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5月8日、9日と法廷通訳研修会に参加しました。以前、ある司法関係の通訳で、「かりょうされる」と言われて意味がわからず、すっかり自信喪失、意気消沈した経験があります。「かりょう」は「科料」で、司法用語で千円以上一万円以下の罰金のことだそうです。

新しい言葉をおぼえられなくなった頭だけど、少しでも勉強しなくては!と参加したのですが、他の言語通訳の方たちのご苦労やご努力も知ることができて、大変いい刺激になりました。

一日目に被告役がフランス人、証人役がろう者という模擬裁判がありました。それぞれに通訳がつき、手話通訳は二人で交代したのですが、フランス語通訳は一人で、2時間以上の通訳をつとめておられました。当然疲れてきますから聞き取れないこともあるし、言葉がすぐ出ないこともあります。「途中で急に精度がガクッと落ちる」とご本人もおっしゃっていましたが、外国語の場合はたいてい一人で、しかも事前に冒頭陳述などの書面は翻訳して来られるそうで、これは大変な労働だと思いました。正確な通訳をするためにも、ぜひ二人でできるようになってほしいと思います。

フランス人被告へは逐次通訳、ろう者への手話通訳は同時通訳なので、ろう者への質問をフランス語に通訳している間に、もうろう者からの返事が始まってしまい、フランス語通訳の方が追いつけなくてもう一度言ってもらう、こともありました。手話通訳も逐次通訳にしたほうがタイミングが合うのかな、と思いながら見ていましたが、そうすると質問が聞こえているのに手話通訳者は手を動かさないで待ち、ろう者も待っている、という変な間ができてしまうかもと思いました。外国語通訳と手話通訳を同時に見ることはなかなかない機会なので、いろいろな問題を双方が気づくことができたと思います。

今まできいたことのあるフランス語の中でも、今回の通訳者のフランス語はとてもきれいな、教科書どおりの標準的な丁寧な話し方でした。私が手話通訳する時、あのようにきれいな丁寧な手話で話しているだろうか、と思ったら急にこわくなりました。水野真木子先生から、Register(レジスター=文体レベル)も考えるべき、丁寧な話し方と乱暴な話し方と、訳し方で印象も変わる・・・というお話もありましたが、自分の手話をあらためて見つめ直さなければ、と反省も含めていろいろなことを考えるよい機会になりました。       

ところで、今回の模擬裁判でも私の知らない専門用語が出てきました。検察側の質問について弁護士が、「異議あり。ごどうです」と言いましたが「ごどう」とは何か、漢字も思いつきません。あとで調べたら、「誤導(ごどう)」とは裁判で明らかになってない事実を前提にした質問のことで、「誘導尋問」とはまた違うのだそうです。裁判員裁判になって、法律家の使う言葉もずいぶんわかりやすくなったと思いましたが、やはり専門用語は出てきます。常に勉強して、準備しておかなくては、とこれもまた反省になりました。

                                            (曲尾 明子)

法廷通訳研修会に参加して
〜これからの法廷通訳 裁判員時代を迎えて〜
広島県手話通訳士協会

 「法廷通訳研修会」(2010年5月8日・9日・広島女学院大学・国際会議場)の参加報告です。主催は法廷通訳研究会(日弁連法務研究財団研究事業)。

2010年6月広県手話通訳士協会会報NO23より