ハ「ちくしょう。」

シャ「ひどいことするわねみんな。」

ベ「このままじゃ・・・」

ル「収まりがつかない。」

唇をかみ締め悔しそうに目を伏せるメノリ。

「喝――――――――――――!!」

超音波のような怒号が会場に響きわたる。

あまりの凄まじさに会場の空気が一瞬で凍る。

メ「団長・・・」

ハ「なんだあ?今のは?」

耳を押さえるハワード。

アダムはびっくりして目を回してしまった。

団「まだできそうですか?」

舞台袖から団長の声。

メ「私のヴァイオリンはもう・・・」

メノリはボロボロになったヴァイオリンを見せる。

シャ「きゃあー。」

ベ「メノリのヴァイオリンが・・・」

ハ「メノリ・・・」

「これを・・・」

裏方が新しいヴァイオリンを持って差し出す。

「見様見真似ですがこの街の技術で作ったものです。

元のような音はだせないかもしれませんが・・・」

受け取って少し音をだしてみる。

メ「立てるか?シオン。」

シ「・・・」

メ「もう一度やるんだ。」

シ「でも僕は・・・」

メ「このままじゃアイツに負けたままだ。いいのかそれで?」

シ「・・・」

ハ「それでもお前男かよ。」

ハワードの言葉にハワードを睨み付けるシオン。

ゆっくりと自分の楽器を構える。

メ「よし。」

ふっと微笑むメノリはゴミだらけの舞台で2度目の演奏を始めた。

シオンも続く。

ふたりのハーモ二―が会場を包んだ。

荒んだ会場でそこだけスポットライトが当たっているように輝いていた。







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