あれから一週間がたった。
ル「今日も気持ちのいい朝ね。」
太陽がすこしづつ、辺りを明るくしていく。
小鳥のさえずりが聞こえる。
一番最初に目覚めたルナはみんなの寝顔を見た後、このわずかな時間の隙間を楽しんだ。
ル「よし。みんな、朝よ。起きて起きて。」
シャ「あ、おはよう、ルナ。」
ル「おはようシャアラ。」
ベ「おはよう。」
ル シャ「おはようベル。」
シ「う〜ん、アイテッ。」
ル「どうしたの?シンゴ。」
シ「うん。首を寝違えたみたいだ。」
シャ「無理ないわね。ずーっと野宿だもの。」
ベ「少しほぐしてあげるよ。」
シ「うん、ありがとう。」
メ「おはよう。みんな。」
チ「う〜ん、もう朝かいな。」
シャ「おはよう。メノリ、チャコ。」
カ「・・・・・・」
ル「おはようカオル。」
カ「ああ・・・」
チ「おらっハワードも起きんかい。もうお天道様のぼっとるで。」
ハ「う〜ん?うるさいな〜、もう少し寝かせてくれよ。」
チ「あかんあかん、一人だけなにいうてんのや。」
ハ「・・・昨日からの疲れがとれないんだよ。僕は・・・もう少し・・・寝る・・・ん・・・」
チ「なにいうてんねん。おまえほとんど稼いできとらんやないかい。」
ル「いいわよチャコ、もう少し寝かせてあげて。」
チ「せやかて・・・」
ル「無理して体調を崩されるよりはマシよ。
慣れない生活で疲れがたまるのは仕方がないもの・・・」
チ「ルナがそういうなら、しゃーないなぁ。」
シャ「朝御飯にしましょう。」
シ「今日はなに?」
シャ「パンと木の実と糖分たっぷりのミルクよ。」
シ「ええ〜またそれー?昨日もおとといもその前もそうだったじゃない。」
メ「少しでも節約して住む所の敷金を貯めるためだ。我慢しろ。」
シ「パンといってもただでもらえるパンくずだし、木の実はそこらに落ちてる小さくて苦いやつだし、
ミルクはおいしいけどミルクに見た目が似てるだけでなんの液体かもよくわからないし・・・」
メ「文句があるならサヴァイヴを稼いで来い。」
シ「・・・・・・」
ベ「さてと、俺はもういくよ。」
ル「今日も同じ現場?」
ベ「うん。」
ル「頑張ってね。」
カオルも無言で立ち上がった。
ル「あ、カオルももういくの?いってらっしゃい。」
無言のままいつもの方向へ歩いていく。
シ「カオルってなにをやっているのかな?」
チ「なにしてるか知らんけど、なんも言わず100サヴァイヴ稼いでくるな。」
メ「なにをやってるかわからないのは一緒だが、稼ぎがないだれかとは大分違うな。」
「アハハ」
みんながそこで寝ている金髪の少年をみて笑う。
ルナは心配そうにカオルの行った先を見ていた。
朝食を終えてシンゴは今日はチャコと二人で疲れた様子で街を歩いていた。
「シャトルにあったものもほとんど売っちゃったし、僕もはやく働き口をみつけないとなぁ。」
「まだシャトルそのものを売る手が残っとるで。」
「うん、でも僕らの最後の生命線だし、
なるべく高く買い取ってくれるところを慎重に探さないと・・・」
「せやなぁ」
「でも生命線・・・あちこち壊れてるからなぁ・・・アイテッ。」
シンゴは自分の首筋をおさえた。
「せやったなぁ」
メノリは今日もひとりで公園に立っていた。
「いっぱいもらえたり、全然だったり、不安定だが少しずつもらえる金額が増えた気がするな。」
実際昨日は350サヴァイヴの稼ぎがあった。
だがなによりも自分の好きなヴァイオリンでお金をもらえるのはしんどいが楽しかった。
初めのうちは下賤なことだ。
私は仕方なくやっているんだとおもっていたが、自分の奏でるメロディが異星人にも受け入れられ、聞き入ってもらえることは嬉しかった。
それよりも単純にただこうしてヴァイオリンを奏でていられる。
それだけでも私は幸せなのかもしれない。そう思っていた。
今日も人気もほどほどの穏やかな公園に優しいメロディが響き渡る。
ル「今日こそは住むところを決めないと・・・」
ルナはみんなで稼いだ6162サヴァイヴと75ドローンを握り締め決意を固めていた。
いままでも7人と一匹が住めそうな物件を探していたのだが、
ある程度の広さが絶対条件なのと予算の問題でなかなかいいところは見つかっていなかった。
でも今の調子なら明日には7000、明後日には8000以上にはなってるはず。
捕らぬ狸の皮算用だがそんなことは気にしていられなかった。
とにかく今の不安定な生活をなんとか抜け出さないとコロニーに帰るどこではない。
「一応、一軒めぼしはつけてるのよね。」
なんとか頭金の8500サヴァイヴがあれば借りられるところを昨日見つけておいたのだ。
広さも申し分なくキレイ目なところだが、いわくつきの物件らしい。
周りの治安もあまりよくないらしい。
なにかあったのだろうか。
しかしほかに格安の物件はみつけられない。
「いわくつきなのはシャアラは嫌がるだろうから黙ってるしかないわね、
・・・でも物騒なのはイタイわね。」
身の安全も大事だし、貯めたお金を盗まれてしまっては元も子もないのだ。
「もっといいところが見つかればいいんだけど・・・」
慣れた足取りでこの街フェアリーレイクの不動産屋の扉を開いた。