるということは有り得ないだ

ろう。

でもって征士は論外である。取り付く島もないのは明らかだものね。

―――と、なると、残るはただひとり。遼ならきっと落とせる。

そう踏んだあたしはじっと機会を待った。遼とふたりっきりになれる日を。

そして今日、あたしは行動に出た訳だ。

今朝、何かしら緊急の用事が入った当麻は、毎日のお勉強を中止して出かけていってしまった。

秀と伸はそれぞれ仕事上で重要な会議があるからと、早くから山荘を後にしていたし、征士は当

直医ということで昨夜から家にいない。

待ちに待ったチャンスが巡ってきたのだ。この機会を逃す手はない。多少みっともなかろうと何

だろうと、この際、まったく構わず、ただ目的を達成するために行動あるのみ!

「―――ねぇ、遼だってあたしの気持ちが判るでしょ?  何もここを逃げ出したいなんて言ってる訳

じゃないの。ほんの少し外へ出て気分転換がしたいだけなのよ。それでもダメなの?」

思いっきり悲しそうな、淋しそうな表情を作って切々と訴える。瞳にはうっすらと涙さえ浮かべ

て、じっと見つめれば、当初は困惑していただけの遼の表情も、次第に同情的なものに変わっていく

のが判った。

よし。あと一押し。

「こんなに頼んでもダメなのね。いいわ。遼はきっとあたしのことなんてどうでもいいって思ってる

のよ。このままあたしが気を病んで死んでしまっても良いのね。みんなの中で遼が一番あたしのこと

を大切に想ってくれているって、ずっと思ってたけど、それはあたしの間違いだったんだわ」

くるりと遼に背を向けて、細い肩を微かに震わせて忍び泣いて見せるあたし。

「結局、誰もあたしの気持ちなんて判ってはくれないんだわ。ほんの少し外の空気を吸いたいという、

ささやかな希望ひとつ叶えて貰えないんですもの」

時折軽くしゃくりあげて、哀れさを誘うのがポイントよ。案の定、遼はあたしの術中に落ちたら

しい。背中越しに、あれこれ逡巡している遼の気配が伝わる。

「ナスティ、あのね………」

けれど皆まで言わせず、畳み掛けるようにあたしは続ける。

「もう夢も希望も有りはしないわ。あたしはこのまま無理解な人たちに囲まれて衰弱していき、儚く

も命を散らしていくんだわ、きっと………」

「だからね、ナスティ、そーじゃなくて……………」

「あぁなんて可哀相なあたしの人生。せっかく生き返ったのにこんなに暗く淋しく終焉の時を迎えて

しまうなんて」

これじゃあのまま眠っていた方が幸せだったわと、さめざめと泣いて見せれば、遂に遼も決心を

固めたらしい。

「判ったよ。ナスティ」

ふぅと深い息をつきながらの遼の言葉に、あたしはピタリと動きを止めてゆっくりと振り返る。

「連れてってくれるの?」

瞳をキラキラと輝かせながら訊ねれば、

「ほんのちょっとだけだからな」

遼はまたしてもため息をつきながらも頷いてくれた。

「遼。やっぱり遼はあたしが思ってた通りのひとだったのね」

作戦成功。あたしは大いなる喜びを胸に遼に抱きついた。

「遼! だぁーい好き」

すりすりと頬を摺り寄せれば、困ったなぁという遼の表情も少しやに下がって来る。

「本当にちょっとだけで、すぐ帰るからな」

「うん。それでも良いの」

出掛けてしまえばこっちのものだもの。

「みんなには内緒だからな」

「判ってる」

くどいほどに念を押す遼に何度も判ったと頷いて、あたしは「早く早く」と彼を急き立てて車に

乗り込んだ。ここで「やっぱりダメ」なんて、遼の気が変わってしまったら嫌だもの。あれこれ迷っ

たり考えたりする前に出掛けてしまうのに限るわっ。

「…で、何処に行きたい?」

ハンドルを握りながら問い掛けて来る遼に、あたしは即答で応える。

「もっちろん、新宿!」

だってみんなと出会った想い出の地だものね。思えば、すべてはあの場所での出会いから始まっ

たのだもの。あたしは今一度、原点に立ち返ってみたかったの。

なのに、

「ええっ、新宿ぅ?」

遼ったら渋い表情をするのよ。

「新宿は、ちょっとぉ………」

やめといた方が良いんじゃないか、と言うのに、あたしは大いに反発した。

「どうして? どうしてダメなの?」

そうして、再び思いっきり駄々をこねまくる。もちろん泣き真似のオプション付き。

「いやよ、いやっ。絶対に新宿に行きたいのっ。新宿でなきゃ、出掛ける意味がないわっっ」

するとトコトンあたしに甘い遼は、結局のところあたしの希望を取り入れてくれたのだった。

「―――判りました。新宿へ向かいます……………」

そんな訳で、まんまと遼を思い通りに動かすことに成功したあたしは、一路新宿を目指した。道

中の気分は、当然のことながらもうウッキウキの上機嫌ってとこよね。

ただひとつ不満なことと言えば、新宿までの道程を久し振りに運転してみたかったのに、道交法

なんかが少し変わってるということでハンドルを握らせてもらえなかったことかしら。まぁ、そこま

で望むのは我ながら欲張りかなとも思うけど。

ま、そんなことはどうでも良いわ。兎に角、目的は果たしたんですもの。

久し振りの都会の空気があたしを待ってるわ!

「―――ナスティ、判ってるとは思うけど、東京も昔とは少し変わっちゃってるからね。絶対、俺か

ら離れちゃダメだぞ」

「はぁい、判ってるってば」

まったく。遼ってばこの十年の間になんて心配症になっちゃったのかしら。

さっきから同じ事ばかり繰り返す遼の言葉に、あたしは良い子のお返事で応えて来たのだけれど

も、その実、言葉は耳から耳の間を抜けていっただけ。遼の言葉にどんな意味が隠されていたのかな

んて、その時のあたしはこれっぽっちも考えてはいなかった。

 

 

 

次第に近づいて来る賑やかな気配と都会らしい町並み。もうすぐ車は街中へと進入する。あたし

の胸は嫌が上でもときめき、次第に昂奮していく。

いよいよ懐かしの地、新宿だわ。

でも、ウキウキと胸弾ませながら都会へと足を踏み入れたあたしは、やがて妙な違和感を憶えた。

そしてそれは車が街の中心部へ進につれ強くなっていき、車を降りて街を見渡した時、決定的なもの

となったのだった。

せわしなく足早に行き交う人々の群れ。

天までも突き抜けそうなほど高いビル群。

見慣れたはずの風景。

でもそれは、あたしの記憶にある「新宿」の姿ではなかった。そこに広がっていたのは、あたしの

まったく知らない「新宿」だったのだ。

そこには相変わらず人が溢れていたけれど、建物は皆すべて新しく、モダンで近未来的なデザイ

ンに生まれ変わっており、統一されたイメージで整備された街並みは、昔の面影なんてどこにも無い。

あたしだって多少の変貌は覚悟していたわ。でも、これほどとは。

「う…そ………」

思わず硬直してしまったあたしは、ただ呆然と立ち尽くす。

「ナスティにはまだ話してなかったけど、東京は四年前に大地震にあって、すっかり生まれ変わった

んだ」

静かに語る遼の声が、立ち尽くしたままのあたしの背に届く。

「特に新宿は被害が酷くて、まったく新しい都市計画の許、先年になってようやく復興を果たしたば

かりなんだよ」

そのまま遼が語るには、東京を変えるほどの大地震の原因は、一○年前の妖邪との戦いなのだと

いう。あの人外の戦いが生み落とした歪みというものが、時を経て現実となって現れたのだそうだ。

でも、あたしにはそんな話はどうでもよかった。

「―――嘘よ。そんなの、嘘よ………」

そこにあたしの知っている「新宿」の景色がない。

その事実があたしを打ちのめしていたのだった。

「絶対に嘘に決まってるわ!」

「あ、ナスティっ!」

あたしは遼の制止の声も聞かず、人込みの中へと駆け出した。

何処かに、きっと何処かにあたしの「新宿」が残っているはず。

それを探し求めて、あたしは当て所も無く街中を駆け回った。

でも。

想い出の「新宿」は何処にも無かった。

遼が双炎斬で壊したマイシティも。

妖邪の追撃を逃れて身を潜めた地下街も。

すべてが新しい顔をしていた。

あたしの思い出に在るものは、何も残ってはいなかったのだ。

「……………」

忙しなく行き交う人込みの中に佇んだあたしの口から、大きなため息が漏れる。

「………本当に、10年も経っちゃってたのね……………」

これまで、こんなに時の流れというものを感じたことはなかった。何処かでまだ半信半疑だった

あたしの身に、10年という時の流れが改めて重く圧し掛かってくる。

「本当にあたしだけが取り残されてたんだわ………」

思わずブルリと身体が震えた。

ここにこれだけの人がいても、あたしを知っている人はひとりもいないだろう。ましてや10年

もの時を一足飛びに飛び越してしまっただなんて、誰も信じやしないだろう。

大きな孤独感があたしを包んでいた。

あたしは砂漠にひとり置き去りにされた子供みたいに途方に暮れて、そのままそこに立ち尽くし

ていた。

 

 

 

どれくらいそうしていただろう。

やがてあたしはうな垂れていた頭を上げた。このままここで悲壮感に浸りきっていたとしても、

時間を無駄にするだけだもの。これじゃ、何のために外出したのか判らないわ。

そうよ。それに何も「新宿」にだけこだわる必要なんてないんだわ。ここがダメなら、他の場所

へ行ってみれば良いのよ。

そう考えたあたしは、次の瞬間、とあることを思い出した。

「…そう言えば、遼は?」

あたしをここまで連れて来てくれた人物の事を思い出して、あたしはキョロキョロと辺りを見回

した。けれど、遼の姿はどこにも見えない。

「そう言えば、目敏い何人かの女の子に後を尾けられてたような気もするなぁ」

あの遼も、いまや絶対的な人気を誇るロックシンガーだもの。いくらサングラスで変装していて

も、その全身から発せられるカリスマ的なオーラというものは隠し通せるものじゃないわ。案の定、

正体はばれちゃったみたいで、物影からこっそりとこちらの様子を伺っていた女の子たちが意を決し

て近づいて来ていたような気がするんだけど。

「あたしってばそれどころじゃなく行動を起こしてしまっていたのよね………」

はぁ。大きなため息をひとつ。

結局のところ、あたしは遼を探し出すことを諦め、自力で次の目的地を目指すことに決めた。

けど、そう決めたのは良いんだけど、

「そう言えば、ここ、何処なのかしら?」

闇雲に走って来たので、現在地が判らない。おまけに遼が教えてくれた「新宿再開発計画」のお

陰で、街の様子はすっかり変わっており、あたしの記憶にある地理感覚はまったく役に立たなくて、

もう右も左も判んない状態だった。

つまり、とっても情けないことに、あたしは「迷子」になってしまっていたのだ。

「―――うっわぁ、情けない………」

思わず嘆いてみてもどうしようもない。自分が「迷子」になってしまったことは事実なのだから。

「でも、かといって人に道訊くわけにもいかないしなぁ」

第一、何と言って訊ねたら良いものか判らない。下手な訊き方をして不審がられるのは嫌だもの。

ふぅ、ともう一回ため息をついたあと、あたしの頭に妙案が閃いた。

「そうだわ。駅まで行けばなんとかなるかも」

駅までの道を訊くぐらいなら大丈夫だし、路線図とか見れば大体の位置は把握できるし。

「あたしってばなぁ〜んて頭が良いのかしら」

思わず自画自賛しながら、足取りも軽く歩き出したあたしは、手近な人を捕まえては駅までの道

程を訊ねた。そうしてたいした苦労も無く、最寄りの駅へと辿り着く。

路線図を探し出して確かめたところ、JRや地下鉄は昔とほとんど変わっていないみたい。

うん。大丈夫。これならなんとかなりそうだわ。

取りあえず池袋方面へでも行ってみようかな、なんて考えながら自動券売機を探したあたしは、

次の瞬間、とっても重要なことを思い出す。

「しまったっ!  あたしってばお金持ってないっっ!」

そう言えばそうなのだ。財布は遼が握っているのだ。生きたお財布連れにすっかり安心していた

あたしは、自分で財布を持とうなんてこと、これっぽっちも考えなかったのだ。それに、思い起こせ

ば、目覚めてからこっち、一度もお金を手にしたことはなかった。尤も、その必要なんてまったく無

かったんだけれども。

「あちゃ〜〜〜〜〜」

あたしは思わず顔を手で覆って項垂れる。

あぁ、あたしってばなんて大間抜け。前言撤回。

お金がなければ、ここから移動することも、あの山荘に帰ることもできやしない。

今度こそあたしは途方に暮れた。

ただ、深いため息だけが口をつく。

「―――仕様がないなぁ」

八方塞がりな状況に、あたしも覚悟を決めた。こうなったら、遼があたしを探し出してくれるの

を待つしかない。

大丈夫。きっと見つけてくれる。それまで何処かで大人しく待っていよう。

でも此処で待つのは嫌。ざわざわとして落ち着かないから。

何処かもっと静かで落ち着けるところを探して、そこで待つことにしよう。

そしてあたしは自分の勘を頼りに歩き出す。

不思議な霊力を持った五人の少年…じゃない青年たちと暮らすうちに、あたしの勘も少し鋭くな

っていたらしい。感じるままに歩いたあたしは、やがて緑に囲まれた公園に辿り着いた。

うん。ここなら落ち着けそう。

あたしは木の葉が優しい影を落とすベンチを見つけて、そこへ腰掛け、ほっと息をついた。

そこはなかなかに広い公園で、都会の喧騒もここまでは届かない。けれど、あたしの記憶にはこ

んな公園は存在しなかった。これもまた、新宿の新しい顔のひとつなのだろう。

さわさわとそよぐ風があたしの頬を撫で、長い髪を揺らしていく。その落ち着いた、ゆったりと

した雰囲気に身を浸しながら、あたしは理由も無く哀しくなっていった。

ここは静かすぎて、かえって淋しいんだわ。

先程感じた孤独感が胸に甦って来て、ひしひしと身体を締め付けるよう。

それに現在のあたしは、彼らの庇護がなければ何も出来ない、無力な女の子であることを改めて

思い知らされて、とっても落ち込んでいた。

本当になんて、なんてなんてなんて、立場は変わってしまったのだろう。

認めたくなくて、でも認めざるを得ない現実に思わず涙が零れてしまいそうになる。

その時。

「ナスティ」

誰かの呼ぶ声が聞こえた。あたしは俯いていた顔を上げてもう一度耳を澄ます。

「ナスティ」

確かに聞こえた。

声の主を探してさまよわせた視線の先に、不意に金色の光が現れる。

「ナスティ!」

陽光を弾く金色の髪。優しい夜明けの空の色を映したラベンダーの瞳。息堰切ってあたしのもと

へと駆け寄って来る、その男性は。

「征士!」

来てくれたんだ。あたしを探して。

征士の姿を認めるや、あたしも彼へと駆け寄りその広い胸へと飛び込んだ。がっしりとした腕が

あたしを受け止め、優しく抱きしめてくれる。

「良かった、ナスティ、無事で―――」

あたしを抱く腕に力が篭もる。それだけで征士がどれほど心配してくれていたのかが判って、あ

たしは嬉しくなって征士の胸に深く顔を埋めた。。

「まったく、君はいつも無茶ばかりする」

心配するわたしの身にもなってくれ。

彼らしいお小言を聞くと、何故だか涙が零れてきた。どうやら一気に緊張の糸が切れてしまった

らしい。一度零れ始めた涙は止まることを忘れたかのように、次から次へと溢れて来る。

「ナスティ?」

心配を含んだ声があたしを呼ぶ。けれどあたしは応えることもできずに、ただ、溢れる涙で濡れ

た頬を征士の胸へ押し当てた。

ひとりだった時、本当は凄く不安だった。淋しかった。だから征士が迎えに来てくれてとても嬉

しかった。でも、反面、そのことが悔しくって、彼らの手を取らなければ何も出来ない自分が情けな

くなって、それでも嬉しいって気持ちも変わんなくて……… 

なんだかもう、頭の中ぐちゃぐちゃで訳判んない状態で、涙だけが止まらなくって。

だから。

いいや、もぉ泣いちゃえ。

あたしはもう何も考えずに、ただ身体の生理的な欲求に身を任せて泣くことにした。

「征士、征士、征士、征士、征士………」

ただ征士の名前を呼んで泣きじゃくるばかりのあたしを、彼は黙って抱き留めてくれた。

理由も聞かず、ただ無言で為すがままに泣かせてくれたので、あたしは気が済むまで思いっきり

泣き続けた。

そうして泣き疲れてしまうまで、征士はずっと優しくあたしの髪を撫で続けてくれたのだった。

 

          To Be Continued Final Stage. ⇒

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