マスター「兄ちゃんいい腕だねえ。ここまで稼げるやつは珍しいよ。」

顔馴染みのマスターが声をかける。

「巨大生物パグゥの写真撮影に、幻の魚ニシキゴイの一本釣り。

オオトカゲの退治に、大昆虫の群れのレポート、惚れ惚れするねえ。」

「で、次はなんにするんだい?ランク的には・・・アンタはBランクマスターだ。コイツにするかい?」

差し出された写真には、火を吹く植物の写真が。

「そいつはAランクだよ。危険もでかいが値も破格だぜ。」

写真をひったくるとカオルは歩きだした。

「がんばってなあー。」

写真を見ると

Aランク

50万サヴァイヴの文字と

「近づくと火を吹いて身を守ります。

大変危険な花ですが、根が薬品の元となったり、稀少価値もあり大変高値で取引されます。

根を使って自足走行するという噂もあります。」

という説明文。

カ「とうとう、コイツに挑戦する時がきたか・・・」

 

ル「それじゃあ行ってきます。」

星「あいよ。」

猫「ニャー。」

ア「あれ・・・猫?」

チ「なんや?ウチと同類か?」

星「おや、三毛しゃん、久しぶりじゃにゃーか。ちょっとお待ち。」

三毛さん「にゃー。」

シャ「随分年寄りの猫ねえ。」

チ「お前・・・星ばあさんと知り合いなんか?」

三「・・・」

チ「なんや?ウチの言葉がわからへんのか?」

ル「チャコも猫語はわからないでしょ。」

チ「せやった。」

星「あいよ、お待ちどうしゃん。」

星ばあさんが、猫ごはんを持って現れた。

ありつく三毛さん。

ル「知ってるんですか?」

星「三毛しゃんはの、もう何十年も前からこの辺にいてのお、

フラッといなくなっては、また戻ってきたり・・・それを繰り返しているんじゃ。」

シ「何十年、随分長生きな猫だねー。」

星「ワシが小さい頃からおるけん。ひょっとしたらもっと年寄りかもしれんのう。」

「ひぇー。」

星「三毛さんはのうしゃべれるんじゃ。」

チ「なんやて?」

星「本人は嫌がるばってん、翻訳機があるとのう。」

星ばあさんが自分の腕巻き携帯翻訳機を近づけると・・・

星「ホレ、三毛しゃんなんかおしゃべり。」

三「・・・私は猫だよ。言葉が通じないほうが、都合のいい時もあるのさ。ほっといておくれ。」

「しゃべったー!!!」

星「何語かはわからないばってん、なんで三毛しゃんだけ喋れるんだろうねえ。

 随分長生きだし、この星の猫じゃないんじゃろうか。」

ア「僕アダム、よろしくね、三毛さん。」

三毛さんはペロペロと自分の口の周りをなめている。

 

「ドラゴンフラワーねえ・・・さあなあ。名前は聞くけど、Aランクなんだろソイツ。

情報だけでも、滅多にでないんじゃないか?」

「俺が知ってるぜ。」

声の主を見るカオル。

カ「本当か?」

「ああ。」

いかつい青い異星人が堂々と答える。

「どんな情報を持ってる?」

「生息場所を知ってるぜ。」

本当なら重要な情報だ。

「おっと話してもいいが、その前に。」

男が手を差し出す。

「2万サヴァイヴだ。」

黙って懐から、お札を2枚渡す。

「へへっ、毎度あり。

見た場所はなあ、西の町外れの沼地だ。じっくり粘れば姿をみせるはずさ、じゃあな。」

立ち去ろうとする男の前に回りこむと、カオルは素早く左のてのひらを男の口元に当てる。

「うん、うぐう。な、なにを飲ませた。」

「小型の発信機だ。

もしみつからなかったら、渡した金と共にお前の大事な物も奪いにまた、現れる。」

「・・・そ、な・・・」

「お前さんソイツはBランクマスターだぜ。それくらいの腕は持ってるぜ。」

カウンターの常連客が言葉をいれる。

「じゃあな。」

「ま、待ってくれえ、あ〜ぬ、沼地で見たのは、遠くて見間違いかもしれないんだ。」

「・・・」

あそこに居る爺さんなら、俺より確かなことを知ってると思うぜ。」

距離を詰めるカオル。

「あ〜か、金も返すから・・・発信機も取り出してくれよう。」

渡したサヴァイヴを受け取るカオル。

カ「一週間もすれば、そのうちでてくる。」

「そ、そんなあ・・・」

へたり込む異星人。

 

酒場の隅で酒をあおる老人に近づく。

「ねえちゃあん、もう一杯じゃ。」

「もう程ほどにしなよう。歳なんだから、体に障るよ。」

「わしゃあまだまだいけるわい。これからじゃ。」

老人に近づくと、火を吐く植物の写真を見せる。

「なんじゃあ、お前さんは。ワシにも発信機を飲ませる気か?」

「・・・あれはただの木の実だ。」

「ふうん。うぃっく。確かにわしゃあしっとるが、無駄じゃ無駄じゃあ、やめておけい。

お前さんの手に負える生き物じゃないわい。いいかあ、生き物っていうのは、わしら人間より・・・」

「この爺さんにこの店で一番高いお酒を頼む。」

「ええ、いいのかい?3万はするよ。」

「ああ。」

出されたお酒は透明な液体だった。

「おおおお、コイツは幻の酒、森伊蔵。」

瓶にほおずりをする爺さん。

「ううん。東にずううっといった荒地におる。

それだけを生涯かけて追い求めた探求者の情報じゃから、間違いない。

しかし動き回っておるから正確な場所はわからん。」

「そうか。」

立ち上がると足早に酒場を出て行くカオル。

物知りじいさん「しかし問題は捕獲したその後なんじゃ・・・」

うつろにつぶやくじいさん。

足早に立ち去ったカオルの耳にその言葉は届かなかった。







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