ル「どうしたの?なにか心配事?」
湯上りの夕涼みにルナが隣に腰掛けてきた。
ル「いよいよ宇宙へ、だもんね。緊張しちゃうよね。」
カ「・・・」
ル「この星に来て、色々あったね。
辛いことも、悲しいこともあったけど、私はとても楽しかった。」
カ「・・・」
ル「でも、カオルがアストロノーツにいたなんて知らなかったな。
よろしくお願いするわね。パイロットさん。」
いつものように満面の笑顔を見せるルナ。
彼女なりに励ましてくれているのだろう。
カ「・・・アイツは・・・」
ル「え?」
カ「アイツは俺が初めて負けた相手だった。」
ル「そう、そんな友達がいたのね・・・」
悲しそうな顔をする。
ル「これからは・・・」
カオルの目を見る。
ル「これからはその人の分まで、楽しく生きていかないとね。」
ガクガクと手が震えるカオル。
ル「どうしたの?」
心配するルナ。
カ「その男がここにいたんだ。」
ル「え?ルイって子?まさか・・・」
うなづくカオル。
ル「だって銀河系で、宇宙に投げ出されたんでしょ?
ここは・・・」
もといた星系とはかけ離れた、全くの別宇宙。
ル「見間違いとか・・・似てる人とか・・・」
カ「成長していたが、見間違えるはずはない。
いつも、いつでも心の奥底に居た男なんだ。」
ル「それで、どうするの?」
カ「後をつけて住所はわかった。
下町に知らない老夫婦と住んでいるようだったが・・・」
話を聞くルナ。
カ「どうしたらいいかは、わからないんだ。」
頭を抱えて辛そうなカオル。
なんと声をかけたらいいかわからないルナ。
ル「・・・とにかく、そんなに気になる人に再会できたんだから、会ってみるべきだと思う。」
カ「もし、本人だったら、なんて言えばいいんだ・・・ゴメンとでも言うのか?」
ル「会ってみないとわからないけど・・・このままじゃ心残りばかりでどうにもならないんじゃないかしら。
それが人間にとって一番辛いことだと思うから・・・」
会いたくても、もう二度と会えない愛しい人達のことを思い浮かべる。
ル「会ってみるべきよ。」
カ「・・・それしかないんだな。」