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 県行政との話し合いの席上、発せられたろう者の言葉です。

 2006年の「手話・要約筆記」の入札問題(財産管理室・障害者支援室)、2007年には全国でもいち早く「ろう学校」の校名が消えたり(県教育委員会)、広島障害者職業能力開発校の手話通訳者が5年で打ち切られ再募集になったり(商工労働部)、更には、その募集条件が2008年には中級通訳者から初級通訳者になっていたことなどなど、これまでの取り組みや当事者の声を、軽視した姿勢に対して出た言葉ではないでしょうか。

 また、「おかしい」は、活動の原動力の一つかもしれません。ふと思い出したのは、「日本映画に字幕をつけて見る会」のことです。1970年代、ろうあ協会と手話サークルで16ミリフィルムを借りて台詞を書き起こし、OHP字幕付上映会をしていました。“日本人でありながら日本映画が楽しめないのはおかしい”との思いは、難聴者協会や要約筆記サークルも同じで、一緒に活動し「字幕連絡協議会ふれあい」が出来ました。そして、「古い映画でなく、今興行中の映画を聞こえる人と一緒に楽しみたい。」との想いに共感して、映画館へOHPを持ち込んで字幕上映会を行ったのは1982年のことで、全国では初の試みでした。その後も字幕上映会の度に、聞こえの保障を求める運動の一環なのだと主旨を語り、映画会社へも要望書を出すなどの取り組みは、やがて全国へも広まりました。現在は字幕放送も増え、全ての映画ではありませんが、映画会社が字幕付フィルムを作成するようになりました。「おかしい」から始まったのです。

 3月29日の毎日新聞では「聴覚障害越え、初の医師」が報道されていました。これも「聴覚障害を欠格条項としている法律はおかしい」と撤廃運動があったからこその朗報です。

 一度見てしまったものを見なかった振りができない性分は、おかしいことを“まあいいや”と放っておけなくて、今年度もさまざまな「おかしい」に取り組んでいきます。そして、まず広島県のろうあ運動や手話活動の歴史と課題を、自分の言葉で語れるように成長していきたいです。

 みなさんもぜひ、「広島はおかしい」と二度と口にしなくてもいいように、手の先だけの手話通訳者ではなく、広島県の課題解決に向け一緒に取り組んでいきましょう。

                                                           中本 智子
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広島県手話通訳士協会
2008年4月広島県手話通訳士協会会報より
    広島はおかしい」