ル「これくらいでいいかな。」
買い込んだ荷物を確認するルナとシャアラ。
シャ「うん。だいたいのものはこれでそろったわ。」
ル「じゃあ、お願いね。ベル、カオル。」
ベ「これを・・・」
カ「ふたりで?」
買い物袋の山を見上げるふたり。
ル「頑張ってね。」
ア「僕ももつー。」
シャ「じゃあ、アダムはこれをお願いね。」
軽そうな荷物を両手で抱えるアダム。
それでもアダムは精一杯のようだ。
「・・・よし。」
気合で大量の荷物を抱えるふたり。
ルナとシャアラも手頃な荷物を持って、おしゃべりしながら、大いなる木への家路をたどる。
人気の少ない裏道にでた。
近道になるのでよく利用した通りだ。
この街に来た頃、変なボールに追いかけられたことをカオルは思い出した。
そんな和やかな5人に小柄なひとりの男が声をかける。」
「よお、カオルゥ。久しぶりだなあ。」
目が白い眼球のみで黒目がない。
あの男が現れた。
カ「お前は・・・」
ル「知り合い?」
「随分儲かってるそうじゃねえか。」
カ「何の用だ。もう縁は切ったはずだ。」
荷物を置いて答える。
「約束のものを持ってきたからって、
それを放り投げて、一方的に縁が切れたと思われちゃ困っちゃうなあ。」
カ「なんだと。」
「相手の運び屋は捕まるし、あれから色々あったんだぜえ。それに・・・」
カ「・・・」
「夜の世界はいっぺん足を踏み込んだやつは抜けられないようになってんだぜ。
どこの世の中でもな。」
カ「クッ。」
脅えるアダムとかくまうシャアラ。
ベ「カオル・・・一体・・・」
カ「なにが望みだ。」
「そうだなあ。もう一度仕事をやってもらえないか?
前よりでかくて手当てもはずむぜ。」
カ「断る。」
「そいつは困ったなあ。」
鋭い刺さるような目で睨むカオル。
「まあ、俺からなにかする気はないさ。
ただ、中心街の温泉宿に住んでるってことだけ、組織に伝えておくよ。
じゃあな。」
カオルから殺気が放たれる。
黒曜石ナイフを取り出すカオル。
ル「待って。」
シャ「ルナ・・・」
ル「もう、カオルはそんな仕事をする気はないの。
放っておいてあげて。」
ルナに近づく男。
「お嬢さん。そんなこと言われても通らないよ。」
ル「かわりに私がなんでもするわ。」
カ「ルナッ。」
ベ「駄目だルナ。」
「そんなこと言われてもねえ。」
ルナを見る男。
「・・・今の仕事は1000万サヴァイヴが動くんだ。
それをお嬢さんが肩代わりしてくれるっていうんなら・・・」
目を開く男。
「考えてやってもいい。」
シャ「1000万サヴァイヴなんて・・・払えないわ。」
脅えながらも声を絞り出す。
「そりゃそうだねえ。じゃあやっぱりカオルゥ。」
ル「・・・・・・・・・わかったわ。」
ベ「ルナ。」
ル「このカードで、フェアリーバンクからおろせばいいわ。」
「暗証番号は?」
ル「5621」
「ほんとに1000万もはいってるの?」
ル「調べはついてるんでしょ。」
「おっとこれは余計なことを言ったかな。
じゃあ、お元気で。」
男はカードを受け取って大通りの人混みの中へと消えていった。