一呼吸 間を置いて話す。

メ「この前の公演でスカウトの話が来た。」

チ「ホンマか?」

メ「ああ、それでこの街のテレビにでないかって。」

ハ「すごいじゃないか。」

ル「それで?」

メ「返事は保留しておいたんだが、みんなはどうすればいいと思う?」

ハ「出ろ出ろ。お金を稼ぐにはスターになるのが手っ取り早い近道だろ。」

メ「だが、お前たちの周りも色々騒がしくなるかもしれないぞ。」

シ「売れればでしょ?

そうなれるかはやってみないとわからないから挑戦してみればいいんじゃないかな?」

メ「しかし・・・」

ル「・・・メノリの気持ちはどうなの?」

メ「私は・・・」

みんなの視線が集まる。

息を呑んでメノリはいつもの強い口調で答える。

メ「私はもちろんやってみたい。

 この星のもっと大勢の人に私達のコロニーの音楽が喜んでもらえるか試してみたい。」

ハ「なら決まりじゃないか。」

シ「うん。」

ル「頑張ってね、メノリ。私達も精一杯サポートするから。」

メ「・・・」

ベ「うん。」

ハワードが肩を叩く。

ハ「ちょっと悔しいけど・・・頑張れよ。」

メ「ああ。」

 

食事も終わり皆が寝静まった夜更け。

メノリは布団の中で考えていた。

このままではコロニーに帰る日は遠い。

皆ができることを精一杯やらなければ、宇宙船は手に入らない。

ルナはみんなを引っ張りながら一生懸命アダムの世話をして頑張ってる。

シャアラも家事も掃除も頑張ってルナを助けている。

チャコも皆をサポートして見守ってくれている。

ベルは毎日ボロボロに疲れ果てるまで頑張ってる。

カオルも時々傷を負っても頑張ってる。

シンゴも油まみれで働いている。

ハワードもアイツなりにみんなの役に立とうと頑張っている。

 

私もみんなの為にもっと頑張らないと。

 

でも・・・

 

でもどうして私は、みんなの前で思っている本当のことが言えなかったんだろう・・・

メノリは柔らかい布団の端をキュッと握りしめた。







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