カオルは東の荒地にいた。

発信機がはずれたらしく、獲物の位置はもうつかめなかった。

諦めずに荒地を探すカオルの目に遠くでキラリと光るものが映った。

「あれは・・・」

興味をそそられたカオルはエアカーで近付く。

 

荒地を走るその金ぴかの大きな人影は、動く金塊といわれるゴールドマンだった。

本当にゴールドマンならSクラスだ。

生活が潤うどころか、いきなりコロニーに帰ることも可能になる破格の値段だ。

カオルの胸に緊張と高揚が走る。

 

悟られないように後をつける。

小一時間も走ったゴールドマンは、じめじめした暗い洞窟へと消えていった。

住処かもしれない。

 

カオルはエアカーの中から・・・

愛用の槍を持って奥へとすすんだ。

奥から話し声が聞こえる。

カオルは翻訳機を声のほうに近づけた。

「オレズーットズーーーットズーーーーーーーーーーーーート

オマエハココカラデチャイケナイ

外にはコワイニンゲンがイッパイイテオマエのコトヲネラッテイルカラ

オマエはゼッタイココニイタホウがシアワセナンダッテイワレテタ。

ぶ〜ん

ダカラココのイワノスキマからミエルフウケイを

オレズーットズーーーットズーーーーーーーーーーーーートミテタ。

ぶ〜ん

オレソレがイチバンシアワセだとオモッテタ。

デモ外にはウゴクモノがイッパイ。

ぶ〜ん

ケがアッテハヤクハシルモノヤ、キレイナイロのウゴクハナヤ、ソラをトンデナクモノヤ、

チッチャクテもハヤクテツヨクテイッパイイルモノ。

ぶ〜ん

キョウハジメテ外のセカイをハシッタ。

オレドコマデモドコマデモハシッタ。

オレがイケルトコロマデドコマデモドコマデモハシッタ。

オレがイッタライケナイトコロはドコニモナカッタ。

ぶ〜ん

オレはドコマデイッテモイインダ。

ソトノセカイハスバラシイ。」

 

そこまで聞いてカオルは飛び出した。

驚くゴールドマンに向かって槍を構える。

全身が金塊のゴールドマンは無表情だが、しかし確かに驚いたとわかる顔で突然現れた黒い男を見ている。

「オレ・・・オレ・・・」

カオルは身構えた槍を金塊男の鼻先に振りぬく。







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