ル「どんな服がいいかしらね。」

ア「僕みたいな、最新のナノマシンスーツがいいよ。」

アダムの服を着た自分を想像するカオル。

ル「あはは・・・あんまり高いのは無理かもね。」

カ「俺は一番安くて動きやすいのでいい。」

ル「少しなら大丈夫よ。」

カ「女は新しい服が好きじゃないのか。シャアラとかメノリは・・・」

ル「そうねえ。でも今はそれだけの余裕はね。」

ア「明日の服は?」

ル「メノリのステージは綺麗な貸衣装があるから大丈夫よ。」

ア「綺麗な衣装?」

ル「そうよ。」

ア「見たい、見たい。」

ル「ふふっ、明日のお楽しみー。」

笑いあうふたり。

本当に楽しそうだ。

俺は場違いなんじゃないかと思う。

ル「あ、ここよシャアラが言ってたいいお店って。」

シャアラが言ってた・・・

嫌な予感がする。

 

ル「今度はこれはどうかな。カオルに似合うと思うんだけど。」

出されたのは緑の迷彩柄・・・

ル「ホラ、景色に溶け込めるし・・・」

カ「俺は嫌だ。」

ル「これも駄目か・・・」

始めは派手なカジュアルから、段々とスーツ、そして実用的なものへと変わってきた。

ルナはまた店内の服を物色している。

ル「これは、どう?」

見せられたのは忍の衣。

「・・・」

ル「素早そうなんだけどなあ。」

一体どういう目で見られているんだろう。

アダムは疲れ果てて眠ってしまった。

カ「俺はもっとこう普通のでいい。」

ル「例えば?」

カ「この、耐火性に優れたサバイバルスーツとか・・・」

メチャクチャ怪訝な顔をされた。

これはダメなのか・・・

 

夕方・・・

 

ル「結局ほとんど前の服と変わらないものになっちゃったね。」

カ「俺はこれでいい。」

ア「うん。似合ってる。」

ル「一番安い服で助かったわ。」

カ「おまえもなにか欲しかったんじゃないのか?」

ル「う、ううん・・・でも、コロニーに帰るまでは少しも無駄にできないし。」

カ「・・・」

ル「コロニーに帰る為よ。」

カ「ああ、そうだな。」

コロニーに帰る。

本当に帰れる日がくるんだろうか。

しかし今は・・・

今はなんとなく以前よりも前を向いてちゃんと歩いている気がするカオルだった。

 

 

 

演奏の終わりに仲間達の拍手が飛ぶ。

「とりあえず完成だな。」

「うん。」

「後は本番に備えるだけだ。」

「・・・ありがとうメノリ。」

「ふっ。礼は明日の本番が終わってからだ。」

微笑むシオン。

公演は明日。



  


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