愛媛の名桜 L
                         源太桜
                                  〈種名・エドヒガン〉
                             男のロマンを感じさせる桜
 松山方面から国道11号を走り、桜三里の峠のトンネルを抜けて1.8kmほど下ると、国道右側に土谷橋バス停がある。そこに車を止めて、左側の旧道を40分程歩くと桜に会える。堰堤を渡る近道もあるが駐車スペースが無い。
 源太桜は2本あり、南側の樹の方が大きく、幹周3.18m、樹高23m、南北の枝張り25mである。もう1本は少し小さいがいずれも推定樹齢320年である。花径22mm前後の小形で淡紅色の花が、霞がかかったように枝全面に散らばって咲く。花の時期には、対岸の国道11号発電所前からも2本がよく見える。
 この桜は、貞享4年(1687年)松山藩の代官矢野五郎衛門源太が、路肩の倒壊防止の目的で旧金比羅街道の中山ナカヤマに植えた桜の生き残りと言われている。桜三里の名前の由来にもなっているこの桜の植栽には、過酷な労働に松山藩の囚人が充てられたと言う。急峻な街道の難所に、12キロに及ぶ「壮大な花の回廊」を創りあげた源太に、時代を超えた「男のロマン」を感じる。
                                                                (樹木医 森本政敏)
   
【メモ】
 1.場所 東温市河之内田桑 (旧金比羅コンピラ街道カイドウ・中山越)
 2.平成ヘイセイ18年の満開時期  4月5〜7日
 3.写真の撮影日 平成18年4月6日
一覧へ戻る   << 前へ   次へ >>   TOP