ハ「ふーやれやれなんとか無事に次に進んだな。」

騒ぎも収まり席に戻って息をいれるハワード達。

シ「一時はどうなることかと思ったよ。」

シャ「ハワードが飛び出した時は驚いたわ。」

ハ「どーいう意味だよ。」

ア「かっこよかったー。」

ハ「アダムに言われてもなー。」

ル「カッコよかったよ、ハワード。」

ハ「ふ、ふん。わかればいいんだ。」

照れて赤くなるはワード。

ベ「ははは・・・」

進行役「えーお名残おしくもありますが、いよいよ最後の演目です。」

シ「最後だって。」

ル「いよいよ終わりね。」

「寸劇、無人惑星サヴァイヴです。どうぞー。」

 

「あ・・・」

チ「気い付いたか?」

「は、みんなは?」

チ「無事や、怪我人はおらんようや。」

「みんな、起きて。」

 

ル「チャコ!」

ハ「アイツ・・・いないとおもったら、あんなところに。」

 

ハリボテのシャトル内で劇がすすむ。

 

チ「心配せんでええ。十分許容範囲内や。海の水もOKやで。」

フィオ「たく、なにがどうなってんだよ。」

メ「救難信号をだせないのか?」

チ「アカン。シャトルの機能は全部壊れてしもうとる。」

 

ア「メノリだー。」

シャ「ねえ、なんだかこの劇、私達に似てるわねぇ。」

ル「本当だわ。」

ベ「人数も・・・同じ8人だね。」

 

舞台は無人島のセットに移り凶暴なハリボテの動植物もでてきた。

そして・・・

 

フィオ「僕の昼ごはんなにするんだよ。」

メ「お前が昼ごはんにされるぞ。」

「みんな、あそこへ。」

メ「よし。」

フィオ「あだっ、ひー待ってくれよお。」

 

ハ「なんだアイツは?さっきから情けないヤツだな。」

シャ(ハワードにそっくりな役ね・・・)

ル(ハワードだわ。)

ベ(ハワード・・・。)

シ(ハワードだ。)

カ(ハワード。)

ぶ〜ん

 

フィオ「終わりだよ。電気も水道もガスもない。助けもこない。バケモノに脅えながら飢え死にするだけなんだよ。僕たちは。」

「でも、湖が見つかったじゃない。」

フィオ「あのバケモノがいるんだぜ。」

メ「だが、無事に帰れた。」

「とりあえず食料は獲れてるし、火もあるよ。」

フィオ「お前は黙ってろ。」

チ「ウジウジ悩んどってもしゃーない。水があっただけでもめっけもんや。」

「生き延びていれば、そのうち帰れる方法が見つかるかもしれないよ。」

「水が全然足りない。もっと思いっきり飲みたいよ。」

メ「明日、みんなで湖へいこう。」

チ「近いんか?」

メ「ここだ。現在地はここ、低いほうの山と目印の岩が重なってみえるように進むとオオトカゲの岩場があって・・・」

メノリの台詞で静かに幕が降りた。

進行役「少年少女たちに明日はあるのか。

バラバラな小さな力がいつしか強い結びつきとなり

明日を自分達で切りひらいていく力となることを信じてここで幕とさせていただきます。

長い時間をお付き合いいただいた、第24回スターホール公演もこれで終わりです。

また25回公演でお会いしましょう。

本日のご来場、ありがとうございましたー。」

 

ハ「いやーなかなか面白かったな。」

シャ「最後の劇はまるで私達を見てるみたいだったわ。」

ベ「そうだね。」

ル「私達も頑張ってこの街で生き延びましょう。」

「おーー。」

 

シ「すいません、団長。舞台を壊してしまって。」

楽屋裏で頭を下げるシオン。

団「いや・・・シオンの胸中もよくわかります。ただ・・・」

「あの男の胸中もわかって欲しいのです。彼も私と同じ蔑まれてきた人間です。

仕事口も自分の生まれた星がわかった途端に解雇され、周りの態度も変わってしまう、

それがずっとついてまわるのです。

もちろん他人にはけ口を求める行為は断じて許せませんが

いつまでも恨みの気持ちを持つのはあなたにとっても損ですよ。」

シ「・・・・・・はい」

メ「団長・・・」

団「ん?」

メ「今日はありがとうございました。」

団「いえ、私は団長としての仕事をしただけです。」

シ「相変わらずすごい怒号ですね。気絶しちゃった観客もいましたよ。」

団「う〜ん。やっぱり私は力の入れすぎですね。」

シ「ははっ。」

メ「皆が団長のように強さと優しさを持てるといいですね。」

団「いやいや、それはメノリさんと仲間達のことですよ。」

メ「私は・・・そんな・・・」

シ「ほんと、今日はゴメン。」

メノリに頭を下げるシオン。

そして今までみたことのないくらいの笑顔で言う。

シ「ありがとう、メノリ。」

 

メ「待たせたなチャコ。」

チ「お、メノリ、反省会は終わったんか?」

メ「ああ、チャコもいい演技だったな。」

チ「せやろー。ウチ芝居の才能もあるんやなー。

高性能過ぎて困るわ。今も知らん異星人に色々聞かれてなあ。」

メ「はははっ。」

チ「メノリもなんかいいことあったみたいやな。」

笑うメノリ。

チャコに手を差し出す。

メ「帰ろう。 皆のところへ。」

 

ハ「お、来た来た。今日のスターのおでましだ。」

チ「せやろー。全くウチの美貌にかかるとどんな星の男でも・・・」

シ「良かったよメノリ。舞台も、もちろん演奏も。」

ア「良かったーメノリのヴァイオリン。」

チ「ありゃ。そりゃないで、シンゴ、アダム。」

不満顔のチャコ。

シ「も、もちろんチャコも良かったよ。」

チ「そない取ってつけたようにいわれてもなあ。」

「ははははは・・・」

メ「今日は本当にありがとう、皆のおかげで無事に終わらせることができた。」

ル「メノリこそ、ご苦労さま。」

ベ「ああ、お疲れさま。」

ア「僕にもヴァイオリンを教えてよ。」

ル「アダム。」

嬉しそうに微笑むメノリ。

メ「ああ。」

シャ「良かったわねーアダム。」

ア「うん。」

メ「今度子供用のヴァイオリンも作ってもらえるよう頼もう。」

ア「うん、約束だよ。」

メ「ああ。」

指きりげんまんをするふたり。

ハ「なあなあ僕かっこよかっただろ。」

チ「おまえもなあ、自分で言わんかったらちいとは見直すところなんやけどなあ。」

メ「全くだ。」

ハ「そうなのか?」

シ「でもそれでこそハワードかもね。」

ベ「うん。」

ハ「なんだよ、その言い草は。」

一呼吸おいてメノリは本当に言いたかったことを言う。

メ「ありがとう、ハワード。」

ハ「お、おう。お前も人にお礼が言えるようになったんだな。」

メ「な。」

顔色の変わるメノリ。

ハ「これからも助けてやってもいいけど、僕を敬い崇め奉るのを忘れるなよな。」

メ「お、お前というやつは〜。」

ハ「ひ、ひーそんな顔するなよ。」

 

星「どうじゃったんかいのう。だいぶ遅いのう。」

大いなる木の玄関前を何度も掃除する星ばあさん。

星「この街は穏やかな連中ばっかりじゃないからのう。なんぞあったんかのう三毛しゃん。」

三(知らないよ、アンタもいい年なんだし、その様子はどうかと思うよ)

そっぽを向いて専用の高台で丸くなる。

星「なんじゃ、冷たいのう。三毛しゃん。お、帰ってきおった。」

遠い星からやってきた9人は遠くから見てもわかるくらいに賑やかな笑い声に溢れていた。

星「あの様子じゃと、成功じゃったようじゃの。」

段々と近づいた笑い声は、星ばあさんの目の前で満面の笑顔をみせて言った。

「ただいま星ばあさん。あのねえ・・・」

星「ふん。飯の前にぃ掃除が先じゃぞー。」

三(年寄りってのは素直じゃないねえ)







前ページ     次ページ

戻る