親方さん「そうか・・・自分たちのコロニーに帰る為にサヴァイヴが必要なのか・・・」
ベ「はい。」
親「それにしてもそんな遠いところまで行く宇宙船を買うのはちょっと無理なんじゃねえかなあ?」
ベ「仲間がいますし、頑張ればやってやれないことはないと思います。」
親「お前さんの働きぶりはわしからみてもたいしたもんだが、そうそう簡単にいく話ではないと思うぜ。」
ベ「はい、でも・・・諦めることは無い。それだけです。」
親「力仕事でこきつかわれるだけじゃ、先はねえぜ。」
ベ「はい、でも・・・」
親「おまえさんは頭も良さそうだ。なにか目算でもあるのか?」
ベ「いえ今は・・・、でもきっと帰れると、おれは信じています。」
親「・・・そうか・・・まあこの街にはチャンスも多い。なんとかなるかもしれねえなあ。」
ベ「はい。」
親「よ〜し。みんなあ、始めるかあ。」
「うぃーす。」
親(眩しいねえ。ワシにもあんな頃があったなあ。そういえば・・・)
浅黒い肌の親方さんは懐かしそうな、遠い目をして、そう思った。
カ(きたな・・・)
にぎりしめたロープの端をつかんでカオルは全身の力を抜いた。
気配を悟られてはおしまいだ。
罠に気を集中してもいけない。
無心で、自然と一体になるのがコツだ。
存在を消す技術なら得意とするところだ。
少し高揚する気持ちに気付きゆっくり抑えるとカオルは自分の気配をほとんど消して獲物である、エリマキハシリネズミとの我慢比べに身を投じた。
エリマキハシリネズミは辺りを警戒しながら、ドングリをおいしそうにほうばっている。
シャ「ハワードォちゃんと掃除も手伝ってよお。」
ハ「うるさい。僕は絶対アイツを捕まえるまで諦めないぞ。」
袋とハワード作の自称秘密兵器を持ったまま、本当に諦めていない。
こんな執念深さがあったなんて・・・
なにが彼をそうさせるのだろうか・・・
シャ「でも昨日あれだけ獲ったらもう普通のロボットもいないんじゃないのぉ?」
ハ「そういえばそうだな。今日は1サヴァイヴのやつもなかなか見つからないし・・・
ここにはもういないかもな。よしちょっと出掛けてくる。後はよろしくな。」
シャ「もう、ハワード!」