ファ「そこには居住区を作りたいんだ。」

「フムフム。」

ポ「こりゃあノルド、もっとキリキリ動かんかあ。」

「わかってまさあ。ふう。」

小太りの宇宙人がパーツを運ぶ。

ポ「むう、アイツのトコも暇で動きが鈍っておるな。」

「いくつ作りましょうか?」

ファ「7人と一匹だから・・・8部屋作ればひとつ余裕ができるだろ。」

ポ「居住区か。」

ファ「ああ。」

ポ「なら、16部屋、いや20部屋つくっておこう。」

ファ「なんでだよ。宇宙船なんだぜ。

少しでも削って節約したほうが、他のスペースが余裕を持って作れるじゃないか。」

ポ「他になんのスペースが必要なんじゃ。」

ファ「後欲しいのは、トレーニングルームに、栽培室だな。」

ポ「あの船は大きさには余裕がある。

  なんでもできるだけ余裕を持って作ったほうが、不測の事態にも対応できるじゃろ。」

ファ「しかし、万能コンピューターのエジソンによると・・・」

ポ「なんでも計算通りいかんのが宇宙じゃ。」

ファ「・・・わかったよ。おーいエジソン20で計算しなおしてくれ。」

「ハイ・・・リョウカイイタシマシタ。」

 

ファ「パイロットはやっぱり自動操縦か・・・色々と不安があるなあ。」

ポ「いや、宇宙飛行士くずれの子がひとりおったんじゃ。」

ファ「マジかよ〜。」

ポ「カオルとかいう・・・」

ファ「ああ、あの黒髪の・・・」

ポ「もうすでにフェアリーレイクの訓練施設に通わせて鍛え直しておる。」

ファ「それでもひとりか。

  交代の為にも、万一の時の為にも、サブパイロットがもうひとり欲しいなあ。」

ポ「むう。贅沢はいえんわい。ひとりおっただけでも恩の字じゃ。」

ファ「シンゴは・・・」

ポ「チャコとエンジンルームの仕組みを頭に叩きこんどる。」

ファ「命綱だからな・・・」

ポ「もうひとつの命綱はこっちじゃ。」

ワープ装置のシステムを前にする。

ポ「こればっかりは今ここで調整しておかんと、いかん。」

ファ「シンゴじゃ、さすがに無理だろうな。」

ポ「1ミクロンのミスが何万光年もの違いになる。

  困るのはあの子たちじゃ。」

ファ「一世一代の仕事だな。」

ポ「コンセントレーションじゃ。」

目を閉じて軽く深呼吸を繰り返す。

 

周りの大気を取り込んで、精神の質を穏やかに高めるふたり。

まず部屋から、そして工場・・・街・・・国・・・大陸・・・そして星まで精神を繋げていく。

静かな時間が止まったように流れた。

ポ「・・・やるぞい。」

ファ「おっしゃ。」




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