いつものように晴れ渡った日差しの強い日。

足場の高い現場で、更に高い足場作りにベルは汗を流していた。

「ふー。ここはこれで良しと。」

もし崩れることがあればそれは自分達の命がなくなるかもしれないことを意味していた。

「次は・・・と。」

丁寧に丁寧に作業を続けていく。

「おおーい、ベル。10時だ、一服いれよう。」

下から親方さんが声をかける。

「はい。あとここだけ組んでおきますから。」

わかった気をつけろよというサインをだす親方さん。

高い足場で作業を続けるベル。

「これで・・・完成だ。」

出来上がった足場を確認する。

そして、ベルは慣れた足ではしごを降りていった。

「おおベル、こっちだ。今日はお前の好きな笹の葉で包んだまんじゅうだ。」

「はい。」

ベルが近寄ろうとすると、

ガタン

「うおっと。」

親方さんの足場のパイプが一本外れた。

「馬鹿やロー、サブ。テメーまた手を抜きやがったな。」

下にいるサブに向かって叫ぶ。

「すいやせん、親方ぁ。」

「後でぶん殴ってやる。」

「大丈夫ですか?」

「あってはならないことだが、まあよくあるこった。」

ベルの顔を見る。

「でもお前さんは仕事も丁寧だし、ミスも少ない。

力もあるし、なにより根性持ちだ。」

「俺は・・・」

「今時の若いヤツにしては珍しい。なんでそんなに一生懸命なんだ?」

「俺は、仕事のひとつひとつが、命や、生活や、他のいろんなものを支えていることを

小さい時に知ったから・・・自分の出来る限りの事を力一杯やっているだけです。

「ふーん、そうけいそうけい。今の若い衆にも見習わせてえもんだな。

オラッ聞こえたかサブ。」

「へえ〜い。」

「カッカッカ。」

(畜生あの野郎、親方にひいきされやがって・・・)






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