チ「なかなか良さそうな劇団やないか。」
メ「だがすぐにお金に結びつくわけでもなさそうだ。」
チ「ええやないか。今までのように公園でやるよりは、前に進んだやないか。」
メノリは自分の手にもつヴァイオリンを少し誇らしげな目で見つめた。
メ「ただいま。」
シ「おかえり。どうだった?」
メ「ああ、みんな良さそうな人達で、なんとかやっていけそうだ。」
チ「どうしたんや、みんな?」
ハ「それが聞いてくれよ。ルナのやつ金があるのに使えないっていうんだぜ。」
チ「なんやて?」
ハ「な?みんなどう思うよ。」
チ「・・・話はわかったで。それにしてもカオルはそこまでしてサヴァイヴを稼いでたんやなあ。」
目を閉じてなにかを思うチャコ。
ル「私はそんな方法でお金を稼いでも誰も幸せになれないと思うの。
それにちゃんと働いたお金でないと、いつかどこかで必ずトラブルも起こると思う。」
ハ「僕はどんな手段で手に入っても金は金だ。有効に使うべきだと思う。
それにカオルの立場はどうなるんだ。アイツが必死に稼いだお金だろ?」
ル「それは・・・」
ハ「カオルの為にもみんなのためにもちゃんと使うべきなんだよ。」
ベ「俺は・・・ルナのいうこともよくわかる。問題のあるお金なら必ず後で尾を引くことになるよ。」
ハ「お前は黙ってろ。僕の意見に逆らうのか。」
ベ「俺は俺の意見を言っただけだ。」
ハ「なにい。」
メ「私はそのサヴァイヴも使うべきだと思う。」
ル「メノリ・・・」
メ「私達は屋根もない野宿生活で、いつ体調をこわしてもおかしくない。
差し迫った状況ではないと言えないはずだ。」
ハ「そうだ。その通りだ。」
ル「シャアラはどう思うの?」
シャ「私もなるべくならちゃんとしたお金を使うほうがいいとおもうけど・・・」
ハ「ちゃんとしたところに住みたいって言ってたじゃないか。」
シャ「・・・」
ル「シンゴは?」
シ「僕はよくわからないけど、
あるものは使って、もっと稼げるようになったら、その人達に返せばいいんじゃないかな。」
チ「そないな甘い奴等ならええんやけどな。」
ハ「じゃあ公正に多数決だ。今すぐ使うに賛成の者は挙手だ。」
ハワードと・・・メノリが手を挙げた。
ハ「なにーお前らそれでいいのか?シンゴは賛成っていってたじゃないか。」
シ「僕はどっちがいいかわからないって言ったんだ。どちらでもないよ。」
シャ「私もわからない。」
ハ「ということは、賛成2票、反対2票、無投票が2票だな。」
チ「ウチはルナの意見に賛成やで。」
ハ「お前に投票権はない。」
チ「な、な、なんやてーーっ(怒)」
ハ「お前は人間じゃないじゃないか。」
チ「阿呆、ウチは人間以上にデリケートで高度な生き物や。このー」
ハ「なんだ、やるかー?」
ジャリッ
ハ「うわっ」
ル「あっカオル。」
ハ「なんだお前か、おどかすな。ちょうどいいお前のことでみんなで話し合いをしていたんだ。」
カ「・・・」
ハ「お前がせっかく稼いできたサヴァイヴをこいつら使えないって言うんだ。」
カ「・・・・・・」
ハ「後から問題がでてくるとかなんとか言って・・・
お前は使うべきだと思うだろ?
お前の1票で僕達の勝ちなんだ。」
カ「・・・・・・俺の分をよこせ。」
ル「あっ・・・うん。」
ルナはリュックからサヴァイヴを取り出す。
ル「5000サヴァイヴと・・・残りのお金。」
カオルはルナの手から奪い取って立ち去ろうとする。
ハ「おいっ どこいくんだよ。ひとりで使う気か?」
カ「・・・迷惑かけたな。けじめは自分でつける。」
カオルはそう言ってまたひとりで町に消えていった・・・・・・