愛媛の名桜 S
                        薄墨桜
                                     〈品種名・イヨウスズミ〉
                                気品ある名花
 松山市内から国道317号を奥道後の方へ進み、奥道後の手前で左折して伊台町へ向かう。2kmほど行くと右側に西法寺の山門があるので、その脇を入る。
 桜樹は三代目とのことで、平成7年に植えられた若木である。花は八重で16弁が多いが、17〜19弁のものもある。花径は30mm前後で、花弁の輪郭がはっきりしており、端正な形をしている。色は上品な淡紅色で、花びら周辺部は僅かに紅が濃い。
  ここだけにある固有種として「伊予薄墨」の品種名が付けられている。同じような名前の品種名「薄墨」はサトザクラの栽培品種で、白の一重大輪の花である。また岐阜県の「淡墨桜」はエドヒガンで、散り際に白くなるためその名が付いている。
  天武天皇の御世(673〜686ネン)、皇后が湯治の為道後温泉に来駕された。その折、西法寺で祈祷を行ったところ皇后の病気が治癒したので、喜んだ天皇は薄墨色の綸旨(天皇の文書)と1本の桜の苗を西法寺にお送りになった。それが名前の由来である。
  薄墨桜はヤマザクラの変異種で、八重に変異したものである。この品種の自然交雑から、境内には「西法寺桜」の新品種も生まれている。
                                                            (樹木医 森本政敏)
   
【メモ】
 1.場所 松山市下伊台町969 西法寺
 2.平成ヘイセイ18年の満開時期  4月10日〜12日
 3.写真の撮影日 平成18年4月9日
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