カ「これは・・・」
地面をはいずった後に焼け焦げたような匂い。
カ「3日かかって、ようやく見つけたな。」
中古のエアカーを降り、鋭い目で手製のナイフを握り締めて、その後を慎重に素早くたどる。
カ「いた。」
人の二倍くらいの、派手な色をした花がゆっくりと動いている。
カオルはナイフを構える。
(迷っている余裕はない。一撃で仕留める。)
気付かれないように距離を詰めると、すぐにカオルは根元の幹に切りつけた。
ぐにゅん。
手応えのない音がすると、ドラゴンフラワーは動物のように走り出した。
「くそっ。」
カオルはなにかを投げつけると、そのまま獲物が走り去る姿を見つめていた。
バックから小型の機械を取り出しスイッチを入れる。
カ「よし、ちゃんと機能している。」
カオルの投げた発信機はドラゴンフラワーの正確な位置を受信装置に表示していた。
一時間後
「今度は・・・」
カオルは今度は手製の槍を構えていた。
(横に斬りつけるから、通らないんだ。これで一点を貫けば・・・)
さっきよりも慎重に今度は一点に狙いをつけて構える。
しばしの静寂・・・
(いまだ。)
狙いをつけた切っ先が、さっきと同じ場所に突き刺さる。
「グオオオオンン」
貫きはしなかったが、ダメージを与えたようだ。
もう一度同じ場所を狙うカオルに獲物は花の中心をカオルに向けた。
ブオオオーーー
すさまじい熱気がカオルに向かって放たれる。
紙一重で交わしたつもりだが、右半身にその炎の熱が伝わる。
再び構えるカオルに、もう一度正面を向けると、今度は一度身を屈めたかと思うと次の瞬間には、空に舞い上がっていた。
術もなく空を唖然と見上げるカオル。
「・・・・・・飛べるのか・・・」
今日もメノリはシオンとの協演に余念がない。
メ「もう少しメロディにのせて、完璧にしようと無理にあわせようとしないで気持ちを自然にのせるんだ。」
「わかった。」
カ「ただいま。」
ル「おかえり、カオル、!ど、どーしたの?それ。」
カ「ああ、ちょっと焦げただけだ。」
シャ「火傷はしてないの?」
カ「すぐに対処しておいたから、たいしたことはない。」
ル「ほんとうに大丈夫なの?あなたはすぐ無茶するから・・・」
心配そうに右腕を触るルナ。
カ「大丈夫だ。」
ル「チャコッ、ちょっと見てあげて。」
チ「よっしゃ。」
カ「・・・」
チ「うん・・・」
座ってチャコのセンサーチェックを受けるカオル。
シャ「どう?」
チ「ちょっと火傷してるけど・・・たいしたことはあらへん、明後日には治るやろ。」
ル「そう。」
ほっと胸をなでおろすルナ。
シャ「でも服がボロボロになっちゃったね。」
カオルの右半身の服は焼け落ち、右肩も露出している。
ル「よし、明日は服を買いにいこっか?」
カ「このままでも別に・・・」
ハ「お前その格好で街を歩く気か?
シ「ハワードには言われたくないと思うよ。」
ハ「僕の格好の何処が変なんだよ。なあブルキン。」
自分の格好を見るハワードの周りをブルーメタルブリキ虫のブルキンが飛び回る。