愛媛の名桜 C
                    古田の枝垂桜
                                〈種名・シダレザクラ〉
                          均整のとれた美しい自然樹形
 丹原町の県道一五一号線から、紅葉寺として有名な西山興隆寺へ向かって坂を登ってゆくと、右側の道路脇に端正な樹冠の枝垂桜がある。西山興隆寺の参道沿であるが、私有地であり、この土地の地名をとって「古田(こた)の垂れ桜」と呼ばれている。
 花は一重の小形で、平開せず半開である。色は少し紅が濃い淡紅色で、開花直後は僅かに紫が加わり淡紅紫色になる。その色が端正な樹形とともに見る人を魅了する。ロケーションと相まって絵になる桜である。
 昔、この地に六角堂があり、庭園が造られていた。そこに枝垂桜の大木と若木があり、大木は三十年ほど前に枯死して、若木だけが残り現在の姿になったと言う。独立木特有の、四方均等な枝張りをした美しい樹形の桜である。樹齢は九十年ほどで、エドヒガン系のシダレザクラとしては壮年期にあたり、今後楽しみな桜である。
 通常桜の植栽間隔は、将来の成長を考慮して十b以上が理想であると言われている。この桜樹の美しい自然樹形は、それ以上の恵まれた環境で育った所産である。
                                                                      (樹木医 森本政敏)
   
 【メモ】
  1.場所 西条市丹原町古田 西山興隆寺参道脇
  2.平成ヘイセイ18年の満開時期 3月31日〜4月2日
  3.写真の撮影日 平成18年4月1日
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