メ「どうしたんだ?シオン。」
シオンのすぐ側に寄り声をかける。
シ「・・・・・・」
メ「しっかりするんだ、今まで練習してきた通り・・・」
シ「アイツが・・・」
メ「え?」
シ「アイツが来てるんだ。」
シオンがおびえているほうに視線を向けると最前列の少し後ろにふたり分の席を占有した黒く大きな体に細い4本腕の宇宙人がシオンをみていた。
いままであまり見たことのないタイプの宇宙人だ。
メ「おまえの腕に傷をつけたやつか?」
震えながら、うつむくシオン。
黒「おい、なにやってるんだ。軽やかなハーモ二―じゃなかったのか?
それでもプロかよ。」
金切り声を投げかける。
なるほど、声でもその人物のひととなりがわかるものだ。
メノリがキッとにらみつけると宇宙人はその反応を喜ぶように不敵に笑う。
「こんなので金を取るつもりかよ。そう思わないかあ?皆あ。」
大声で後ろに向かって叫ぶ。
「そうだ。俺たちゃ芸を見にきたんだ。」
「演奏できないならひっこめー。」
黒「ふざけやがって。」
一本の腕で飲んでいた瓶を舞台に投げつける。
それをきっかけに舞台に物がなげられ始めた。
舞台の上で小さくなるふたり。
シャ「ひどいわ。」
シ「どうなっちゃうんだ?」
ル「メノリ・・・」
心配している皆の横からハワードが飛び出した。
ル「ハワード。」
ハ「あのやろう。」
客席を走り抜けて舞台に駆け上がるとメノリの前で大の字になる。
ハ「大丈夫か?メノリ。」
メ「ハワード。」
ハワードを見上げる。
ハ「くっそう、なんなんだアイツは?」
ぶ〜ん
ブルキンがメノリの肩にとまる。
ル「メノリ、ハワード。」
ルナも舞台に向かって駆け出した。
ベ「俺たちも行こう。」
シャ「ええ。」
ル「メノリ、大丈夫?」
メ「ルナ・・・」
ルナも舞台に上がりメノリとシオンを庇うように両手を広げる。
ベル「2人とも大丈夫か?」
シャ「メノリ、怪我はない?」
ベルがその大きな体で壁を作る。
シャアラもメノリを守るように屈む。
メ「お前達・・・」
ア「僕も・・・」
舞台にあがろうと一生懸命なアダム。
チ「ちょっとなんやアンタ。せっかくの音楽にケチつけんといてや。」
シ「そうだよ。一体どういうつもりなんだよ。」
チャコとシンゴが不敵な宇宙人に詰め寄る。
黒「なんだあ、お前ら。」
服の下から細い腕が伸びて、チャコとシンゴに巻きつき持ち上げる。
シ「う、うわあ。」
チ「離せ、離さんかい。」
黒「けっ気にいらねえなあ。」
遠心力をつけて振り回す。
投げ飛ばすつもりらしい。
カ「そこまでだ。」
黒「なんだ?貴様。」
カ「二人を降ろしてここからでていけ。今お前の背中になにがあるかわかるな?」
黒「けっ。」
唾を吐き捨て二人を降ろすと宇宙人は渋々と立ち去った。