愛媛の名桜 21
                    三角寺の山桜
                                     〈種名・ヤマザクラ〉
                          お遍路さんを迎える桜
 松山自動車道の三島川之江TCをミギへ進むと、四国霊場第六十五番札所三角寺の道路標識が出ている。標識に従い坂道をひたすら登って行くと山の中腹に三角寺がある。
 急勾配の石段を登り左へ進むと、境内の参拝路の上に巨大な山桜の枝が伸びている。四国霊場のお遍路さんは、この桜の花の下をくぐって参拝することになる。心憎い演出である。幹周2.96m、樹高14.5mで、参道の上に伸びている枝は15mある。
  花径は27〜28mmで、一重の淡紅色の花が、枝に塊となって密に付く。新葉は赤味をおび、花と相まって山桜特有の柔らかさを醸し出している。山桜を好んだ本居宣長は、美しい山桜は「葉赤くて細きがまばらに混じりて、花しげく咲きたる」としているが、まさにその通りの山桜である。
  桜の来歴は不詳であるが、小林一茶が寛政7年(1795年)三角寺を訪れ「是でこそ登りがいある山桜」の句を残している。句から推測すると、樹齢は約300年となる。他に山桜の巨樹としては、四国中央市の切山地区の重文・真鍋家の表桜があり、幹周3.51m、樹高21mである。
  京都御所の「左近の桜」は、代々山桜系の桜が植えられているし、明治以前に桜といえば山桜をさしていたように、山桜は日本人の心と日本の文化に深くかかわっている桜である。
                                  (樹木ジュモク 森本政敏)
【メモ】
 1.場所 四国中央市金田町三角寺
 2.平成ヘイセイ18年の満開時期 4月12日〜14日
 3.写真の撮影日 平成19年4月6日
  参考サンコウ: 平成ヘイセイ19ネン満開マンカイは4ガツ5〜8 
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