「レディスエンジェントルメン。第30回スターホール公演に足をお運びいただきまして、

真にありがとうございます。

本日は、当劇団から生まれたスター、メノリ ヴィスコンティ嬢の

サヴァイヴお別れステージも兼ねまして、

メノリ様とそれを支えてくださった、お仲間の方たちも友情出演されます、

最初で最後のステージとなっております。

どうぞご期待下さいませー。」

怒号のような歓声がおきる。

「メノリさぁ〜〜〜ん。」

「行かないでぇ〜〜。」

 

ル「すんごいわね。」

舞台袖から観客席を見る。

メ「大丈夫か?みんな。」

ベ「ああ。」

カ「だ、大丈夫だ。」

メ「よし、みんな大丈夫そうだな。」

ハ「メノリは主役だろ?緊張しないのか?」

メ「踏んだ場数が違うからな。」

ハ「ちぇっ。」

メ「トップバッターはアダムだ。」

ア「うん。」

メ「しっかりな。」

ア「楽しんで弾いてくるよ。」

落ち着いた笑顔で答える。

メ「頼もしい答えだ。」

頭をなでるメノリ。

嬉しそうなアダム。

 

「それではトップバッターは、

メノリ様にヴァイオリンの素晴らしさを教えていただいた、

異星からの使い、アルデュラムギェット君によります独奏です。

覚えたてですので、その一生懸命な演奏を盛大な拍手で支えて上げてください。」

パチパチパチ

 

ステージに進み出たアダムは真ん中に立って、ペコリとお辞儀をした。

「カワイイ〜。」

「頑張れよー坊主。」

野次が飛ぶ中。

アダムの演奏が始まった。

 

ル「・・・ちょっと音が外れるわね・・・」

はらはらしているルナ。

シャ「大丈夫かしら。」

心配そうなシャアラ。

メ「いい音楽だ。」

ル「メノリ?」

メ「わからないか?

  未熟かもしれないけど、丁寧に心を込めて弾いている。

  それにアダムを見ろ。

  とても生き生きと楽しそうだ。」

ア「観客の視線が集まる中、アダムは物怖じせず、

  楽しそうな笑顔で小さなヴァイオリンを操っていた。

演奏が終わる。

パチパチパチパチ

「良かったぞー坊主。」

「かわいかったわよ〜。」

「がんばったなー。」

メ「ほら、観客は正直だからな。」

歓声に応えるアダム。

胸をなでおろすルナ。

メ「続ければ、良い演奏家になるだろう。楽しみだな。」

ア「ありがとうございましたー。」

観客にペコリとお辞儀をするアダム。




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