詩のある花々・・夏
百日草



   花を見つめていると
   花もこちらを
   見つめ返してきます
  
   初めて会うのに
   顔を見合わせているうちに
   やさしい思いが
   芽生えるように
  
   見つめる人の胸に
   同じ色の花びらが
   ほころび始めます
プチうんちく:花の寿命が長いことから別名、浦島草とも。百日も咲き続けるように思えるのが、名の由来。真夏の日射しの元でも元気に咲く。花言葉は、友への思い。
カンナ


  
花の心はどこにあるのでしょう
  花の心は色にあるのでしょうか

  
花の色はやがて移ろい
  消えていきます

  人の命も
  いつか消えていきます

  消えていく花の命と
  消えていく人の命
  
  はかない者同士の
  美しい出逢いを願うと語った
  老婦人の言葉を思い出します
 
プチうんちく:ギリシャ語で葦を意味する〈Kanna〉が由来。花びらのように見えるのは、雄しべの変形。仏陀の怪我の傷から流れた血が、土にしみた所から花咲いたという、インドの伝説がある。花言葉は、永続。
ゼラニウム



  花を飾った小窓から
  甘い香りを含んだ風が
  流れてきます

  ただ風に吹かれるだけの
  何でもない時間

  日々降りつむ心のかげりを
  花の香りが溶かしていく
  昼下がりです
プチうんちく:ハンガリーの国花。欧米の窓辺を飾る花として定番なのは、防虫・魔よけ効果があるためとか。花言葉は、君ありて幸福。
百日紅(さるすべり)



  うす紅の花穂が
  道に散っています
  花が散った後に
  また新たな花穂が咲いています

  幸せな時間が過ぎても
  また新たな喜びが
  巡ってくるように

  私の願いが満ちるまで
  花びらを重ねているのです
プチうんちく:花期が長く百日も咲き続けるように思われるのが名の由来。一度咲いた枝先から、再び花をつける。花言葉は、雄弁(自分の魅力が誇らしくて?)。