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◆無邪気な君への20のお題

01.サラリと言わないで欲しい
02.無自覚という名の罪
03.寝顔は天使か小悪魔か
04.無防備にも程がある
05.どうか俺にだけ
06.陽だまり
07.それは反則
08.不意打ちなキス
09.時として無神経
10.愛くるしい
11.近距離注意報!
12.簡単に聞いてこないで
13.悪意無きイタズラ
14.全開笑顔にもう降参
15.冗談なの?本気なの?
16.理性との戦い
17.誰にでも向ける優しさ
18.混じりけ無しの色
19.好き=友達?
20.その仕草は俺の前だけにして

(C)『恋したくなるお題』

   

01. サラリと言わないで欲しい
02. 無自覚という名の罪



03. 寝顔は天使か小悪魔か

「要?」
 不意に車内に訪れた静寂に、助手席に座る要に目をやると、窓にもたれかかって小さく寝息を立てていた。
 思わず笑みがこぼれてしまう。
(今朝、ちょっと早かったもんな)
 ドライブに誘ったら、いつものように元気のいい返事をくれた。
 だから、ちょっとだけ遠出をしようと少し早めに出発した。
 出かけた先の風景は早起きしただけの価値はあって、要は予想以上に喜んでくれた。
 ようやく要への思いを自覚した俺には、それだけで十分だった。
 赤信号に車を止める。 
(ここの信号、長いんだよな)
「か・な・め?」
 そっとのぞきこんでみるが、全然目を覚ます気配はない。
「おーい?」
 俯き加減の寝顔を、思わずマジマジと見つめてしまう。
(まつげ、長いなぁ)
 起きているときのくるくると変わる表情を見慣れているせいか、こうして寝顔になるとまったく違う印象を受ける。
(寝顔も可愛いよなぁ。寝顔は天使・・・いや、寝顔も俺にとっては天使かな)
 なんて気障なことを思ってみる。
 ふっと彼女の唇が小さく動いた。
(寝言?)
 何を言ってるのかまでは聞き取れなかったが、そのまま唇に目が釘付けになってしまった。ここ最近、よくつけている口紅。綺麗なピンク色のそれは、 彼女にとても似合っていて。そのつやつやとした輝きに何度視線を奪われたことか。
(まて、俺)
 その色に吸い込まれそうになって、寸前で理性のブレーキをかける。
「はぁ・・・・まいったな」
 がしがしっと頭をかくと、前方の信号に目を戻す。
 これ以上寝顔を見ていたら、何をしてしまうか判らない。
 寝入っている彼女の横で、一人であたふたしている自分が滑稽に見えてきた。
 しかし、こうも安心してますオーラを出されると、せっかく自覚した想いもくじけてしまいそうになる。
(やっぱ最初のポジション設定が悪かったか?)
 ”いいお兄さん”なんて、頼られることは多くても、それ以上になるにはかなり根気がいりそうだ。
「ま、頑張れ、俺」
 信号が青に変わる。
 とりあえずは安全運転から。
 ちらりと隣の寝顔に目をやって、アクセルを踏み込んで車をスタートさせた。

   

 私は運転免許をもってないので、もっぱら助手席に座ります。 なので、眠らないようによく大きな声で歌ってます(笑) (ケロロマーチとかタチコマンズのテーマとか・・・いや、他にも歌うけど)

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04. 無防備にも程がある

「海に行きませんか?」
 そう誘ってきたのはアイツのほうで。
 俺に断る理由はひとつも無かったから、快く承諾したけれど。
 よくよく考えてみると、夏に海に行くということは泳ぐということで。泳ぐという ことは、当然ながら水着に着替えるわけで・・・・。
 前日に準備をしながら、一人思考の罠にはまっていた俺はただの馬鹿だった。
 健康な20歳男子なんだよ、俺は。
 好きな女(3つ年下、しかも天然属性だとしても)と海に行くってなれば、いろいろ考え るんだよ。
 晩飯をたかりにきていた悪友は、そんな俺を見てテーブルをばしばし叩きながら笑 い転げていた。

 絶好の海水浴日和。
 更衣室から出て、アイツとの待ち合わせ場所に向かうと、予想通り要のそばにはタ チの悪い虫がたかっていた。
 まぁ、虫の気持ちもわからなくはない。
 遠目から見ても水着姿のアイツは目を惹いた。
 ピンクのワンピースの水着がよく似合っていて、すらりとした肢体を引き立てる。
「ねぇねぇ、彼女ひとり? よかったら、サーフィン教えてあげるよ」
 日焼けだけは立派な虫が、じりじりと要に近寄る。
「ごめんなさい。一緒に来てる人がいるんです」
 困ったような顔をして胸の前でバックを抱きしめながら、要もじりじりと下がる。
「ほんとに?」
 ぐいっと一歩踏み出そうとする虫の肩にぽんと手を乗せる。
「ほんとなんだよ、お兄さん」
 俺の声に虫はぎょっとしたように振り返った。目線の高さが合わず、ヤツはさらに ぎょっとする。
「なっ、なんだぁ。彼氏と一緒かぁ。ははははははは・・・・」
 そのままフェイドアウトしながら、立ち去っていった。
「彼氏・・・」
 要は小さくつぶやく。それからほっとしたように俺を見て小さく笑う。
「ありがとうございました、真咲先輩」
「おう。・・・・じゃなくて、お前は無防備すぎ!」
 俺の言葉に要はしゅんと目を伏せる。
「・・・でも」
「水着姿の可愛い女の子が一人でいたら、ああいうのが寄ってくるのは当然だろう」
 俺は自分の肩にかけていたパーカーを要に渡す。
「ほら、これ上から着とけ。ちっとは虫除けになるだろ」
「はぁい・・・」
 パーカーを着た要は、じーっと俺を見上げた。
「どうした?」
「・・・水着・・似合ってないですか」
 上目遣いは反則だ。見下ろすと必然的に胸のあたりまでが視界に入ってきて、見る ともなしに見えてしまう。
「似合ってるって。言ったろ、可愛いって」
 出来るだけ意味を持たせないように平静を装って軽く言う。
 くしゃりと頭をなでると、要はきゃっと小さく首をすくめた。
「・・・・俺の前だけにしてくれ」
 二人で歩き出しながら、俺は要に聞こえないように小さく小さく呟いた。

   

 なんで、真咲先輩は海に誘ってくれないんだぁぁぁ! という反動から生まれまし た。真咲先輩はやっぱりセクシー水着がいいのかなぁ・・・作中はピュアの水着です けど。

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05. どうか俺にだけ
06. 陽だまり
07. それは反則
08. 不意打ちなキス
09. 時として無神経



10. 愛くるしい

 今日の天気予報は、『夕方に、地域によっては雷雨となるかもしれません』。
 夏真っ盛り。
 このごろはほとんど毎日といっていいほどの、夕立。  雨で暑さも洗い流されればいいのにと思ってしまう。
 久しぶりに二人で訪れた植物園から出ようとすると、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
 それは瞬く間に土砂降りに変わる。
「あーあ、当たったなぁ、天気予報」
「そうですね。でも、ちょっと予報より早かったような」
 キャミソールワンピースの要は、サンダルの足元が濡れるのを気にしている。
 植物園入り口近くの、少しだけ屋根になっているところに二人で並んで空を見上げた。
 駐車場までひとっ走り、というには雨は強すぎて、様子を見るように雨宿りしている人が 他にも数人いた。
 ピカッとフラッシュのような閃光、そして空から振ってくるような轟音が続く。
「お、すげー。今の見た?」
「・・・・・」
 黒い雲の間を雷が走り抜けるのを見た真咲は感嘆の声を上げる。
 呼応するように再び雷鳴が鳴り響く。
「きゃっ・・・」
 小さくあがった悲鳴とともにジャケットの袖を強くつかまれた真咲は、隣の要を見下ろす。
「なになに? お前、雷怖いの?」
 要は耐えるように唇をかみしめて真咲を見上げて頷いた。心なしか瞳が潤んでいるように思えた。
「! ・・・ったく、お前は可愛いなぁ。ほら、これかぶって」
 真咲はジャケットを脱ぐと、ばさりと要の頭からかぶせる。
「これでちょっとは音が聞こえないだろ? ほら、手、貸してみ」
 おずおずと差し出された手をぎゅっと握り締めてやる。
「ほら、俺がそばにいるし・・・安心しろ。な?」
 周りに人がいなかったら、絶対に抱きしめてただろう。
 握り返される手の感触に、思わず口元がにやけそうになるのをこらえる。
 ジャケットで視界が狭くなっている要には見えるはずも無いのに・・・。
 要には悪いけど、もう少しだけこの雷雨が続くように真咲は心の中で祈った。

   

 ベタですかねぇ・・・まぁ、私は雷嫌いじゃないです。むしろ、好きなんですが・・・・・。 パソコン触ってない時に限ります。

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11. 近距離注意報!
12. 簡単に聞いてこないで
13. 悪意無きイタズラ
14. 全開笑顔にもう降参
15. 冗談なの?本気なの?
16. 理性との戦い
17. 誰にでも向ける優しさ
18. 混じりけ無しの色
19. 好き=友達?
20. その仕草は俺の前だけにして

    

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