愛媛の名桜 R
                    西村大師堂の枝垂桜
                                          〈種名・シダレザクラ〉
                             週遅れの花見が楽しめる
 国道33号を高知に向かって進み、旧柳谷村の落出橋を渡ってしばらく行った先を左折する。大師堂までは急な坂道をしばらく登ることになるが、桜のシーズンには案内の看板が出ている。
 幹周1.9m、樹高7.5mの桜樹は、西側に大きく枝を伸ばしているが、北側と東側の枝は欠落している。雪か風により大枝が折れたものと思われる。老桜の姿から、この地方の冬季の厳しい自然条件を垣間見ることができる。
 花弁は一重の半開で、小形の淡い紅色をした花である。一輪だけ見ると素朴な花であるが、枝垂れた枝に連なって咲き、高原の風に揺れる様子は風雅である。
 この地方は柳谷壮年会が中心になって、4年前から「さくらの里づくり」を推進している。山桜や枝垂桜の種の採取と苗木の育成から取り組んでいるもので、いずれこの枝垂桜を核とした、桜の里が誕生することになるであろう。
 この枝垂桜からほど近い高知県吾川郡仁淀町桜には、推定樹齢500年のエドヒガンの巨桜「ひょうたん桜」がある。また仁淀町別枝には、美しい樹形の「中越家の枝垂桜」もある。春の一日、平地より少し遅い「高原の桜狩」を楽しむのもまた一興である。
                                                                  (樹木医 森本政敏)
   
【メモ】
 1.場所 上浮穴郡久万高原町中津西村 大師堂
 2.平成ヘイセイ18年の満開時期 4月7日〜10日
 3.写真の撮影日 平成18年4月7日
一覧へ戻る   << 前へ   次へ >>   TOP