絶望にうちひしがれたまま暮らすメノリに、父親がある話をもちかける。
「おまえも、もう年頃だ。結婚を考えてみんか?」
「私はもう、身も心も夫である彼のものです。」
「黙れ。ワシはあんな結婚は認めておらぬ。
あれはなかった事なのだ。」
「そんな・・・お父様・・・」
「良い話が上がっておるのだ。
貴族の息子、シオン殿がお前をもらってくださるそうだ。」
「私はお断りいたします。」
「黙れ。色々と問題を起こしたお前に選択権などない。」
「・・・」
もはや逃げ場のなくなったメノリは、大司教に助けを求めた。
ル「私に考えがあります。
この薬をお飲みなさい。」
薬を手に取るメノリ。
ル「これは一時的に仮死状態になる薬です。
あなたは死んだことになり、結婚は行われません。
ハワードにその旨を伝えておきますから、後はふたりで遠いどこかの地へ逃れなさい。」
メ「お導きに感謝いたします。」
薬を飲み干すメノリ。
しかし、大司教の報せが届く前に、メノリが悲しみの末に毒を飲んで死んだという報せだけが先にハワードの元に届いた。
メノリの元に急ぎ駆け寄り、棺おけの前で悲しみに暮れる。
ハ「あなたがいない世界では、僕の生きる意味は存在しない。」
持っていた毒で後を追うハワード。
やがて仮死状態から目覚めたメノリは、倒れているハワードを目の当たりにし、事の顛末を理解した。
死体に寄り添い、泣き崩れるメノリ。
メ「あなたがいないならば、私は生きる居場所が見つけられない。」
短剣を胸に突きたて、愛する人の後を追う。
全てが白日の下にさらされ、壮大な葬儀が行われた。
ハワード財団の者も、ヴィスコンティ家に属する者も、心から悲しみ、涙を流し、
ふたりの死を哀れんだ。
あれほどいがみあった両家の争いは、これ以降消えてなくなってしまった。
ハワードの約束通りに・・・