「ふたりをあまりにも不憫に思った空の上の神様は、ある南の無人島にふたりを蘇らせてあげることにしました。」
南の島へと舞台が変わる。
メ「ここは・・・?」
ハ「なにもない・・・無人島だ・・・」
メ「ハワード。」
ハ「メノリ。」
ふたりはなにもない島でお互いの無事を喜び抱き合って幸せを噛みしめました。
ハ「ああ〜僕に火起こしなんて無理なんだよ。
メノリ〜手伝ってくれよ〜。」
メ「私は水脈探しに忙しいんだ。それくらい自分でやれ。」
両手で深い穴を掘る演技をするメノリ。
ハ「食料はどうするんだ?」
メ「それくらいなんとかしろ。」
「こ、こうしてふたりは仲良くたくましく、いつまでも幸せに暮らしていきました。」
おわり
シャ「もう、ハワードったら。
最後は美しく幻想的な楽園で終わるシーンなのに・・・色んなトコで勝手にアドリブいれちゃって。」
ハンカチを噛むシャアラ。
ル「まあ、いいじゃない。お客さんには喜んでもらえたみたいだし。」
涙と笑い声と拍手に包まれる観客席。
ハ「どうだー良かったろー僕の演技。」
汗だくで、舞台袖に帰ってきたハワード。
シャ「もう、好き勝手やっちゃって。」
ル「良かったよ。ハワード。」
ハ「メノリは・・・」
そっぽを向いているメノリ。
ハ「おい、どうだった?」
肩をつかんで振り向かせる。
顔が真っ赤だ。
ル「メノリ・・・」
メ「この馬鹿、打ち合わせ通りちゃんとやらないか。
あわせる私の身にもなってみろ。」
いつものように、どなり声を上げて、衣裳部屋へと踵をかえす。
ハ「ちぇっ。今日くらい、優しい言葉をかけてくれたって損はないのになあ。」
文句を言うハワード。
ル「メノリ・・・」
シャ「真っ赤だったね。」
顔を見合わせて笑うふたり。