愛媛の名桜 A
                   掌禅寺の「金龍桜」
                                〈種名・エドヒガン〉
                         地域の人に愛されて二百数十年
 今治市菊間町で国道196号線から県道164号線に入る。お供馬で有名な加茂神社を通り過ぎ、中学校の前を左折した突き当たりが掌禅寺である。山門の外からでも桜は見えるが、境内に入るとその威容に圧倒される。根元周3、17m、樹高16m、枝張り17mの巨桜が地表近くで五本の幹に分かれ境内を覆っている。
 淡紅色の小形の花が枝先に塊となって付き、全体が一斉に開花する様は壮観である。開花直後は典型的な桜色をしているが、散る間際は白に近くなる。花の色や形も含めて、エドヒガンの代表的な形質を持った桜である。
 桜についての故事は無く、来歴も不明であるが、掌禅寺の山号が金龍山であることから、地元の人は親しみを込めて「金龍桜」と呼んでいる。樹齢二百数十年と言われているが、樹齢のわりに樹勢が良い。それは自然条件にもよるが、何代にもわたる檀家や地域の人の手厚い保護によるところが大きい。これだけの巨桜でありながら、市町村の天然記念物リストに記載が無く、まさに隠れた名桜である。
                                                                        (樹木医 森本政敏)
【メ モ】
  1、場所 今治市菊間町池原1100 掌禅寺
  2、平成ヘイセイ18ネンの満開時期 3月27日〜29日
  3、写真の撮影日 平成18年3月28日
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