愛媛の名桜 Q
                    用の山の桜
                                     〈種名・エドヒガン〉
              山里ヤマザトハルげるサクラ
 大洲市より国道197号を鹿野川ダムの方向へ進む。鹿野川ダムの手前で左折して、県道55号を進むと8kmほどで河辺支所に着く。そこからさらに55号を10kmほど、細い山道をひたすら登って行くと、集落が途切れるあたりに用の山の桜がある。
 ロウオウは、県道ケンドウヒダリガワ石垣イシガキウエに、道路ドウロ見下ミオろすような姿スガタっている。ミキマワリ4.24mの巨大キョダイミキ空洞クウドウし、シュミキフトエダ欠落ケツラクして、チュウエダ3ホンだけできている。樹齢ジュレイは350ネン言伝イイツタえられている。ケイは24〜26mmで、小形コガタ一重ヒトエハナヘイカイする。ツボミ紅色ベニイロで、開花カイカのエドヒガンにクラべてスコベニく、ワズかに紫色ムラサキイロびたタンベニムラサキイロで、周辺シュウヘンミドリによくえる。
 農家の人は、この桜の開花を見てさつまいもの種芋をふせると云う。そうすると霜の害が少ないとのことである。標高800mのこの地方ならではの伝承である。
 エドヒガンは、北海道を除く日本全域に自生しており、春の彼岸の頃咲くので「彼岸桜」と呼ばれる。江戸で多く栽培されていたので、小彼岸と区別する為「エドヒガン」と名付けられた。
  この桜の来歴は不明であるが、山に自生していたものを、農作業の目安とする為、集落に持ち帰り、今の場所に植栽したとも考えられる。
                                                                   (樹木医 森本政敏)
   
【メモ】
 1.場所 大洲市河辺町北平(用の山地区)
 2.平成ヘイセイ18ドシの満開時期 4月8日〜10日
 3.写真の撮影日 平成18年4月8日
 備考ビコウ: ヨウの「山桜ヤマザクラ」ではなく、「ヨウヤマ」のサクラ、である。
        種類シュルイはヤマザクラではなくエドヒガンである。
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