ル「・・・というわけでコロニーへはまだ当分帰れなくなったんです。」

「まあ。」

「・・・・・・」

「ですから私達はまだしばらくこの星にいますから、なんでしたらアダムをまだお預かりすることも・・・」

「いやいや、アダムは充分子供から男の子に成長しました。

あなた達の言葉や文化も吸収したようですし。お礼はちゃんとお支払いいたします。」

ル「それは・・・とってもありがたいです。」

「当然の事ですよ。お約束ですから。」

「それに・・・」

ル「え?」

「なんでしたら私達の宇宙船を差し上げましょう。」

ハ「ほんとかー。」

物陰からハワードが現れる。

シャ「ハワードぉ。」

「ええ、もちろん。」

ハ「みろみろ。やっぱりアダムには恩を売っておいてよかったなあ。

  宇宙船が手に入るんだもんなあ。」

メ「この馬鹿、口を慎め。」

ハワードの口を両手で抑えるメノリ。

ハ「もが・・・」

バランスを崩してふたりとも倒れる。

アダムの母親と目が合って苦笑いするメノリ。

「ふふっ。仲がおよろしいのね。」

ハ「じゃあ決まりだな。さっそくコロニーへ向けて出発しようぜ。」

ル「でも・・・」

ハ「なんだよ。」

シ「オリオン号はどうするの?」

棒立ちのまま声を出すシンゴ。

シ「あんなに苦労して、ポルトさんとファーロさんと、みんなで設計して、作業して、完成して、

  宇宙へ飛び出す日を、待ってるのに・・・」

メ「シンゴ・・・」

ハ「それはだな・・・その・・・

  そうだ、オリオン号とアダムの宇宙船を交換してもらって、それで・・・」

ル「それはみんなの好意を踏みにじることになるわ。」

ハ「そんな・・・」

ル「せっかくですが、約束のお金だけいただきます。

  私達にはそれで十分です。」

「わかりました。お受け取り下さい。」

差し出された約束のお金を受け取るルナ。

「あ、そうそう。昨日うちの警備隊がこの街に根付いてる小悪党をひとり捕まえました。おい。」

「はい。」

お付の数人に男が連れてこられる。

カ「お前・・・」

「へへへ、だんなぁ。離すように頼んで下さいよ。」

「今では詐欺を生業としているようで、なんの後ろ盾もありません。

お借りしたお金もそのままお返しするそうです。」

「も、もちろん、そのつもりだったんですぜ。」

「だ、そうです。」

カ「あ、ありが・・・」

アダムの両親ふたりの手を握り締めるカオル。

カ「ありがとうございます。」

「いえいえ、こちらこそ、アダムに魚獲りまで教えていただいて。

本当にありがとうございました。」

チ「いやあ。人には親切にするもんやなあ。」

本当にうれしそうなチャコ。

カ「チャコ。」

チ「なんや。」

カ「心配かけて・・・ゴメンナサイ。」

頭を下げるカオル

びっくりするみんな。

チ「なんやあ。カオル。

  気持ち悪いわあ。

  ウチそんなんいらんわ。」

カ「そんな・・・」

ガビーンとなるカオル。

チ「冗談や。」

ル「チャコ。性格悪いわよ。」

ハ「飼い主に似たんじゃないのか。」

久しぶりに笑いに包まれるフェアリーレイクの温泉宿。

ル「ようしそれじゃあ、今度こそ。」

腕をまくるルナ。

ベ「うん。」

メ「ああ。」

チ「そや。」

シ「うん。」

ハ「いよいよだな。」

シャ「ええ。」

カ「ああ。」

ル「コロニーに帰るわよ。」

ガッツポーズを決める。

「おおー。」

ルナに続いてこぶしを高く空に突き上げるみんな。




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