ハ「なあどんなところなんだよ?」

シャ「贅沢は言わないけど赤い屋根がいいわ。」

ル「えーと・・・」

街を歩く3人。

はしゃく少年と、思いをめぐらせる少女と、思案する少女。

 

ル「こんにちわー」

不動産屋「なんだいまたあんたかい。金ができるまでは何度こられても貸せないよ。」

ハ「なんだーその態度は。僕たちは客だぞ。」

ル「おじさんコレ。」

持ってきたサヴァイヴを差し出す。

自動計算機にいれると、8500という数字がでてきた。

不「これはこれは、毎度ありがとうございます。」

ハ「なんだ。調子いいなあ。」

不「で?8500ということは、東地区の例の物件でよろしいのですね。」

ル「えーと。」

ハ「なんだ、もう決まってるのか?」

シャ「私一度どんなところか見てみたいわ。」

ル「とっても素敵なところよ。」

不「へっへっへ、そうですとも。あれほどお得な物件はありませんぜ。なにしろ、」

ル「とりあえず、この二人にももう一度見せてもらえる?」

不「ヘイ。」

 

 

チ「ここみたいやな。」

メ「なんだか怪しげな場所にあるな。」

チ「やっぱりやめとこか?」

メ「・・・いや、チャンスかもしれないならためらってはいられない。

 いこう。」

チ「そうやな。虎穴に入らずんば虎子を得ず やな。」

おそるおそるコンクリートの細い階段を下りていく。

しばらくすると、音楽が聞こえてきた・・・。

チ「一応ちゃんとやってるみたいやな。」

メ「ああ・・・」

 

左手の扉が開いていて、光がもれている。

 




ハ「なんだエアカーも、推進プレートもないのか。」

不「へっへ、なんせ格安物件ですから、でも近いもんですよ。」

しばらくして・・・

ハ「なあ、まだなのか?」

不「もうちょっとですよ。」

ハ「さっきからそれしかいわないじゃないか。」

不「もうちょっとですよ。」

ハ「チェッ。」

 

さらに10分後。

不「着きました。」

ハ「やれやれ随分歩いたなあ。」

シャ「なんだか入り組んだところねぇ。」

不「ココの二階です。」

シャ「やっぱりアパートなのね。」

ハ「どんなのを想像してたんだ?お花畑に赤い屋根の一軒屋か?」

シャ「もう・・・」

ル「中はけっこうキレイなんだよ。」

緑色の宇宙人不動産屋がかぎ束をとりだして扉を開ける。

シャ「うわあ

中は十六畳程の広さでキッチンらしきものと、奥にももうひとつ部屋がありそうだ。

キレイな壁紙でおおきなソファーがふたつ。キレイに片付いている。塵ひとつない・・・

ハ「へえ、もっと狭い部屋を想像してたけど、わりかし広そうじゃないか。」

シャ「キレイな部屋ねぇ。」

ル「い、いいでしょう。」

ハ「奥の部屋をみせてもらうぜ。」

ハワードは奥の間を覗きにいった。

シャ「ここにテレビを置いて、ここに戸棚。本棚を置いて、玄関にかわいいお花を飾って・・・」

不「決めますか?」

シャ「わたしはここでいいと思うわ。ハワードは?」

奥から顔を出して答える。

ハ「いいんじゃないか、この部屋は僕の個室にさせてもらうぜ。」

シャ「えーっダメよ、そんなの。わあここも素敵ね。」

不「へっへ では決定ということでいいですね?」

ル「えーと。」

シャ「どうしたのルナ?みんなもここで気に入ると思うわよ。」

ハ「僕もいいとおもうぞ。それにしても埃ひとつない部屋だな。」

不「それはですね、この部屋には、」

ル「わあ」

シャ「なに?ルナ?」

ル「え、えーと。」

ハ「わ!」

シャ「どうしたの。ハワード。」

ハ「こ、この部屋なにかいるぞ。」

シャ「なに?へんなこといわないでよ、ハワード。」

ハ「あ、あそこをみてみろ。」

ハワードが指差す方を眼鏡をつまんでよく見てみた。

 

壁が、なにか動いているように見えた。

シャ「きゃあ。」

ルナにしがみつく。

シャ「ルナぁ、あれはなに?」

ル「あれはね・・・」

不「あれはですねぇここに住み着いてるペットみたいなもんです。」

不動産屋が舌を伸ばして動く壁を捕まえた。

黒い薄っぺらい影のようなものがでてきて、それを飲み込んだ。

シャ「きゃあーーーーーっ。」

不「このとおり非常食にもなるし、部屋のゴミもキレイに食べてくれる大変便利な生き物です。

ときおり壁が動いて人懐っこく触れられるのをを嫌がるお客様もおられますが、

気にしなければ。」

シャ「イヤーーーーーーーーーーっ。」





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