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広島県手話通訳士協会
2008年11月広県手話通訳士協会会報より
【11月7日午後の部】
                  
読み取りのコツを学ぼう!

県特別研修2日目の午後は、苦手意識克服の必須課題『読み取り通訳』。講師より「いつまでたっても“読み取り通訳の依頼は遠慮したい”という声が無くならないのは淋しいこと。みんなでポイントを押さえながら頑張って学習しましょう!」とアタタカイ激励の言葉。自分自身の現状を見直す事から学習が始まりました。

*まずは復習 読み取り通訳の流れは…?
 [通訳過程モデル]の確認・・・すべての言語通訳に共通する過程モデルに、読み取り通訳の過程を書き込んだものを提示され(下図)、通訳プロセスのどこが自分の弱点なのか、どこでつまずくのかの確認しました。


〜それぞれの過程で「8つのポイント」に基づいた通訳はできているかの検証を忘れずに。

*次に、ろう者のミニ講演のVTRを見ながら次のような順で実技トレーニングをしました。
 @見えた単語を拾い集める。(文章にしない)…ろう者の速い手話に慣れる。 
 Aメモを取らずに、見終わってから内容を書く。…読み取った内容を記憶し、文章に置き換える。
 @とAを繰り返し練習する事が、声として表出する前のつまずきの克服につながっていくと学びました。
 
 その後、列ごとのメッセージ伝言ゲームやろう者のミニ講演のシャドーイングなど、みんなでワイワイ楽しくトレーニング。最後に、ろう者が一人ずつ入ってくださってのグループ(4〜5人)に分かれて、同時通訳の実習をしました。本番通りに、ろう者との事前打ち合わせ・主通訳者とフォロー通訳者のやり方の確認などをした上で、前に出て同時通訳にチャレンジ!全員で気づきを話し合い、講師からアドバイスを頂きました。


*実習後の気づき〜
 打ち合わせの時に細かく聞きすぎた事が予断になってしまった。
 間違いに気づいたが訂正のきっかけがつかめないまま終わってしまった。
 フォローの仕方がとにかく難しい。
 男性ろう者の怒りのこもった力強い手話を、女性の声で『話者一体』となって雰囲気まで伝えるには限界があった。 〜など。


*講師からのアドバイス〜
 聞きやすい日本語になっていましたか?
 間違いに気づいたら正しく言い換える事は繰り返し練習しましょう。
 読み取り通訳が単語の羅列にならないように、[てにをは]をつけた文の表現を心がけましょう。
 読めない(すぐに日本語訳出来ない)手話をどんな日本語に置き換えたらいいかは悩むところですが、必ず何らかの言葉を入れましょう。
 メッセージを受容する時に必要な力は、集中力・観察力・推察力・共感力・記憶力・表現力です。
 個々の力を磨きつつみんなで頑張りましょう!〜


 二日間の締めくくりに「読み取り通訳」を学び、改めて『聞こえの保障』とは同時に『発言する権利の保障』なのだと強く感じました。「ともにある」ために、通訳者として自身の力を常に検証し繰り返し努力し続けていきたいと思います。中味の濃い楽しい研修会でした。ありがとうございました。

                                         福場 暁美

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 「広島県手話通訳者特別研修会」(08年11月6日〜7日・廿日市市あいプラザ)の参加報告です。講師は(財)大阪市身体障害者団体協議会の専任通訳者 肥田智子さんをお迎えしました。